神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

スポンサーサイト

Posted by 空耳ロバ on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

◆ 琴 と 筝 1◆

Posted by 空耳ロバ on

木箱の中にはまだ触れていない、幾つかのカラーボールが残っている。
その中に、まるで手毬のようなボールを見つけた。
なんか・・・レトロ・・・
手に取ると、ビオラ?だろうか、琴?だろうか・・・
何処からか美しい音色が聞こえてきた。


~~~~~~~~~~~~


『ただいま・・』

絹織り問屋の一人娘「お筝」が女中のサダをお共に手習い指南所から帰って来た。


「おかえりなさいませ」  「おかえりなさいませ」  「おかえりなさいませ」
軽く4,5十人はいるだろうか・・
お筝の「ただいま」の声に使用人らはすぐさま反応して返した。

『これ!なんだ!
お筝が「ただいま」を言う前に、お前達が気付いて先に言わんといけんじゃないか!
どこに目をつけてる!!!
こんな簡単な気配りすら出来ないようじゃ、暖簾分けはできないよ!』

「はい、だんな様、申し訳ありません」

『申し訳ありませんではない!申し訳ございません、だ!
まったく、未だに言葉を教えんとまともに・・・』

「うふふふ・・
お父っつぁん、そんなに厳しく言わなくても・・・
皆、怖がっているじゃないの。
お父っつぁんのこと、世間じゃ何て言っているか知ってる?
弦右衛門の弦は、つるの弦ではなくイカツイの厳だって、厳い厳右衛門だっって。ふふふふ・・』

絹織り問屋の主、弦右衛門は使用人に対してはいつもこの調子で厳しく叱り飛ばしていた。
が、愛娘のお筝にはからきし弱い。


お筝の母親は筝を生み、間もなく息を引き取った。
それからと言うもの、通いの乳母「トメ」を雇い、後添えを貰っては筝が可哀想だと、数多く来る後添えの話を断わり続け、
筝が流行病にかかった時などは、夜中中走り回り名医の診立てを受け、3昼夜寝ずの看病をするなど、ここまで男手一つで育て上げて来た、目に入れても痛くないほどの弦右衛門自慢の愛娘だ。

『あはは、そうだっだそうだった。
すまなかったね、これからは気をつけるから、皆、気持ちよく働いておくれよ。
ところでお筝、今日もまたあれを早く聴かせておくれ。』

「ふふふ・・しょうがないお父っつぁん」

弦右衛門はお筝の「筝」の奏でる音色は心が洗われるようだと、毎日欠かさずお筝に「筝」を弾かせていた。


(ああ、またはじまった。
お筝さまはもういいお年なのに、旦那様がいつまでもお傍においておられるから虫もつかない)
使用人からもそんな陰口を叩かれていた。

それもそのはず、筝は既に19の年を迎えていた。

弦右衛門も筝の縁談を考えていないわけではなかったが、ころぞというメガネに叶った人物がいないのであった。

大店の絹織り問屋の一人娘とくれば、冷や飯食いの武家やら旗本やら領家からの縁談の申し入れは数多くあった。
弦右衛門は、添え状に入れられている釣書(家系図)に目を通しながら、
「そろそろ、婿をとらないとな。筝ももう、19だ。然るべき仲介人を立てるとするか・・・」
心配と寂しさが混在する気持ちを抑え、婿取りを決める算段に入っていた。


『今日は手習いの帰りにいつものところへ寄るから少し遅くなります。』
お筝は、月に一度、必ず、手習い指南所の通り道にある寺にお参りをしていた。

お世辞にも立派とは言えない小さな古寺であったが、筝はここへ参ると落ち着いた、どこか懐かしい気持ちになった。

山門をくぐり、参道の脇道に差し掛かったところで筝は立ち止まった。

そこには目立ちはしないが、小さな地蔵様が祀られている。
貧しい身なりをした一人の娘がその地蔵様に花を供えていたのだ。

『こんにちわ』筝が声をかけた。

「お筝さま、このような者に気軽にお声をかけてはいけません」サダは筝の耳元で小声で言った。

『サダ、そこの茶店のお団子、お父っつぁんが大好きなの、買ってきてちょうだい。店の皆の分もね。』

「はい・・ですが、、」

『早く!』

筝は山門脇にある茶店の団子を父と使用人の土産にするからとサダに団子を買いに行かせた。


『ここにいつも花を供えているのは貴方でしたの?』筝は娘に尋ねた。

娘は花を供え終わると黙って立ち上がり寺に向かい歩いて行った。

