神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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◆彼岸蛍

Posted by 空耳ロバ on

「次は終点の新宿、新宿駅。お忘れ物のございませんようお降りください。」

通勤時のラッシュは凄まじい。
すし詰め状態の電車のドアが開き、プラットホームは人の波で埋る。
改札を出ると、ゾロゾロと行列が続く。
その行列は、再び、満員電車へ乗り継ぐために、それぞれの改札口へ向かって続く。
誰一人、くるっと向きを変えて戻る者はいない。
まるで催眠術にでもかかったかのように、当たり前のように歩いている。
その列は止まることなく、規則正しく改札へ吸い込まれて行く。
いつもの朝の光景だ。

よくもまぁ飽きもせず毎日毎朝、同じ時間に同じところへ行くものだ。
会社に着く時には既にヨレヨレだ。
しかし、ひとたびこれが崩れようものなら、焦燥感に襲われることであろう。
これが当たり前の日常生活の一部となって組み込まれ、身体が覚えているのだから、これでよいのだ。


親にも頼ることなく小さいながらもマイホームを手に入れ、妻も息子も健康で暮らしている。
同僚の誰よりも早くマイホームを手に入れたことで、自分は同期の一歩先を進んでいるのだと自負もあり、
ローンの支払で生活は楽ではないが、そこそこ幸せだと満足をしていた。

あの日も同じだった。


「行ってきます。」

「気をつけてね。いってらっしゃーい。」
「パパ、いってらっちゃ~い」

急ぎ足で駅へ向かう。
これもいつもの光景の一駒だ。
だが、いつもと違うのは、このところ私は酷く疲れていた。

乗換駅のホームで電車を待っていた。
少し電車が遅れていたこともあり、ホームは押し合い圧し合いの混雑ぶりであった。
最近、息子は私のアタッシュケースの中に自分の宝物を入れる癖があるようで、先日もアタッシュケースの中から犬のぬいぐるみが出てきて驚いたことがあった。
今日は何が入っているかなと電車を待つ間にアタッシュケースを開いた。
思ったとおり・・・

ホームに電車が入ってきた。
私はヨロヨロと入ってくる電車に近づいて行った。



ゾロゾロと規則的に続く行列の中に私はいた。

「入館料3000円になります。」

えぇ?3,000円もするの?
マイホームローンを抱えたサラリーマンの私の1日の昼代500円からすると、入るだけで3,000円は高額だ。
引き返そうにも後ろから一定の速度で行列は続いている。
ここでモタモタしていると、後ろを歩く人の迷惑になってしまう。
私は渋々3,000円を支払い入館した。


「なんだ、ただの鍾乳洞じゃないか。」

その洞窟はドライアイスのような白い靄がかかり、自分の歩く足下さえ見えないほどだ。
よく見ると岩壁には所々に仏像のようなものが彫刻されている。
列に続き歩いていると、大きなフロアに入ったところで行き止まりになった。

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ほこらのような穴の中には1本の蝋燭が灯り、右と左に矢印が記されている。

右に進むべきか、左に進むべきかこれが迷うところだ。
就職の時も迷った。
結婚の時も迷った。
マイホームを購入する時も迷った。
だが、いつも自分で決めた道は正しかった。
私は左に進むことを選んだ。


-------------------- 次回へつづきます ----- すみません --------------------


週末も良いこと素敵なことがたくさん・・・なくても一つくらいはありますように・・・


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◆彼岸蛍2

Posted by 空耳ロバ on

--------------- ◆ 彼岸蛍1 のつづき 2 ------------ デス------------


入館料3000円を払い洞窟内を進むと、行き止まりとなった洞穴に左右の入り口が記されていた。
行列の殆どの人が右を選ぶ中、左を選んだ私は、人一人がなんとかやっと通れるほどの暗く細い通路をゴツゴツとした岩壁に手を当てながら進んだ。。

「まいったな・・・こんなところ。3000円も取ったのに通路ぐらい整備してほしいな・・」

しばらくすると、小さな駅舎があった。

「こんな場所に電車なんて通っているのだろうか。」
疑問に思っているところへ電車が入ってきた。

私は迷わず乗り込んだ。

乗客は私の他に2人ほどいるだけだ。
これでは赤字だろう・・いつもこうなのかな・・よく廃線にならないな。

電車が動き出した。
岩壁のトンネルをゆっくりと上っているようだ。
しばらくすると地上へ出た。

地上へ出た電車は速度を上げ、砂丘のような、月面のような山間を走っている。
殺風景ではあるが、初めて見る光景に、私は、まるで童心に返ったように一人はしゃいだ。

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『本日はご乗車いただきまことにありがとうございます。
この電車は急行、「闇街道」行きです。
次は「横道駅」に停車いたします。
横道駅を出ますと「脇道駅」に停車をいたします。
途中、止まらない「真っ直ぐ道駅」をご利用の方は次ぎの「横道駅」で各駅停車にお乗換えください。
「横道駅」到着時刻は、だいたいいつも2時間程ですが、運転手任せ、その日の気分次第となります。』

