神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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◆空の空 1

Posted by 空耳ロバ on

ポーン、ポーン、ポーン・・・
規則的にはじく音、最初から計算されていたかのように掌に戻ってくるカラーボールを見ながら、私は何を考えることもなく、戻ってきたボールをまた掌で地面に押し返す。
ぽーん、ぽーん・・・

「こんにちわ♪ 街頭アンケートなんですが、今度生まれ変わったら貴方は何になりたいですか?」

『・・・もう・・いいです。生まれてきたくない。一度で十分です・・・』

生きて行くのもしんどいが、死ぬのは怖いしまだ早い。

ポーン、ポーン、ポーン・・・
同じ場所の同じ位置に弾いている時は必ず同じところに戻ってくるが、少しでも力が入り斜めに落とせば予測のつかない方向へ転がってしまう。

『アッ・・』 コロコロコロコロ・・・・・
カラーボールが転がった。

『確かこの樹の辺りに転がっていったのになぁ~。』転がって行った樹の周りを探すが見当たらない。
『まぁ、いいか・・ボール一つくらい・・』
探すのを諦め帰ろうとする自分の足下にボールが光っている。
『なんだ、こんなところに。灯台下暗しだな。』
そう思いながら、ボールを拾おうとかがんだ。

『あれ!どうしちゃったんだろう。』
ボールは、軽く樹齢200年以上は経っているであろう大木の根の間にすっぽりと収まりなかなか外せない。
私はボールに手を置いたまま、根元から大木を見上げた。

『あっ・・・ ジャッ・・クと豆の樹?・・』

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『なわけないよな・・・』

一人の少女が私を迎えに走りよって来る姿が見えた。

私は何のためらいもなく、螺旋状に天へ続く道を登り始めた。


------------ かなり、短いのですが、つづく --------デス------ atode --------

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◆空の空 2

Posted by 空耳ロバ on

--------------------- 空の空1 の つづき 2 ----------デス---------------


樹齢200年以上はあるであろうその大木は、子供の頃に読んだ絵本「ジャックと豆の木」の豆の木のように天へとらせん状に道が繋がっていた。
その道から迎えに来てくれた少女の後を私は何らためらうことなく付いて歩いていた。

ジャックと豆の木の話は確か、上りきったところで巨人がいたんだっけ?
ならば、私を案内してくれているこの少女はアルプスの少女ハイジだろうか?
・・・まさかな。

私は子供の頃に読んだ童話「ジャックと豆の木」の話が嫌いだった。
ジャックは巨人の持ち物を二度も盗み、それを取り返そうとした巨人を殺して母親と裕福に暮らしたなんてとんでもない奴だ。
こんな話を子供向けの童話だなどと信じがたいものだ。

だが、もし巨人の子孫がいて、僕をジャックと間違え、仕返しされたらどうしようか・・
何も考えずに上ってきたが、ちょっと失敗だったかな・・
いや、これは子供向け童話でもなければ大人向けの絵本でもない。
いるはずがないよな・・巨人なんて・・・この少女がハイジなはずはない。


『ねぇ、君の名前はなんて言うの?』

「ハイジ。ハイジって言うのよ。」

『ハ、ハイジ?・・へ、へぇ・・かわいい名前だね。』・・嘘だろ。

「おじちゃん、この道はね、上ることしか出来いの。後戻りは出来ない道なのよ。」

『あ、、、あ、そうなの。お、面白い道だね。』
平然を装ったが、自分でも引きつっているのがわかった。

戻れない道などあるはずがない。
隙を見てと・・・

クルッ。

くるッ!!
あれ?
戻ろうと向きを変えた私の身体は、また正面を向いてしまった。

本当に戻れないのか?  もう一度。

クルッ。

くるッ!!!えぇ~そんなぁ~・・・

「戻れないって言ったでしょ。一方通行なの!後ろには戻れない道なの。」

本当に引き返せないようだ。

エーいい!!こうなったら破れかぶれだ!
どうせ生きてたって良いことなんてたいしてなかった。
仕事だって同期には抜かれるし、コイツには負けたくないと思っていた奴にまで先を越された。
上司にパワハラ受けて怒られてばっかりで、違う道もあるよなんて言われてるんだ。
よしッ!
他に人の姿も見えるし上まで行ってやる。
巨人でも何でも来い!!

螺旋状に続く道には、家が間隔をあけて建っている。
道を歩いている人も他に11人名ほどみえる。
途中、浮島のように道から離れたところに島が浮いている。
5時間も歩いているだろうか。
数人を追い越した辺りで少女に尋ねた。

『この家は誰が住んでるの?』

「これは門番の家です。」

『ふーん。門番なんているんだ。歩いていたり遊んでいる子供達は門番の子?』

「はい。たいていは・・・」

『君、いや、ハイジちゃんも?』

「いえ。あともう少しで着きますから。」

『ねぇ、浮いている島には橋も架かってないけど、どうやって渡るの?』

「こうやって!」

ハイジは片足をピョーンとあげてヒョイと離れた浮島に渡ってみせた。
そして再びヒョイと戻ってきた。

『すごいね。そんなこと出来るんだ。』
私もやってみようかと思った時、ハイジが言った。

「おじちゃんにはまだ無理よ。
そんなことをしたらジャックと豆の木の巨人さんのように、下へ真っ逆さまに落ちて死んでしまいますよ。
うふふふ・・・」

『えっ? ジャックと豆の』

「さあ、着きました。」

螺旋状の道を上がり着いたその先には巨人城ではなく、普通に人々が暮らす光景が広がっていた。

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--------------------- またつづくです。すみません。。。。------------------