『ねぇ、名はなんと言うの?私は「筝」貴方は?』

それでも娘は無言で歩き続けた。

・・・聞こえないのかしら?
サダは娘の肩に手を触れた。

「聞こえております。わたくしのような、粗末な者にお声掛けは不要にございます。」

・・・サダが耳元で囁いた言葉が聞こえていたらしい。。

『ごめんなさい、サダに悪気はないのよ許してあげて』

「いえ。」

『また会えるかしら?』

娘は無言で会釈をするとその場を立ち去った。



------------------- またあとで書きます。すみません、ひとまずこれにて------------------


夕方の時間となってしまいましたが、皆様によいことがた~くさん起きる週末となりますように・・・
素敵な夜をお迎えください。
私はゆったり、まったり、のん気に過ごせますように・・←ささやかな願い。。。











スポンサーサイト

◆ 琴と筝 2 ◆

Posted by 空耳ロバ on

--------------------- 琴と筝 1 のつづき2 ----デス-------------------


地蔵に花を供えていた娘のことが気にかかっていた筝が寺に茶巾袋を忘れてきたことに気が付いたのは、寺参りから戻り七つを四半刻(夕方の4時半頃)も過ぎたあたりだった。

『お寺に茶巾袋を忘れてきてしまったようだわ、明日にでも取りに行って来なくては・・』

「それでしたら私が」

『いえ、いいわ。指南所かもしれないし。。』
特段の理由がなければ、なかなか外出を許してもらえない筝は、明日も外出する理由ができたことが嬉しかった。
そしてまたあの娘に会えるかもしれないと・・・


翌朝、早く起きた筝が裏木戸を開けると、忘れてきたはずの茶巾袋が木戸の握り手にかかっていた。

『あら?おかしいわ・・誰が届けてくれたのかしら・・』

不思議に思いながらも、筝は寺へ向かった。

寺へ着くと、昨日のあの娘が境内を掃除していた。

『おはよう、茶巾袋を届けてくれたのは貴方でしょ?ありがとう。
毎朝こんなに早くから掃除をしているの?』

娘は無言で掃き掃除を続け一通り終わると、寺の本殿の脇から裏の雑木林へ続く道に入って行った。

木立の中へ朝陽が差し込み、その光が娘をキラキラと輝かせている。
その後を追うように、筝は着いて行った。

少し歩いたところに古い小さな小屋がポツンと建っていた。
どうやらここが娘の家らしい。

娘は引き戸を開け、中に入って行った。

ピシャン!!・・筝の目の前で引き戸が閉まった。
ガラガラ・・再び引き戸が開いた。

「なぜ、わたしの後を着いて来るのですか?なぜ、わたしにかまうのですか。」
娘は少し怒った様子で筝に言った。

『あ。。ごめんなさい。私、お友達がいなくて・・貴方とお友達になりたかったの。』

「・・・・・私の名は、きん。琴と書いて、きん。貴方はおそうさんね。」娘はにこっと笑った。

『 筝と書いて そう 。貴方はおきんちゃんね。』そう言って、一歩近づいた。

玄関の土間の傍に琴が立てかけてあることに気付いた筝は、きんに言った。

『あら、おきんちゃんもお琴を弾くの?私も弾くのよ、今度一緒に・・』

「いえ、あれは私がここへ来た時からあったの、私は心得がなくて。」

『そう・・残念だわ。一緒に弾きたかったのに。
でもこのお琴、珍しいわね。七弦しかないけど、何て言うのかしら?』

「七弦琴。コトとは言わずに私の名と同じ。キンと言うの。琴柱(ことじ)も使わないのよ」

『初めて見たわ・・おきんちゃんは何でも知っているのね。』

この日を境に、筝は度々、古寺に通うようになり、引っ込み思案だった筝が手習い指南所でも自分から進んで発言をするなど、とても明るくなった。

そんな筝を見ていた弦右衛門は、筝にもしや好きな人でも出来たのではないかといささか心配になった。

「お筝、何かいいことでもあるのか?最近やけに楽しそうじゃないか、いい人でも出来たのではあるまいな?」

『うふふ・・わかる?そうなの、とってもいい人が出来たの・・』筝は答えた。

さぁ、これは大変!
武家の三男坊との縁談を進めていた弦右衛門は、これは一大事と、縁談を急いで取りまとめ、善は急げとばかりに婚礼の日取りも慌しく決まった。



----------------ごめんなさい、再びつづくです-----またあとで----------------