「到着時刻が運転手任せの気分次第?・・そんな馬鹿な・・・
だいたい、闇街道行きとか、横道だの脇道だの、ふざけた駅名だ。
真っ直ぐ道に行くに決まってるじゃないか!』

私は次ぎの「横道駅」で各駅停車に乗り換え「真っ直ぐ道駅」に行くことを決めた。

車窓には先ほどまでの殺風景な景色とは打って変わり、美しい夜空が拡がっていた。

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到着までにはまだ時間がある。
この風景をたっぷりと楽しむことにしよう。

私はこのことろの疲れなどを忘れ、子供の頃にやっては母に叱られていた、窓に向かい後ろ座りをして風景を眺めていた。

その日は運転手の気分がよかったらしく、電車は予定とおり2時間程度で横道駅に到着し、待っていた各駅停車に乗り換え、私が「真っ直ぐ駅」に到着したのはそれから更に40分後位であった。

「出口わぁっと・・・どこかな。。。暗いな、、、」

人っ子一人いないホームは街灯もなく、蛍の光だけがかろうじて駅舎を薄く照らしている。
私は駅の出口へ歩いて行っった。
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------------ 根気がなくすみません、、、、次回へつづく・・またあとで・・-------------

◆彼岸蛍3

Posted by 空耳ロバ on

------------------ 彼岸蛍 2 のつづき 3 ----デス-----------------------


蛍の光に導かれ「真っ直ぐ道駅」の改札を出た私は、どこへ行く宛てもなく辺りを見回した。
下車したはいいが、道らしき道もなく、街灯もない。

蛍がいなければ真っ暗だな・・・
蛍がいるということは、近くにキレイな川か沢でもあるのだろう。
こんな闇夜をわけもわからず歩いて沢にでも落ちたら大変だ。
此処で朝まで待つかな・・・

『ここには朝なんてこねーよ!』

誰かが声をかけた。
私の他に誰かいるのか?
暗闇の中、他にも人がいるのだと思うと少し心強くなった。
私は声がした方に顔を向け眼を凝らして見ようとするが、姿を確認できない。

「あの・・・どなたですか?どなたかいらっしゃるんですか?」
その時、私の目の前をパタパタパタ・・・・

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私の声に驚いたこうもりが一斉に飛び立った。 
「うぁっ!びっくりした」


『おい!』

えっ?やはり誰かいる。どこだ?

『なにキョロキョロしてるんだよ!ここだよ。』
          
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目の前に一羽のこうもりが現れた。

「今、しゃべったのは君?」

『小僧に“君”なんて呼ばれたかねーな!!俺はジョーカーって言うんだ。』

「あっ・・ではジョーカーさん、ここには朝が来ないってどういうこと?
ここはどういう処なんです?」

『どこって・・ふっ。
まあ、小僧に詳しいこと説明したってわからないだろうから、俺に着いてきな。』

「小僧って・・」

『おい、小僧!着いて来るのか来ないのかはっきりしろ!』

訳の判らないこの場所で誰一人いない暗闇の中、一人でいるよりは話が出来るのだからこうもりでもましだ。
私はこうもりのジョーカーに着いていくことにした。

『小僧、行くぞ!』
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ジョーカーを見失わないように必死に着いていくと少し古びた建物の前に到着した。

『おい、サム、居るかぁ~?
また馬鹿なクソガキ、1小僧、連れて来たぞ~』


「馬鹿なクソガキって・・・口が悪いな~。
ジョーカーさん、私はもう立派な大人ですよ。」

『俺から見れば、お前はまだ小僧だ。サムから見ればお前なんぞひよっこだ。なあ、サム。』

そこには、白いタキシードに身を包んだチェロを弾く物静かそうな・・ねこ?・・えっぇ?
チェロを弾く白猫?に、奏でる音色に耳を傾ける・・白いねずみ?
そして、先ほどまでこうもりだったジョーカーは人間に?
此処は一体どうなってるんだ?