◆空の空 3

Posted by 空耳ロバ on

--------------------- 空の空2 の つづき 3 ----------デス---------------



天へ続く螺旋状の道を進み、辿りついた上界は、ジャックと豆の木の巨人城とはかけ離れた、ごく普通の暮らしぶりが伺える郊外の風景であった。

上界は広い草原の丘が拡がり、放牧でもしていそうなのどかな牧場のようだ。


『ここが空の上?』

「ん~・・おじちゃんのいたところよりは上だけど、正確に言えばまだ空の下。』

空の下?まだ上があるのか。
私は今来たばかりの上界のさらに上の空を見上げながら黙ってハイジの後を歩いた。

草原の中道を進んでいるハイジが立ち止まった。
「あそこのおうちに寄るのよ。」

緑の葉に覆われ丸く見えるおとぎ話に出てくるようなこの家はますます巨人の城とは無縁の、
それはグリム童話集の赤頭巾ちゃんの家のような森の中の一軒家だった。

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グリム童話の赤頭巾ちゃん・・・あれもとんでもない話だったよな。
お婆さんの家にパンを届けに行く赤頭巾が道草をしては駄目だと言われたのに道草をして、お婆さんの家に行ったら、先回りしておばあさんに化けていた狼に食べられて、その狼を猟師が殺してお腹をあけたらおばあさんと赤頭巾が元気に戻ってきたって、あの話しだ。
狼を殺して腹を開けるなど、残酷描写極まりない話しだ。

だけど・・・あの家にその狼の祟りがあったらいやだな。。。

随分と大きな家だ、誰がいるんだろう。

家の前まで来るとハイジは木製の大きな扉をゴンゴンと叩き、「ハイジよ。開けて。」

ん??確か、あの話も「赤頭巾よ。開けて」だったよな、、、
どうか狼が出てきませんように・・

重たそうなドアがグゥーと鈍い音を立てて開いた。

「あっ・・・」私は思わず言ってしまった。
「巨人。。。」

開いたドアの向こうには、軽く6mはあるだろう、背丈の大きながっしりとした体格の黒スーツの大男が立っていた。

ギロリと私を睨み背を向けながら一言『入れ』と言った。

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戸惑う私にハイジはにこにことしながら「入りましょ」と言いい、私の手を引いた。
ビクつきながらも私は中へ入った。

中へ入ると左側に扉があり、正面左奥には2階へ続く階段、右側には、キッチンとロフト式のリビングと寝室があった。

『へ?、、、こ ん な に・・・・』くすッ。

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目の前をのしのしと歩く大男からは想像も出来ない可愛い室内に、もしかすると大男は案外いい人なのかもしれないと思い、少し安堵した気の緩みからつい、クスっと笑ってしまった。

ギロリ。大男が睨んだ。

『す、素敵なおうちですね。』

慌てて取り繕う私の言葉に大男はやはり一言、「まあな。」とだけ返した。
そして室内をぐるりと一周し、玄関脇の左側のドアの前で大男は立ち止まった。
「この部屋を使え。少し休んだら始めるぞ。」

『始めるって?この部屋を使えって?』

ハイジは言った。
「おじちゃんはこれから天空界のテストを受けるの。そのテストに受かるまではずっと此処にいるの。
受かればビザが発給されて天空界見学ができるわ。頑張ってね!」

『がんばってね、って・・。じゃあ受からないとここから出られないの?』

「ううん、このお家からは出られることは出られるけど・・
9回受けてもダメな時は、この上界で門番や手下として一生働き続けるのよ。じゃあね!」

『じゃあねって・・・』

「入れ。飲み物と食べ物はテーブルの上だ。風呂は部屋の奥だ。」

大男はそう言うと部屋の鍵を閉めた。

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破れかぶれと上界に来たはいいが、まさかこんなことになるとは・・
参ったな・・ここはどういう世界なんだろう。
それにしてもやけにメルヘンチックな室内だ、これも大男の趣味だろうか。。。
このホットケーキは食べても変なことにならないだろうか、、、
ジュースは飲んでも大丈夫だろうか、、、
いささか心配ではあったが、飲まず食わずで5時間以上も歩きつづけたため、咽喉も渇き、お腹も空いていた私はすぐさま口にした。
『うん!うまい!!!』

腹ごしらえも済み、少し落ち着いたところで室内を見回した。

ベッド脇には本棚があり、数冊の本が入っている。
ここがどういう処なのか、何か参考になる事が書いてあるかもしれない。
私が本に手を触れた時、ガチャガチャ、ドアの鍵が開いた。

「おい、時間だ。審査を始める。2階へ上がれ。」

大男に呼ばれた私は2階の審査部屋へと通された。

「入れ。」

その部屋は壁一面に絵画が描かれていた。

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「ここはアガサの部屋だ。
この絵、どこかおかしいだろ。何があったか、どこがおかしいか。
ふふん、お前にこの美術館の謎が解けるかな?
これが解答用紙だ。制限時間は7分だ。始め!!」


いよいよ、天空見学ビザ発給の審査が始った。

               ↑
(絵画の謎解き、皆様もご一緒にお考えくださいね♪ 解答これは明日♪)
(前回の女の子の居場所は最終話で♪)


----------------------- 次回へ つ づ く ------デス-----------------------


◆空の空4

Posted by 空耳ロバ on

--------------------- 空の空3 の つづき 4 ----------デス---------------


ハイジに連れられ、大男のいるメルヘンチックな館に案内され、ここで天空界を見学するビザ発給のための審査を受けなければならなかった。
別名「アガサの部屋」と名づけられた審査室には、壁一面に美術館の絵画が描かれていた。
審査内容はこの美術館の光景画はどこかおかしく、何かが隠されている、その謎解きをせよと言うものだった。