日付が変わる深夜となってしまいましたが、明日も皆様によいことがありますように・・
迷子ちゃん、里親さん待ちの子達が1日も早く幸せになりますように・・・
私は明日は夢のぐうたら朝寝坊、、、ができますように・・・・

素敵な日曜日をお迎えください・おやすみなさい。。。。。。

◆ 琴と筝 3 ◆

Posted by 空耳ロバ on

婚礼を8日後に控えた筝は、挨拶回りに忙しくしていた。
その日も挨拶に行った先でついぞ話し込み、すっかりと遅くなってしまった。

いつもの古寺近くに差し掛かった辺りで満月に靄がかかった。
・・・とその時。

今までに聞いたこともないそれはそれは美しい琴の音色が聞こえてきた。

「素晴らしい・・」供の者も皆、呪術がかかったように微動足りともせず聞き入っている。

『おきんちゃんだわ。弾けないって言ってたけれど、間違いなくおきんちゃんだわ。』
筝にはその音色を奏でる主がきんであることは直ぐにわかった。

翌日、筝はおきんを尋ねた。

『夕べ、琴を弾いていたのおきんちゃんでしょ?美しい音色だったわ。』
「ちょっと、悪戯に弾いていただけよ・・」
『ううん、なんとも言えない素晴らしい音色だわ。
それでね、お願いがあるの。』

筝の頼み事は、婚礼の日にきんと一緒に琴の音を披露したいというものだった。

「おそうさんと私が一緒に同じ曲を弾くことは難しいわ。
だって、
おそうさんの弾く「筝」(そう)は、13弦、音を変えることのできる琴柱(ことじ)もあるし、爪も義爪を使って弾くから自爪も割れずに済むでしょ。
でも私の弾く「琴」(きん)は、7弦で琴柱もなければ爪も自爪で弾くものなの。
ふふ・・
「筝」と「琴」どちらも「こと」と読めるけれど、実際は「そう」と「きん」、丁度、私達と一緒ね。
それだけ「筝」と「琴」とでは違いがあるのよ。」

『じゃ、おきんちゃん一人ならいい?ねぇお願いよ。』

それでもきんは一旦は断わったが、筝のたっての頼みとあり、婚礼の日取りを聞き、ある条件と引き換えに渋々承諾した。

婚礼の日が訪れた。

筝はきんを「琴の名手」とだけ言い、父弦右衛門に紹介した。
婚礼が始り、きんは琴袋から「琴」を取り出し祝宴の席についた。

その「琴」と見た弦右衛門はギョッとした。
『あ・・・あれは・・・』

キンの爪弾く琴の音色は素晴らしいものであった。
誰もが手を止め、話をやめ、物悲しくも美しい響きのある音色に魅入られていった。
だが、弦右衛門だけは違った。

あの琴は、あの時あの子が生まれた時にあつらえたものだ・・
あの娘の名はなんと言うのだろう・・
いや、そんなはずはない。
まさか・・・

婚礼後、弦右衛門は来客への挨拶もそぞろに、琴を弾いた娘の姿を探した。

『お礼をしなければならんのだが、琴を弾いた娘は何処へ行った?』

キンはいつの間にか姿を消していた。


翌日になり、弦右衛門はお筝を呼び、あの娘の名はなんと言うのか、どこに住んでいるのか、あの琴はどこで手に入れたものなのか尋ねた。

お筝は答えに困った。
名前も居場所も一切明かさないという約束できんに琴を弾いてもらったからだ。
『実は、私もよく知らないの。知り合いの知り合いのまた知り合いの、そのまた知り合いで・・』

「何も知らない者を婚礼に呼んだのか!そんな馬鹿なことがあるか!」

『だって、知らないんですもん』

「あーもういい!」

『どうしたのお父っつぁん、なんだか変よ・・』


琴を弾いてくれたお礼にと、お筝がきんを尋ねたのは、婚礼から2日後の9月19日のことであった。



---------------ま た ま た つ づ く---デス----すみません、あとでUPします------------


◆琴と筝 最終話◆

Posted by 空耳ロバ on

婚礼から2日後の9月19日、お筝は琴を弾いてくれたお礼を言うため、古寺へ向かった。


いつものように山門をくぐり、参道脇の地蔵様の前を通り過ぎた。
いつもと変わりなく、地蔵様にも花が供えられている。

『おきんちゃんだわ』お筝は境内脇を通り雑木林へと続く道へ入った。

寺の住職がお筝に声をかけた。
「あーこれこれ、危ないから入ってはいけんぞ。
行ったところでその先には古池以外は何もないぞ・・」

『えっ?この先に家が・・』

「家?おかしなことを言う娘さんじゃの。そんなもの建っとらんぞ」

『えっ?だって、ここで・・ほら、いつも地蔵様に花を供えていたり、境内を掃除しているおきんちゃんが・・』