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『なに、目を白黒させてるんだよ!
此処では飛ぶ必要もないから元の姿に戻っただけだ!
おい、小僧、突っ立ってないでサムに挨拶くらいしろよ。』

「エッ?あっぁ・・はじめまして。。えっ?ジョーカーさん、人間だったんですか?」

『へっ・・人間?馬鹿馬鹿しい・・こうもりだよ。
サム、この馬鹿なクソガキ、料理してやってくれよ。』

{ん・・・さて、どう料理しようか・・}

白猫がしゃべった・・・
料理って?私を食べるってことか?
どうやら私はとんでもないところへ来てしまったようだ。早く逃げ出さないと。

『おい、小僧、何オタオタしてんだよ。
お前みたいな食えない奴、食べるわけないだろ。お前はババ抜きのババなんだよ!』

{ハハハ・・ジョーカー、そのくらいにしておいてやれ。}

「ジョーカーさん、あまりに失礼じゃありませんか。
私がババ抜きのババだとか。小僧だの、くそガキだのって。
一体、ここはどこなんです?』

『わかってねーな、お前は。
いっぱしの大人になったつもりでいるようだが、実際は12,3歳程度のクソガキなんだよ!』

{よし、ジョーカー、決めた。シェリー案内を頼むよ。
ジョーカー、呼び出して済まなかったね。ありがとう。}
チェロ弾きの白い猫サムは静かに立ち上がりジョーカーに礼を言うと、シェリーと言う兎を呼んだ。

「あの・・」
サムに声をかけたが、サムは私の声をさえぎるように言った。

{君に説明など必要ないようだ。実際に自分の目で確かめることだ。
シェリー、案内を頼んだよ。}

シェリーと言うウサギはランプを2つ持ってきてその一つを私に手渡した。

「私と一緒に参りましょう。大丈夫!私の後に着いて来て下さい。」

わけのわからない所だ。
ここは着いていくしかないな・・
私はサムに頭を下げ、ウサギのシェリーの案内で森の中へ一緒に入っていった。




------------- またあとで。すみません、、、つづきupは深夜になるかと-----------





◆彼岸蛍4

Posted by 空耳ロバ on

          -------- 彼岸蛍3 の つづき 4 ---デス------- 


こうもりのジョーカーに着いて行き、チェロ弾きの白い猫サムに会った私は、サムの指示で私の案内役を命じられたうさぎのシェリーと共に森の中を歩いていた。

しばらくの間、無言のまま歩いていたが、こうもりが人間になったり、猫がチェロを弾いていたり、話をしたり、ここは一体どこなのか知りたかった私はシェリーに話しかけた。

「シェリーさん、ここはどこなんですか?」

『私は貴方の案内をするだけですので。』

「これからどこに行くのですか?なぜ、こうもりや猫が人間の言葉を話せるのですか?」

『それは違います。
人間が、動物の言葉を理解できないだけで、動物は人間の言葉や行動をいつも見て理解しています。
その証拠に、飼い主がダメといえばそれを理解して止めるでしょ?
人間が動物の言葉を話せない理解できないだけで、いつも動物はこうして話をしているんです。』

「じゃ、ここで話しているのは?私が犬か猫になっているってこと?」

『いえ、童心に返ったというこ・・あっ!!!』

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 「うわわゎゎ。。。ば、化け物!」

森の中に何故か巨大な赤い魚が現れ、私たちを飲み込もうとした。
その時、
「康平、早く逃げろ!」

「お、オヤジ!」

「今だ!早く行け。走れ!」

『さぁ、早く。今のうちです。』
「え?で,で、でも・・私の父が・・」
『あのお方は大丈夫です。さあ!早く。』

私とシェリーは森の中を懸命に走った。やはりシェリーは兎だ。足が速い。。。

『此処までくればもう安心です。大丈夫ですか?康平さん、危ないところでした。』

「あぁ、はい。何なんですか、ここは?
何で森の中に魚がいるんです?
なんでここにオヤジがいるんですか?なんで魚が私たちを食べようとするんですか?」

『私たち?・・・赤鯛が飲み込もうとしたのは、康平さんの事だけですよ。』
「どうして?私だけ?」
『だって、人間は赤鯛、召し上がるでしょう?私は食べませんから。』
「ああ、そういうこと・・・危なかったぁ・・ではなぜ、私の父が此処に?」
『康平さんが気付かないだけで、先ほどからずっといらしてました。」
「一体ここはどういう処なんですか?教えてください。」
『此処はご覧のとおり、森です。』
「じゃあなぜ、魚が?」
『そういう森なんです。
赤鯛さんだけではありません。
このランプの他に道を照らしてくれているのは、電気くらげさん達ですよ。
人間界では邪魔者扱いされているようですが・・・』