制限時間7分・・・・
ん~・・・

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子供の頃から雑誌に掲載されている間違い探しのページが好きだった私は間違い探しも得意だった。
が、、それは遊びの話しだ。
実際に、審査が通らなければその審査を9回も受け、それでも不合格になったら一生、この天空界の門番や手下として働かなければならないと言う切羽詰った状況では、得意分野であっても制限時間が設けられた間違い探しや謎解きも万全な力を発揮できないものだ。

まじまじと絵画を眺めた。
何が隠されているのだろう。。。どこがおかしいのだろう・・・
焦燥感が感を鈍らせる。

黒猫が3匹、男性客が4人、案内係がいてご婦人が、、
ん~・・
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「終了!!!!」大男のどすの効いた声が響いた。

「謎は解けたか?説明してもらおうか・・・」


『はい、わかりました。
まず、美術館の光景と同じ絵が飾られている。(白色枠で囲った絵だよ)
飾られた絵画をよく見て。
そして何事もなく鑑賞しているこの美術館で殺人事件があった。
殺されたのはこの美術館のオーナーだ。』


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                (白囲み部分の絵の拡大)
    絵画1

『ほらね!
この美術館の絵を小さくしたような飾られている絵には人型に記されている捜査の跡がある。
大きな絵の丁度、青色の楕円枠のところだね。ここでオーナーは殺されていたんだ。』

「なぜ、オーナーとわかった?」

『飾られた絵には、上に美術館のオーナーの名前があるけど、見て!
青四角枠で囲った大きな絵の方ではオーナーの名前が消されている。
だから殺されたのは美術館のオーナーだよ。』

「なぜ、殺人だと思う?病気かもしれないじゃないか。」

『これは殺人事件だよ。
飾られている小さな絵にはないけど、大きな絵の方を見て。
黒四角で囲ったところ・・・これは殺された時に飛んだ血痕が残っている。
だから殺人事件なんだ。』

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「うーむ・・・なぜわかった?」

『この部屋の名前。アガサの部屋って言ったでしょ。
アガサクリスティ・・イギリスの推理作家、ミステリーの女王と同じ名前だったからだよ。』

「うーむ、、なるほど。。。それで?」

『エッ?それでってまだあるの?』

「肝心の犯人は誰だ?事件には必ず犯人がいるだろう。
犯人がわからないならビザは発給できないな。当分此処で毎日テストを受けてもらうことになるぞ。」

『待って!・・・犯人?、、、えっと・・・』

アガサクリスティの世界なら必ずこの中に犯人がいるはずだ。
誰だ?一番怪しい奴は?
・・目の前にいる大男を見るとやはり、ジャックと豆の木のジャックとジャックのお母さんに殺された巨人を連想してしまう。
ダメでもともとだ!

『犯人判りました。
この黒い服、絵の中、左端にいるサングラスをかけているこの女です!』

「。。。見事だ。。。
そうだ。この黒服の女が犯人だ。
この黒服の女は、昔、息子と一緒に巨人の城から盗みを働き、取り返そうとした巨人を殺して盗んだ品物で裕福に暮らした。
その罰として、この絵の中に封じ込まれたのだ。
よしッ!!ビザを発給してやる。
明日の朝、地図とビザを持って出発しろ。
今夜はゆっくり休め。」
そう言いながら部屋を後にした大男の目にうっすらと涙が光っていた。

審査が終わり部屋を出るとすっかりと夜になっていた。

ゆっくり休めと言われても、バニラビーンズのような甘い香りにメルヘンチックな部屋はどうも落ち着かない。
審査部屋、アガサの部屋を出た時の大男の涙も気になる。
大男は何をしているのだろう、まさか、夜な夜な包丁か斧でも研いでいるのではあるまいか。

私は大男の様子を窺おうと、ソーッと部屋を出て、明かりが漏れている書斎を覗いた。

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 またお菓子?
書斎の机には、書物の他にケーキやクッキーなどの菓子が置いてあり、大男はよほどの菓子好きと見える。
一瞬、グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」を思い出した。

「ヘンゼルとグレーテル」あれもおかしな話だったな、、
貧しくて親に捨てられた兄妹が森の中で迷い、魔女の住むお菓子の家に入り込んで、ご馳走になった挙句、夜になって魔女に食べられそうになったからと、魔女を竈の火の中へ突き飛ばして、殺し、財宝を盗み、家へ帰り親子4人で幸せに暮らしたって話し。。
ありえないな・・
いくら食べられそうになったからと言って、殺した上に財宝を盗むだなんて子供のくせに、親の顔が見てみたいものだ。
ジャックのお母さんのようにヘンゼルとグレーテルも罰として絵の中に閉じ込められなければいけないな・・
そんなことを考えながら書斎を見回した。
しかし、書斎に大男の姿はない。
やっぱり、包丁を研いでいるのか?

廊下に出ると、審査を受けた2階の「アガサの部屋」の灯りが点いている。
私は音を立てないように慎重に階段を上がり、アガサの部屋を覗いた。

大男は先ほどの絵画の前で、絵の中の薄紫のワンピースに帽子をかぶった美術館の案内係の少女に涙を流しながら話しかけていた。
見てはいけないものを見てしまったような気がした私は、再び、音を立てないよう静かに自分の部屋へ戻った。

翌朝、前日と変わりなく無愛想な大男に、なぜか少しほっとした気分になった。

「これがビザ、これが地図だ。持って行け。」

大男から渡された「ビザ」は丸いガラス瓶に入った小さな苗、地図は何も書いていない古い木の皮のような物だった。

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『これがビザ?地図?って・・これ、何も書いていないけど。』

「そうだ。大事にしろ。
地図は必要な時になれば浮いて出てくる、お前の行くコースは決まっている。
何も書いてなくても気にするな。」

『決まっている?』

「お前は「氷山の一角」からスタートする。そこまではハイジが案内する。そろそろ向かえに来る頃だ。」

どん!どん!

