神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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木箱の蓋

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ふと仲の良かった友人『 T 』を思い出した。

マスコミ関係に勤務していた頃、あるレコード会社の年末パーティーに出席した。
芸能人にはとんと疎かった私だったが、そのレコード会社の所属アーティストTを一目見てファンになった。
知人のディレクターに紹介してもらい、電話番号を渡し、連絡が来るのを待った。

ここは雷神トール様の力を借りよう!
*連絡がくるおまじない(火曜日の夜のみ行う)
『オートール願いを聞きたまえ(3回唱える)オートール・ナ・ボルドニ ○○○』
(○○○には願い事を入れる)

このおまじないを行ったかどうか、はてまた、効果があったかどうかは定かではないが、仲良くなるのにそう時間はかからなかった。

私が退職した後も飲みに行ったり、T宅にもよく遊びに行ったりしたものだった。

「どうしているだろう・・・」

転居や転職、アドレス帳の紛失、電話番号の変更等が重なり、連絡を取らなくなってからもう随分と年月が過ぎてしまった。
いや、連絡をとろうと思えば取れたが、Tの連合いの些細な一言に傷つき不愉快になり、連絡をしようとしなかったのだ。

「家にお邪魔をする時には手ぶらで行くものではない」
「人に物をあげる時には二つあれば良い方をあげるもの」

・・・そう教わり育った私はT宅に遊びに行く度に手土産を持参した。
ケーキ、果物、惣菜、子供が生まれた時にはベビー服、成長に合わせ子供服など等・・
今度は何にしようか、、、
手土産の品もネタ切れになるほど、何度もT宅に遊びに行き、家族ぐるみで付き合うほど仲の良い友人だった。

あの時もそうだった。
「歯磨き粉のチューブは出なくなったら半分に切るとまだ一杯残っていて、得した気分になる」
そんな他愛もない会話をTの連合いとしていた。
「そうやって普段は自分にケチケチして、他人に物をあげる時は良い物をあげて優越感にひたるーってやつね(^^)」
・・・Tの連合いは笑いながら言った。

今想えば、私の態度のどこかにそう言った横柄な・高慢ち気な振る舞いがあったのかもしれない。
だが、まだ若かった私は、何気ないその一言に腹が立ち、Tには関係のないところでの話だったが、Tからの連絡も無視し、Tとの付き合いもやめた。

あれから20年以上。
Tは元気にしているだろうか?
芸能活動は引退し別の仕事に就いていたが、まだ同じ会社に勤務しているだろうか?
体の調子はよくなっただろうか? 
それとも地元に帰ったのだろうか?
アドレス帳はとうに紛失し、自宅の電話番号は分からない。

だが、気になり始めると無性に気になってきた。
幸い今は情報社会だ。

20年前の洋服はぁッと・・・今でも入る・・ほッ!ダイエット成功♪
よっしッゃ!!
検索をかけた。
ヒットした。
簡単な紹介文に写真まで掲載してある。
勤務していた会社は数年前に退職していたものの、現在も元気でいるようだ。
よかった・・・

だが、次に私は検索したこと自体を海馬から消そうとしていた。

かろうじて余韻が残る頭髪に、一周り、いや、三周り程度にまで成長したご尊顔。
頭部と顎ラインを結ぶと円形になるその姿に昔の影を見ることは出来ない。
おそらく、街で偶然会っても、すれ違っても、Tとは気づかないだろう。。。。
声をかけられたところで「どちら様ですか!!」語気を強めてしまいそうだ。

『昔から髪の毛と体の自慢はするものじゃないと言うんだよ』
そんな祖母の言葉の裏を取った気分だ。

そうだ!見なかったことにしよう、そうしよう。
海馬に削除を言い聞かすが「あれほどカッコよかったのに・・」再び海馬でこだまする。
最初からそうであれば気にもならないことだが、あまりにもの変貌ぶりに絶句し言葉が見当たらない。

私は開けかけた思い出木箱の蓋を静かに閉じた。しばし落ち着くまで。

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