こういう森って・・どういうことなんだ。
シェリーと話せば話すほど、私の頭の中は混乱してきた。
また無言のままシェリーの後を歩き続けた。

どのくらい歩いたであろうか。
森を抜け山間に差し掛かったところでシェリーは言った。

『ほら、あそこにお城が見えるでしょ?
あの城の入り口で私の案内役はおしまいです。』        

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「えぇ、、その先は私はどうしたら、どこへ行けばいいんですか?」

『入ればわかります。
それに、ほら、康平さんと同じような方が入って行ってるでしょ。大丈夫ですよ。』

「だって、あれは子供じゃないか。子供じゃ何の頼りにもならないな。」

『ふふふ・・康平さん、貴方だって子供じゃないですか。』

「いや、私は・・」

『しっ!静かに。此処からはしゃべってはいけません。』

私とシェリーは城の入り口まで無言で歩いた。

『では、わたしはここで。このランプをどうぞ。』とシェリーは、消えかけた私のランプと自分のランプを交換し、森の中へと走って行った。
闇夜だった空はいつの間にか満点の星空に変わっていた。


----------- まことに恐縮です、持久力なく再びつづくです。ごめんなさい ------------

◆彼岸蛍5

Posted by 空耳ロバ on

---------------------- 彼岸蛍4 の つづき 5 -----デス-----------------


城の入り口までうさぎのシェリーに案内してもらった私は、シェリーが交換してくれたまだオレンジ色の炎がしっかりと灯るランプを手に扉の前に立った。

城の扉は思いのほか重く、私は懇親の力で扉を開け中へ入った。

城の中は殆ど明かりがなく薄暗い。
自分のランプだけが頼りだ。
私は腕を伸ばし、できるだけ遠くにランプをやり、中の様子を窺った。

正面と左右に通路が別れ、途中部屋が幾つかあるのだろう扉がある。
その先には螺旋階段があり、上階へ上がれるようになっている。
ゾロゾロと歩いていた子供達は迷うことなく、別々の部屋、階段へと上がっていく。
行き先を知っているようだ。
私はどこへ行ったらいいのか・・・
自分の行き先がわからないから教えて欲しいなどと、大人の私が子供に尋ねるのはシャクだ。
とりあえず一番近い階段を上がってみることにしよう。
数歩、歩き出した。

『おい、小僧、来たな。お前の行くとこはそっちじゃねーよ!』

「その声はジョーカーさん?」
私を駅からチェロ弾きの白い猫サムのいる場所へ案内してくれたこうもりのジョーカーだった。

「ジョーカーさん、もうここにいらしていたんですか?早いですね。」

『ああ、コウモリだからな。小僧、お前はクソガキだからこっちだ。着いてきな!』

「クソガキって・・・」

『ほら、早くしろ!階段上るからな。』

「ちょっと待ってください、ジョーカーさん。
貴方はコウモリだから暗いところも見えるでしょうが、私は・・・暗くて足下が・・」

『モタモタするな!感で上がって来るんだよ!』

私はジョーカーの後を追い、3つある塔の真ん中の一番高い塔の一番上まで、なんとか上った。

最上階の明り取りから見る夜空はそれはそれは美しかった。

『どうだ、キレイだろ。』

「はい、こんなに大きく美しい沢山の星は生まれて初めて見ました。」

『そうさ。ここには余分な灯りはないからな。その分、星も沢山見えるんだ。
天文城って言うだけあるだろ。
さっ、おしゃべりは此処までだ。小僧、お前はこの部屋だ。じゃあな!』

「あっ・・ジョーカーさん、ありがとうご・・」もう行ってしまった。
やはりコウモリだ。早い。

私は目の前にある頑丈そうな木製の扉を開けた。
暗い廊下とは異なり、沢山の蝋燭に灯る炎に映し出された淡いグリーン色の室内は、少し怪しげだがなにやら引き込まれる魅力的な光景が拡がっていた。

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   『坊や、待っていましたよ。』
姿は見えないが女性の少し低い声が私に話しかけた。