「ハイジが迎えに来た。 もう行け!」

『あ、ありがとう。』
私は大男に礼を言い、迎えに来たハイジと共に家を後にした。
何歩か歩いたところで大男の家を振り返った。

『アッ・・・』

その家のには・・・

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あの表札の意味、そして大男があの家にいる理由(ワケ)は、道々、ハイジに聞くことにしよう。
・・・と、私は「氷山の一角」に向かって歩き出した。


------------------ 次 回 へ ----------- つ づ く -------------デス--------



◆空の空5

Posted by 空耳ロバ on

--------------------- 空の空4 の つづき 5 ----------デス---------------


迎えに来てくれたハイジと共に「氷山の一角」をめざし歩いていた。
途中、あの大男のいた館について尋ねた。

『ねえ、ハイジ、あの館にいた大男はヘンゼルと言うの?
審査室「アガサの部屋」の絵画の中の案内係りの少女はグレーテル?
ヘンゼルとグレーテルは罰を受けて、あそこにいるの?』

「そうよ。
魔女を殺し財宝を盗み、それで親子4人が裕福な生活をしたのだから当然の罰ね。
で、ヘンゼルは一生、お菓子だけを食べて生きなければならないし、グレーテルは絵の中にいなければならないの。恩赦でもなければ出られない、終身刑よ。」

お菓子しか食べちゃいけないんだ。。。
ハイジは風貌に似合わず、はっきりとした厳しい性格のようだ。

「着いたわ、ここが氷山の一角の入り口よ。じゃ。」

『ありがとう。』

少し緊張はしているが、興味が勝っている私は、「氷山の一角」にワクワクとした気持ちで入って行った。


“氷山”と言うだけあり、かなりの冷える勾配のキツイ山道を登って行くと、その周辺には、トパーズやルビー、アメジストなど宝石のように光る尖った岩がゴツゴツと顔を出している。

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『きれいだなぁ・・』

岩の前に立たつと鏡のように私の全身が映った。

氷山と言うくらいだからきっと氷なのだろうが、これがもしも、本物の宝石ならば相当な額になるだろう。
何で出来ているのかな?
宝石だとしたら・・こんなにあるんだ、少しくらい削って持ち帰ってもわからないよな、、
そんな邪な心がよぎった時、私が映る氷の岩に親子の白熊が映った。

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『わぁ、熊だ!』待てよ・・慌てて動いてはいけない。ここは死んだふりをして行き過ぎるのを待つとしよう。

薄目を開けて様子を窺っていると、母熊は大切そうに小熊を抱いている。
その眼差しは優しい母そのものだ。
そこへ、猟師風の男が近づいてきた。

(あ~熊さん親子、逃げろ。。。殺されるぞ、逃げてくれ~)

猟師風の男は、とうとう親子熊の直ぐ近くまで来た。

(あ~もうダメだ! 撃つな! 撃つな! 頼む、撃たないであげてくれ!)

『撃つなぁー! 親子なんだぞ 撃つなぁ!!

私は死んだふりをしていたことなど忘れ、思わず大声で男に向かって叫んだ。

猟師は私をチラリと見たが、無言で熊の傍に立った。

「お疲れ様でございます。お子様のお食事のご用意が整いました。
お母様はお子様のお食事の間、ごゆっくりとお休みください。私が肩をお揉みいたします。」

?????えっ? なに・・?

      『あっ!ベートーベン!』

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「判決を言う。
被告を終身刑とする。
被告は、終身慈愛と謝罪の心を持って射殺した熊に対し、献身的に世話をする。
判決に従わない場合は、より重罪を申し渡す。以上。」

「えー!!そんな無茶苦茶な話があるかよ~!!!控訴してやる!!」

「やまかましぃ!この世界に不服申し立てなど存在しない!よって、控訴もないのだ!」
    
「閉 廷!」

『・・・』特に悪いことはしていはいないが、裁判官の迫力に怖気づき、気付かれないように氷の傍を離れた。

「待ちなさい。」
ベートーベン裁判官が私に声をかけた。

『あ・・ちょっと法廷見学を・・』

「見学?ビザは?」

私は大男から発給されたビザのガラスケースの苗を見せた。

「うん、いいでしょう・・」

『あの、今の終身刑って・・?』

「ああ、貴方も此処に来る途中でご覧になったでしょう?親子の熊を。
冬眠前や春先に食べ物を探しに人里に出てくる熊などは、容赦なく射殺されてしまう。。
かわいそうに、射殺された熊は子がいる親熊も多い。
親を待つ子熊も哀れだ・・
本来、熊や鹿のいる場所に、後から人間が勝手に住み着いて自然を破壊して、
人間が熊や鹿たち野生の食べ物を奪い、食べ物がなくなり人里に下りて来ているのにな・・
ここでは、そうして気の毒な運命を辿ってしまった動物達の「涙」がこの氷山となっているのだ。
そうして、自然を奪った者達は、ここで終身、その動物達の召使となって働いているのだ。」