「はて・・?おきんちゃんとやら?
この寺は見ての通りの古寺じゃ。
私の他には、ほれ、そこで拭き掃除をしている小坊主の善次がおるだけじゃがな。
善次、おきんと言う娘を知っておるか?
いつも地蔵に花を供えてくれたり、境内の掃除をしてくれている娘さんのようだが・・」

「へぇ、、、私はお会いしたことはございませんが・・・和尚様、もしや・・」
小坊主の善次が言いかけたところで、和尚が言った。

「あぁあ・・まぁ、娘さん、こちらへお入りなさい。」と、お筝を本堂へ招き入れた。


残暑の残る強い日差しが照りつける初秋であったが、本殿へ入ると冷んやりとした厳かな空気が心地よく感じた。

お筝は、これまであったことをこと細かに和尚に話して聞かせた。


「娘さん、娘さんの会ったおきんちゃんとやらは、おそらく現身(うつしみ)、仏の色身(しきしん)じゃな・・」

『現身?色身?』

「ああ、そうじゃ。
現世に姿となり現れる色身じゃ。おきんとやらが持っていたのはこの琴じゃろ。」

そういいながら和尚は本殿奥の院の脇に立てかけてある琴を指差した。

『あっ・・・どうしてこれが・・』

「これはな、、、
昔、ある大店へ乳母として雇われていた女がおった。
その乳母は大店の主のかつてに遊び女だったらしいのじゃ。
その遊び女に子が宿ってな・・
琴好きの大店の主が、その子が生まれた時にあつらえて贈ったらしいのじゃ。

時を同じうして大店の本家にも子が生まれた。
じゃが、子を産んで直ぐに母親が亡くなったようなのじゃ。
乳に困った大店の主は、遊び女だった女に乳母なってくれるよう頼んだということじゃ。
大店の主に恩があった女は自分にも子がいたが、乳母の申し出を引き受けたのじゃそうな。

じゃが、乳母として雇われたはいいが、その娘に乳を与えてしまうものじゃから、我が子に十分な乳を与えられなかったそうな。
十分な乳を与えられずに育った子はどうしたって身体が弱いものじゃ。

3つになった頃、流行病にかかったんじゃ。

母親はその子を抱え、診てくれる医者を探しに方々へ走り回ったんじゃ。
じゃがな、十分な金子もなく、診てくれる医者はおらんかった。
そしてその母親も既に流行病にかかっとたんじゃな。
かわいそうに・・・
彼岸の入りの日に、その子を抱えたまま、この寺の裏の雑木林で倒れとった。
今日19日がその親子の命日じゃ。
その子が生きておったら、年の頃は・・そうさな、丁度お前さんくらいじゃろうな・・・

まあ、身寄りもなく、引き取り手もいないものだから、この寺で葬たんじゃ。
その親子の住まいにあった「琴」がこれじゃよ。
墓を建てたところで身寄りもないからと、
ああ、ほれ、お前さんが言っとった地蔵様、あれがその親子地蔵じゃよ。」

(もしや、お父っつぁんが?)

『大店の主とは弦右門衛門という名ではないですか?』

「いや・・そこまではわしも知らんのじゃ。
ただな、娘さん、
彼岸中に亡くなるのはその方の寿命だとも言うのじゃよ・・」


お筝は地蔵の前に座り、手を合わせた。

(おきんちゃん、おきんちゃんは私に「琴」と「筝」は違うけれど、どちらも弦が必要なのよね。と言って笑っていたけれど、お父っつぁんのことだったのね。
・・寂しい思いをさせてごめんなさい。これからは・・・・)

店の佐平が走ってきた。

「お筝さまぁ~ 大変でございます。旦那様が・・・」

雑木林奥の古池には遅咲きの蓮の花が一輪、誰にも気付かれることなく美しく花開いていた。

              021432_convert_20120910134448s_20121220181426.jpg



~~~~~~

あーやだ、ボール握ったまま眠っちゃったわ・・・
ん?
あの美しい音色が聞こえない、演奏終わっちゃったの?
私はカラーボールを木箱に戻し蓋をした。

かすかに一弦、爪弾く音が余韻を残した。


--------長いお時間割いていただき、ありがとうございました。おしまいデス----------

おっと!
気がつけば、今年もあと3ヶ月と少し・・
皆様によいこと素敵なことが沢山ありますように。。。

まずは目の前の明日からの一週間、、、
素敵な週となりますように・・・
迷子の子、里親待ちの動物達が一日も早く幸せになりますように・・

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。