「こんばんわ。あの・・」

そう言いながら入り口から一歩踏み出した私は、ジョーカーが実際は12,3歳の小僧だと、クソガキだと言った意味がようやく解った。
鏡面仕上げの光った石の床に、蝋燭の明かりが薄ぼんやりと映った私の姿は確かに子供になっていた。

なぜ?いつのまに?どうして?・・・

戸惑う私に、姿の見えない声は間髪を入れずに言った。
『もう少し中へお入りなさい。』
言われるままに中へ進むと望遠鏡が一台置いてあった。
子供の頃、もの凄く欲しくて父にねだったが買ってもらえなかった天体望遠鏡が置いてある。

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『覗いてご覧なさい。』

「いいんですか?」
私は子供のように心が弾んだ。
やったぁ!とばかりに足下にランプを置き、望遠鏡を覗いた。



「おまえ、サンタクロースっていると思う?」

『いるわけないじゃん!』子供の私が答えている。

「だよな。あれって、お父さんだもんな。いつ頃まで信じてた?」

『サンタなんて一度も信じたことないよ。
寝る時に枕元に靴下置いたって、朝起きればいつも空のままだった。』
ジョーカーの言うとおり、確かに私は可愛げのないクソガキだったな。。

あっ・・・。


困るんだよねぇ!    やぁどうも       天体望遠鏡        あ~疲れた
こういうことじゃ     どうもどうも     80万円分残業代      倒れそうだ・・
まことに申し訳なく               稼がないとなぁ       あともう少し・・
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はぁ。。。         こんな企画じゃ     今夜も盛上げ役     あー身体重い。
いやぁ全くもって    給料上がらないよ   頼むよ!大切な    酒飲めないのに
弱ったなぁ・・・     もっと頑張らないと   取引先だからね    あーしんど・・・
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私は父が大嫌いだった。

いつも、仕事だと言っては休みの日にも出勤し、子供の頃にキャッチボールをしたこともなければ、どこかへ遊びに連れて行ってくれたこともない。
酒の臭いをぷんぷんさせながら夜遅くに帰ってきては、朝も早くから出て行ってしまう。
同じ家にいながら、気付けば1ヶ月顔を会わせないこともあった。

それでも12,3歳くらいまでは、きっと朝起きれば靴下の中に天体望遠鏡が入っているだろうとクリスマスが来る度に毎年靴下を吊る下げていたものだ。
そして翌朝、必ず期待は裏切られた。

母が病気で入院した時も、救急車を呼んだ時も、父は家にいなかった。
仕事が忙しいと言って、ろくに見舞いにも来なかった、そんな父が私は大嫌いだった。

その父が、私に天体望遠鏡を買ってくれようと残業をしていたこと、酒が飲めないのに無理に付き合っていたこと、倒れそうなほど疲れ切っていたことなど、私は何も知らなかった。
何も知らずに私は、身勝手な父だと恨み、亡くなってから一度も墓参りに行っていなかった。
ジョーカーの言ったとおり、本当に私はクソガキだ。
くそったれの馬鹿な小僧だ。
覗いていた天体望遠鏡のレンズがにじみ、その先を見ることが出来なくなった。


泣きじゃくる私に姿のない声が話しかけた。

『やっとわかったようだね。
久しぶりにパパさんに会った気分はどうだい坊や。』

声が詰まり、答えることの出来ない私に姿のない声は言った。

『この先の廊下を進むと駅だからね。さあ、もうお行き。
電車の席に座るときは前を向いて、足を揃え、きちんとお座りなさいな・・・』

目の前の壁が開き暗い廊下が現れた。
私はランプを手に、部屋を後にした。


----------------------つ・づ・く あとでまたUPします。-------------------

皆様に素敵な一週間となりそうな予感です。
よいことがたくさんありますように・・・・・

またあとで。

◆彼岸蛍6 最終話

Posted by 空耳ロバ on

---------------------- 彼岸蛍5 の つづき 6 最終話-----デス----------------


天文城を後にした私は、駅に繋がっていると言う暗い通路をランプを照らしながら歩いていた。
通路の半円の天井にはプラネタリウムのように星座が映し出されている。
私は無性に父に会いたくなった。
一人暮らしをしている母の顔が浮んだ。
私はもう少し此処にいたいという思いにさえ駆られていた。

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きれいだなぁ・・・・

「あっ!」
星座に気を取られていた私は、つまづき、ランプを落としてしまった。
通路は真っ暗になった。

まずい・・どうしよう・・・

シュッ! マッチをこする音がした。

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『よう、馬鹿な上にドジな小僧。ほれ、蝋燭だ。これ持って行きな。』

「ジョーカーさん、ああ助かりました。ありがとうございます。」

『まったく、面倒見切れねーな!』

先ほどまで見えていた星もランプを落とした途端に見えなくなってしまった。
ジョーカーから蝋燭を貰った私はその灯りを頼りに通路を進んだ。

話し声?