『この氷の岩は涙の塊だったんですか?』

「さよう。
自然破壊が進めば、困るのは動物達だけではない。
この空の下で暮らす人々の心も不安定になる。
不安定になる者が多くなった時、この氷の山をかいて、雹にして落とし、空から警告しているのだ。
もっとも、利益だけを重んじる者達が多い空の下では、この警告に気付いていないようだがな・・」

『空の下に住む者としては耳が痛いお話です。』

「まあ、この自然破壊の話は世界中の氷山の一角にすぎんよ。
それで、貴方はここに何しに来たのかな?これからどこへ行くのかな?」

そういえば、私は何しに来たのだろう、、、ただ、仕事や日常に疲れ、勢いで目的もなく来てしまった。
とりあえず、行き先を言わないと。。。
天空界に入った時に見えた、あの都市みたいなところに行ってみたいのだから・・・
地図、地図。

『私はここに観光に行こうと思います。』
(必要な時に浮かび上がってくる)そう大男は言っていた。
地図を取り出し広げた。

地図の中の地図

大男の言ったとおり、白紙だった地図には、私の行きたい観光都市が描かれていた。


「あーここね、、、こここからだと・・・この氷の岩を少し離れたところから見てご覧。」

私は裁判官のいる氷の岩から少し離れてその岩を見た。

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『あれ?裁判所と私達のいたこの氷の岩山、形が似ていますね。』

「うん、そうだろ。
正しくは裁判所ではなく、ここでは氷廷所と言うがな。
今、私がいるのは大きな氷の岩の方だ。そして、貴方がいつもいたのは、下の小さい氷の方だが、貴方の行きたい都市には・・こうしてと・・」

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『うわぁー』
私は、真ッ逆さまに落ちた。
落ちていく中で、裁判官が私に言った。

「判決を言う。
訴外被告(訴訟をしている被告側の関係者であるが、訴訟には加わっていない者のこと)を至急、天空界都市送りとする。
なお、裁判官はベートーベンではない。」

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『あ・・あれ??ペンギン?猫?うわぁあー』
私は逆さまになったまま、凄い速さで落ち続けている。

遠くで猫ペンギン裁判官の声が聞こえた。
「氷山は本当は大きいが、表面にはその一角が見えているだけだ。
この涙の塊が全て溶け出すと空の下の者達も、大変なことになるぞ。
時間よ!とまれ!!!」


------------------------- 明日へ つ づ き ます。-----------------------------


長々とくだらない話を、すみません。。。。

明日も皆様に良いこと素敵なことが沢山ありますように・・・

◆空の空6

Posted by 空耳ロバ on

--------------------- 空の空5 の つづき 6 ----------デス---------------



『わわわわぁー』
氷山の一角から真っ逆さまに落ちている私の頭の中にはこれまでの人生が走馬燈のようによみがえってきた。

(なるほど、たいした人生ではなかった、それもそのはず、努力もせずにここまで生きてきたのだから・・
ここで終わりか。
もっと親孝行をすればよかった。もっと自分のため、人のために努力をすればよかった。
今度生まれてきたら・・・)

川が見えた。ああここに落ちるのか。。。
そう覚悟を決めた時、私の身体は何の衝撃もなく下から何かにふわりと押し戻されたように浮いた。
               
                   『ああ、あれっれ???』


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さっきまでいた、あの氷山の一角のように、上下反転の世界が広がり、その間を私が飛んでいる。

『わあ、すごい!』

雲の間からは、私がいた空の下の雑踏が微かに見える。
ここから見ると仕事場での嫌なことや日常のわずらわしいことなど、全てが小さなことのように思えた。
浮力に身を任せ進んでいると、天空都市が見えてきた。

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浮いていた私の身体はふんわりふんわりと降りて行き天空都市の門の前に着地した。

さてと・・
辺りを見回すと天空都市の入り口に向かって歩く一人の男の姿が見えた。

入り口

あの人に聞いてみよう・・

『あの、受付はどこですか?』

「受付?そんなもん、ここにはねぇな。あんたもここに働きに来たのかい?」

『いえ、見学に・・』

「へん、見学なんてのん気なことを・・時間がないから先に行くよ、またな!」
男は足早に門の中へ入り、つり橋を渡っていった。
私もその後に次ぎ、つり橋を渡り都市の中へ入った。
さあ、右に行こうか左に行こうか・・
都市と言う割には人気の少ない場所だが、正面の河畔では何人かの人が忙しそうに行ったり来たりしている。
ええっと・・地図を広げた。

            chijilyou.jpg

広げた地図の中には私がいた。
まるでカーナビのようだ。
これなら迷うことはなさそうだが、一体どこへ行けばいいのか・・・
案内人とかいないのかな?誰かいればお薦めのコースとか聞けるんだけどな・・
地図を眺めていると・・
『ああ・・』地図が消え文字が浮んだ。

          2


そうか・・・私は右へ進むことにした。


------------- 非常に短くつづくです。あと2回で終わらせる予定です ----------


いつもつまらない話しにお付き合いいただきましてありがとうございます。

最近、なぜかFC2のみポイントが繁栄されない現象がおきております。
折角のご好意を頂ながら申し訳ありません。
問い合わせをしたところ、「短時間に複数回押されているため」との事でしたが

え~・・・・そんなことは・・・・・

此方からお邪魔した際のポチポチも皆様に反映されていないのではと不安になりますが、
皆様のところはいかがでしょうか?

さて、お休みもあと1日となってしまいました。
秋晴れ予報の3連休、最終日、素敵な休日となりますように・・・

いつもありがとうございます。感謝です。

◆空の空7

Posted by 空耳ロバ on

----------------- 連投ごめんなさい ◆空の空6のつづき 7 ---------デス-----



少し曲がった道をしばらく歩いていると湖畔沿いに近代的なビルが数棟建っていた。
一見するとホテルのようだ。私は河畔の傍まで行ってみることにした、

湖畔の水面には白い雲が浮かび、やはり反転の世界のように見える。
湖の中で名にやら作業をしている一人の少年を見つけた。
   
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『こんにちわ。あのぉお忙しいところすみません、、、』

「えぇ? ああ、氷山の一角からいらした空の下の方?」

猫ペンギン裁判官から話がいっているようだ。
『あ。。はい、ちょっとよろしいですか?』

「ああ、今、そっちに行くよ。」

少年は傍に停泊していた船に乗ったかと思うと滑るように船は動き出し、瞬きをする間に、私の目の前に到着した。

「・・で?何しにここへ?」

ん~猫ペンギン裁判官からもそう聞かれたが、特に何をしに来たわけでわないし、目的があるわけでもない。

『えっと・・観光!そう、観光で。』

「なんの?何が見たくてきたの?」

『なにって・・・』

「あはは・・多いんだよね、そういう人。
目的もなく、あっても到底叶わない大きすぎる理想を持って、大きすぎるから達成も出来ない。
出来ないから自分はダメだと勝手に落ち込んで、そのうち悪いのは回りだって思い始めて、最後には無気力になりただ生きてる人。」

私はこんな子供のくせに生意気なと少しカチンときて、ムキになって言った。
『じゃあ、君は此処で何をしていたのさ。
そう言うからには、君は何か目的を持って湖畔にいたんだよね?』

「おじさん、ここではね、目的なんか持っちゃいけないんだ。それが与えられた刑だからね。」

少年から予想外の答えが返ってきた。私は少し戸惑いながらも再び尋ねた。

『河畔で何をしていたの?』

「雨の調整。氷山の一角で聞いたでしょ?あそこは雹、ここではその氷が解けた水の調整をして、
この先に大きな湖が見えるでしょ。あそこに流すんだ。」

『毎日?』

「うん、そうだよ。ここにいる人は皆、休みなく毎日働いているよ。」

『休みがないのは大変だね。』

「空の下にいる時は休みがあったけどね。」

『空の下?空の下に居たことがあるの?君はいつからここにいるの?』

「ん~・・・かれこれ2千5,600年かな・・紀元前600年辺りからここにいるよ。」

『紀元前600年?そんなに前から・・』

「ああ、そうさ。
空の下はこの数千年でずいぶんと変わったから、雨の量も多くなって調整するのがたいへんだよ。」

『それで最近ゲリラ雨が多いんだね。』

「案内するよ。そのかわり、空の下に帰る時、僕も連れて帰ってよ。
ほら、丸いガラスケースに入ったビザ、持ってるでしょ?あれがあれば帰れるんだ。」

なんとなく嫌な予感がした。
この少年にビザを渡せば、私は少年の代わりに、一生ここにいなければならなくなりそうだ。

『君はビザは持ってなかったの?』

「ないよ。あれば帰れるんだ。いいだろ、おじさん、一緒に帰っても・・
どうせ、おじさんはもう二度と生まれてきたくないんでしょ。生まれ変わりたくないんでしょ。
街頭アンケートでそう答えてたじゃない。」

『え?・・』
確かに私は街頭アンケートにそう答えた、そしてその後、ジャックと豆の木のような木に出会い、この上界へ上がってきたのだ。
この少年は、なぜ、それを知っている?

『いいよ、地図があるから自分で歩いていくよ。ありがとう。』

「チェッ!!上手くいくと思ったのにな。」

少年は舌打ちをしながらまた湖畔へと戻っていった。
その後姿は・・
イ ソ ッ プ 物 語?狼と羊飼いの少年?


---------先ほど投稿 短すぎたので連投してしまいました。が やっぱりつづく -------

連休最終日、事故などありませんように・・
素敵な朝をお迎えください。

おやすみなさい・・・・

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◆空の空8

Posted by 空耳ロバ on

--------------------- 空の空7 の つづき 8 ----------デス---------------



狼と羊飼い?の少年と別れた私は、特に当てもなく河畔沿いに建つビルの脇を通り、つり橋が渡してある島へと向かった。

歩いていると、スルスルと一匹の白ネズミが私の足下をすり抜けた。

おお、危なかった、、、間違えれば踏んでしまうところだ。
白ネズミは私を振り返り少し立ち止まった。
そして再び距離を置き、また振り返った。
その面持ちはこっちへおいでよと言いたげだ。
どのみち当てのない旅だ、白ねずみのあとを付いていくことにした。

丁度、私の握りこぶし程度の大きさであろうか、壁に小さな穴の開いたビルの前で白ネズミは一旦立ち止まって私を振り返り、その壁の穴へ飛び込んでいった。

              壁の穴

私も後に続きたいところではあるが、握りこぶし程度の小さな穴にはどうしたって入れるはずはない。
私は白ネズミが入り込んだ穴を覗いた。

『あ・・・』


冗談じゃないわ!      君、返事だけでいつもできて    素晴らしい出来だ!! 
これはパワハラよ!!   ないんだよね。             我が社のホープだ!!
労働基準局に訴えて    いつになったら出来上がるの?  期待どおりの進行だ!!!
やるから!          返事だけなら誰でも出来るよ。   あははは・・どうもどうも。
けんか    1175644787.jpg    roc0069.jpg
何言ってるんだ!       はい、、これでも精一杯      ふん!誇らしげにしやがって
出来ないくせに言いたい   やっているんですが。       いけ好かない奴だ。
ことだけ言って君にも問   (あーあやんなっちゃうな)     たまたま運がよかっただけだ。
題あるんだからな!!!  (ツイテないなこんな上司で)   いい気になって!気に入らない奴!