「♪ 入りぼたも~ちに明けだんご~ ♪ ♪中のお中日は小豆飯~ ♪♪♪ 」
「お前さんとこはまだかいな・」
「こっちもまだかいな・」
「誰かが来たら脅してやろうか、からかうか」
「だぁーれも来ないか、誰か来い来い恋いしいよ~♪」
「まだかいな・・まだかいな・・」
「♪入りぼたも~ちに明けだんごー♪♪中の中日に小豆飯~♪♪うらめしやぁ~♪」


なに?壁?・・・から? 声のする方に目を向けた。
  
「うわぁあ!」

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私は蝋燭を握り締め、目を瞑り一目散に走った。

『おいおい、待て待て・・小僧!』

「?ジョーカーさん?・・」

『なんだ小僧、早く走れるじゃないか。。。
自分ン家の墓見て逃げ出す奴がどこにいるんだよ!』

「だって。。あ~びっくりした。エッ?自分ン家の墓?」

『ああ、そうさ。あの荒れた墓は、小僧、お前ンとこの墓だよ。墓参り行ってないだろ。』

「あ・・はい。。。」

『今日は彼岸明けの25日だ。まだ間にあう。
彼岸中に行くと墓で仏は待ってるからな、親父に会いたいんだろ。
おっと、もう電車も来る頃だ。
この先が「彼岸花駅」だからな。そこに蝋燭置いてけよ。じゃあな、小僧!』

「ありがとう。」ジョーカーの姿は見えなくなっていた。

(康平、お前は父さんが死んだ時の12,3歳のままのそそっかしい小僧だな。
父さんはいつだってずっと傍にいるからな。
こんな形でしか星を見せてやれなかったけど、キレイだったろ。
康平、電車に乗って座るときはきちんと足を揃え、前を向いて座るんだぞ。)
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「えっ?父さん?・・・」・・・気のせいか・・


駅へ着くとその周辺は「彼岸花駅」と言うだけあって、一面の彼岸花で埋め尽くされている。
その周りを蛍が優しい光を放ち飛んでいる。

彼岸蛍

心が洗われるようなその光景を前に私は蝋燭を置き、なぜか自然に手を合わせた。

駅構内にゆっくりと入ってきた電車に乗り込み席に着いた。
座ると同時に空へ向かい発車した。

『本日はご乗車いただき、まことにありがとうございます。
この電車は特急「極楽駅」行きの最終列車となります。
終点極楽駅の到着は100年後、次の停車駅には直ぐの到着となります。』

「100年後って・・なんだよそれ、、次の停車駅には直ぐの到着って・・やっぱりいい加減だ。」

電車の窓から外を覗くと、置いた蝋燭の火は蛍となり、空へ舞い上がって行った。
「父さん?」

『次は、ほにゃらら~。ほにゃららに到着いたします。
お降り遅れのございませんようご注意ください。』

「ほにゃららって何だよ。」

『ほにゃららぁ~、ほにゅにゃくちょう~。ほにゅうらく・・・有楽町・・

「!!!有楽町?」
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ハッと目が覚めた。

洞穴に進んだ時と同じ、目が覚めた私の左手にはカラーボールが握られていた。
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「もしもし、母さん、康平だけど墓参り行った?」
『あら、元気だった? お墓参り、ひざが痛くてまだ行ってないのよ。』
「今から帰るから一緒に行こうか。」
『珍しいじゃない。じゃあ母さん、仕度して待ってるわね。』

その日、私は出勤せず、片道3000円の電車賃で真っ直ぐ母の待つ実家へ行き、父の眠る墓へお参りをした。

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『♪ 入りぼたも~ちに明けだんご~ ♪ ♪中のお中日は小豆飯~ ♪♪♪ 』


「母さん、そろそろ一緒に暮らさないか・・・」


------------------------ お し ま い --------------------------


つまらない物に長々と貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。

迷子犬、皆様のおかげで命を繋ぐことが出来ました。
本当に、ありがとうございました。

皆様によいこと素敵なことがたくさんありますように・・・ついでに私にも^^

おかげんの優れない方は一日も早く良くなりますように・・・



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