いるんだな。。どこの世界にも嫌な奴・・・
しかし、しばらく見ているとこの上司達の言うことももっともだ。
この女性は、社内の噂話ばかりしてろくに仕事もしていない。
その上、欠勤も目立つ。

この叱られている男性社員も似たようなものだ。
「はい」と返事だけはするが頼まれたことが一向に進んでいない。
頼まれた仕事も終わっていないのに、飲み会だけには毎回出席かぁ・・
これでは叱られても無理もないな。

このいけ好かない奴、、と思っていたが、誰よりも一番早く出社し、一番遅く退社か。。
あれッ!
家に帰ってまでも調べ物をしてるのかぁ・・努力してるんだな。。
そうだよ!こういうのが努力って言うんだ、叱られてるこの男に言ってやりたいな。

あ・・・・叱られているこの男。。どこかで見た気がすると思っていたが。。。
それは自分のふがいなさを人のせいにしている空の下の私の姿だった。

唖然としている私の前に、ニヤニヤとしながら再び白ネズミが出てきた。

「おじさん、これからどこ行くの?」

『え・・あ・・えっと・・4つの島を回ろうかと思って。』

「ふーん。それならここで島のこと教えてあげるよ。見て。」

           peint_convert_20121009010155.jpg


「1の島は雲を作る島、2の島は風をおこす島、3の島は氷河から溶けた水をためた湖から一部の水で雪を作る島だよ。」

『この色の違う4の島は?』

「ん・・・ここには行かない方がいいと思うよ。危ないから。」

『そうなんだぁ。』

「順番に回るなら、あ・・・丁度来た。
ほら、あの定期便に乗るといいよ。あれに乗れば4の島以外には全て停まるから簡単に行けるよ。」

『ありがとう、そうするよ。』

私は白ネズミに教えてもらった定期便に乗り、島巡りをすることにした。
      
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-------------------- つ づ く -----desu---次回最終話です--------------------


つまらないものにお付き合いいただきありがとうございます。
次回最終話といたしますので、よろしくおねがいいたします。

今日もこんな時間になってしまいました。

皆様に素敵な一週間となりますように・・・
私も平穏無事な一週間となりますように(ちょっと地味。。。)

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◆空の空9 最終話

Posted by 空耳ロバ on

---------------- 空の空8 の つづき 9 最終話 少し長めになってしまいました---------

島巡りをするため、白ネズミから教えてもらった鯨の定期便に乗った私は、滅多に体験できない空中散歩を楽しんでいた。

        027272_convert_20121009153649.jpg

ゆったりと動く定期便は子供の頃に一度乗ってみたいと憧れていた飛行船のようだ。
飛行船と違うのは、鯨の背中に乗っていることだけだ。
緑色に見える島々は森や林の多い、豊かな自然を物語っている。

その中に一つだけ深い深い青色のような島が見えた。

どうやらこれが、危ないから行かない方がいいと白ネズミが教えてくれた「4の島」らしい。
なるほど定期便すら「4の島」は通過だ。
輪郭だけがかろうじて見える「4の島」は殆どが暗闇の世界らしい。

暗闇の「4の島」にポツポツと灯りが点いた。
『なんだ。危険だとか言いながらも誰か住んでいるんだ、どれどれ。。』

『ううっわあああああああ~』

もう少し見える位置に移動しようと身体を動かした途端にバランスを崩し、私は鯨の背中から滑り落ちてしまった。

ふわっ・・・
氷山の一角から真っ逆さまに落ちた時と同じだった。
私の身体はふんわりと浮き、何の衝撃もなく地面に着地した。

ああ、、助かった。

遠くにポツポツと灯りが浮いているのが見える。
空から見えた灯りはあれだな。
虫ではないが、暗いところよりはやはり明かりの灯っている方がいい。
私はその灯りを目指して歩いていった。

        027264_convert_20121009184633.jpg

明かりの近くまで行くと、丸く浮いている灯りと同じ灯りを持った一人の男が立っていた。
その男は空中都市の入り口で会った無愛想な男だった。

『すみません、あの、ここは4の島でよろしいんですよね?』

「ああ、そうだ。あんた、ビザはまだ持っているか?」

『あ、はい。』私はガラス瓶に入ったビザを見せた。

「それ、大事にしろよ。
ああ、あんた、空中都市の入り口で会った空の下から来た人だね。」

『あ、はい。覚えていてくださったんですか?』

「ああ。ここまで来る奴は滅多にいないからな。」

『定期便からすべり落ちてしまって、、、』

「はははは・・・それは気の毒だったな。
あんた、ここがどんなところか知っているか?」

『いえ・・・危ないところとは聞いたんですが。。』

「危ない?
ははは・・・危ないどころか、、
4の島の4はヨンとは読まない。
わかるよな、、ここはな・・・」
男はこの4の島について話し始めた。

「ここでは皆、目的も野心も持たずに暮らしている。
競争や雑事のない、一見すれば和やかに見えるが、ただ毎日を漠然と暮らしているだけだ。
だから、今日が何年何月何日で季節が変わったかどうかなんて皆、どうでもいいと気にもしていない。

ほら、あんた、以前「脳内ツアー」に参加しただろ、その時、殆どの人は鏡を置いて帰ったはずだ。
なぜ、鏡を置いて帰らせたと思う?」

そう言えばあの時、ツアー参加の記念品の鏡を皆、怒って置いて帰ってしまった。

『たしか、、ツアー会社の添乗員と最高顧問、それにソードという女秘書がいて、ツアーに参加した境界線上の人たちの心を鏡に映して、その鏡を置いて帰らせることで人の心を奪ってしまうという計画だったような、、』

「そうだ、よく覚えていたな。
2回目の「脳内ツアー」は覚えているか?
1回目のツアーで鏡を持ち帰った一人が2回目ツアーに参加していなかった。
だが、最高顧問は慌てなかった。

なぜだと思う?

2度目のツアーの時は鏡に自分を映しただけで、心が別の物に移ったからだ。
だから、鏡の代りに最高顧問の手元には木箱の中にカラーボールが沢山あっただろ。。
あのカラーボールはその時の参加者の心だ。」

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『あ~そう言う事か。じゃあ黒猫のシロは?』

「シロ・・?
ああ、あれは奴らの失敗だったな。

1回目のツアーで鏡を持ち帰った人間を見張るために置いたが、その人間は大の猫好きだ。
黒猫のシロは行きたいところがあった。
だから、大の猫好きの人間の下へ行けば願いを叶えてくれることも知っていたから最高顧問の元から逃げ出しちまったのさ。
あんたも「百日参り」で知っての通り、シロは今、他の仲間達と一緒にいるよ。

もうわかっただろ。

あんたを上界まで案内した「ハイジ」は顧問秘書のソード。
湖畔で会った少年は狼少年なんかじゃない、添乗員のフールだよ。

此処は、そうやって奴らに心の弱い部分、心の醜い部分の隙を奪われた人間の棲家だ。

空の下にいた頃から、何も考えず、目的も持たない。
上手くいけば自分の力、ひとたび躓けば人のせいだ。
人と競争し、人をライバルと思い、自分ではそれが向上心のつもりでいるが、
実際は、ライバルと思った時点で、負けたくないと思った時点で、既に相手に負けていることに気付かない、
空の上には空があるように上を見ても下を見てもきりがないのにな・・・・
自分と人を比べてしまう、そんな器の小さい人間達の棲家なんだ。

ところで、あんた、今日が何日か知っているか?」


『えっと・・此処に来てから今日で2日目だから・・っと・・2012年10月9日です。』

「2012年?馬鹿言っちゃいけないよ。今は2212年だ。」

2212?・・・まだ2日しか経っていないのに?
そんな馬鹿な・・・それでは浦島太郎の逆バージョンだ。
帰れなくなったらどうしよう・・

『私は、この空の下にはもう帰れないんでしょうか?
此処に来るまでは生まれ変わりたくない、どうでもいいと思っていましたが、もう一度、空の下で頑張りたいんです。』

「んーどうだかな・・・まあ、でもあんたは今日が何日かも知っている、安心しな。
裁判官が時間を止めてくれているからきっと帰れるよ、空の下に。」

『よかった・・いつ頃、帰れますか?』
私の前にプカプカと灯りが浮いて動いてきた。

『ああ、これ、綺麗ですね。定期便からも・・』手に取ろうとした。

「触っちゃダメだあ!!!!」男が叫んだ。

その声に驚き、掴み損ねた私は崖からまた真っ逆さまに落ち始めた。

うぁああああああー わああああああ・・・

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気がつけば私は公園のベンチにカラーボールを握り、座っていた。
いつの間にかうたた寝をしてしまったようだ。
夢だったのか?慌てて時計を見た。
時計の針は公園に来た12時20分で止まったままだ。
おかしいな・・・
会社に戻り、カバンを開けた。
カバンの中には丸いガラスケースに入った小さな苗が入っていた。
いつのまに?
私はケースから苗を取り出し会社の中庭に植えた。

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小さな小さな若葉は、クリアなボールのように丸く光る太陽の日差しを受けて青々と輝き、生きる強さを押しててくれているようだった。
私は晴れ晴れとした気分で部長室のドアをノックした。

『異動辞令、ありがたくお受けいたします。』

「おお、行ってくれるか? 倉庫室。
そのうちまた戻って来られるようにしてやるからな。」

『はい、ありがとうございます。』

あの人、左遷でしょ?
島流しってとこだよね。。
部長から嫌われてたもんね。
嫌がらせだよね・・

ヒソヒソ話が耳をつく、が、私はもう誰かと自分を比べることはしない。
空の上には空がある。まだまだだ。
自分にも悪いところがあったのだ。
これは嫌がらせではない。
忙しく時間に追われる日々から開放される新たな一歩を踏み出す時間だ。

だが、
実際に異動すると、倉庫番の仕事はやはり単調で暇だ。
暇に任せ、念入りに倉庫室の掃除をした。
気持ちよく働けるようにトイレも炊事場も顔が映るくらいピカピカに磨いた。
定時に終了した後は、自分の勉強に力を入れる日々が数ヶ月も過ぎた頃。

リリーン、りりーん、電話が鳴った。

「おめでとうございます。本社、栄転ですよ。
知ってましたか?
貴方に嫌がらせしていたあの部長、背任でクビになったって?」

『いつ?』

「先輩が異動になった2ヵ月後ですよ。人生わかんないもんですよね。」

急遽、本社に呼び戻された私は、出勤後、真っ先に中庭へ向かった。

中庭には、あの時植えた小さな苗が、大きな大きな豆の木へと成長していた。

             oshimai.jpg



--------------------------《 女の子2名の場所 答え 》-------------------

空の空1話、女の子の居場所 答え合わせ

    居場所


      螺旋状の道、1,2の位置に女の子がいました。拡大してみましょう

     女の子
                        ねッ!!


長々とくだらない読み物に最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

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今日より明日がもっと良い日でありますように・・・

明日は更新、おやすみします。

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