神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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◆ 脳内ツアー 1◆

Posted by 空耳ロバ on

木箱の中のカラーボールに一つだけマーブル模様のカラーボールを見つけた私は、そのボールだけを手に外に出た。

歩きながら手のひらの上で弾ませたカラーボールは、空中で回転してはまた手の中へ戻る。
そして戻ってきた時にはまた違う模様が顔を向ける。



世の中には、「一体、この人の頭の中どうなってるの?」と頭の中を覗いてみたくなる人がいる。

「?なんだこの行列?」

「 脳 内 ツ ア ー??」

変なツアー・・
そう思いながらも、摩訶不思議なツアーに興味をそそられた私は、行列の周辺をふらつき様子を窺うことにした。


(まったく!言うことをコロコロ変えて回りを翻弄させているのに、仕事が遅い!なんて平然と言う奴がいるから・・・)
(そうそう、機嫌が悪いとちょっとした事で怒って、周りに八つ当たりしてパワーハラスメント振りかざしているくせに、自分が被害者だみたいな顔してる)
(いるんだよね~そういう人)

(毎日予定を入れていないと気が済まない、暇と思われることを異常なまでに嫌う「忙しい人と思われたい症候群」これも難病だよね)

(たいしたこともないくせに偉そうに上から物言って、気にくわないよな!)
(自分じゃ、前向きな明るい性格なんて思い込んでるけど、度を超えたポジティブシンキング、ありゃ、ただのアホだな)

(口開けば、自慢話や愚痴、聞かされる方はたまったもんじゃない!)
(そうそう!そういう奴に限って、自慢してる、愚痴ばかり言ってるって認識していないから相手のストレスもわからないんだよな~)

(思いやりがなくて自分さえよければいい奴とかね)
(いるいる!
本当はすごく嫌な奴なのに、いい人ぶってる、あれは、誰からも「いい人と思われたい症候群」って病ね)

(自分の失敗はなぁなぁで済ませるかとぼけたふり。人の失敗には厳しいくせにね)
(指摘されれば言い訳して他人に責任転嫁して自分は涼しい顔、最低!)

(外では金持ちぶってるけど、実際は細かくて度ケチ!最低!)

(さいてー!!) (最 低!) (サイテー!)

・・・聞こえてくる会話から、世の中、周囲の人に不満のある人達が並んでいる行列のようだ。
ストレス解消ツアーかな?・・・


小旗を持ち、腕章をつけた添乗員らしき男が現れた。

『 お待たせしております。出発の準備が整い次第発射となりますので今しばらくお待ちください 』

(なんだよ~!まだ待たせるのかよ!早くしろよ!)
(いつまで待たせる気よ!)
(どれだけ待ってると思ってるんだよ!)

『 あい、すみません。間もなく準備が整いますので今しばらくお待ちください 』

こんなに長い行列に待ち時間・・・
そうまでして参加したいツアーなのかと思うと、様子を見ていた私は我慢できずに添乗員に尋ねた。

「あの・・誰でも参加できるんですか?」

『 はい、ご参加いただけますが、条件がございまして。
貴方様のお知り合いに境界線上と思われる方が最低1人以上いらっしゃればご参加いただけます。』

「費用はおいくらですか?」

『参加費用は、条件を満たしておいででしたら。
あとは、ご自身のお心と、このくだらない読み物に最後までお付き合いいただくお時間のみでございます』

「条件に合った人・・・私の周りにいます、います、います」私も早速、列に加わった。


『 お待ちいただく時間を利用いたしまして、今回のツアーコースを簡単にご説明いたします。
今回のツアーでは人の心、主に“喜び”“悲しみ”“怒り”を旅して参ります。
まずは大脳辺縁系に入り「海馬」を見学後「扁桃体」「視床下部」を巡りまして、帰路へと向かいます。
到着後、当旅行会社からご参加いただいた記念品をお渡しして旅の終わりとなります。』


では皆様、これよりご搭乗手続きに入ります。
ツアー条件を満たしているか、今一度ご確認くださいませ。


『お待たせいたしました。順番に機内へお入りください。
あっ、押さないで!
お年寄りの方もおいでです。
お席は十分にございますのでどうぞ譲り合っておかけください。』

私も列に続き、ノートパソコンのような搭乗口へと向かった。

           UFO.jpg

(やっぱ窓側がいいよな)
(おい、どけよ!そこは先に俺が荷物置いたんだからな)

『 申し訳ございません。
当機には窓の設備がございませんで、此方は非常口となります。
外の風景は機内の大画面にてご覧いただけますのでどうぞ奥のお席へお進みくださいませ 』

(チェッ!)

本日はご搭乗いただき、真にありがとうございます。
当機は毎秒60mのスピードで神経経路を通過し、大脳辺縁系への到着は
「あっ!!!!!」と言う間でございます。
危険ですのでしっかりとシートベルトをお締めください。
当機はこれより発射いたします。


      3,2,1,0--発射--

 うあぁああーーー 身体と座席が貼り付く様なスピードだ。

私は「脳内ツアー」という得体の知れないツアーに旅立った。


----すみません、根気がないもので・・・つ・づ・く・・・---連続投稿します----

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◆ 脳内ツアー 2 ◆

Posted by 空耳ロバ on

「脳内ツアー」という摩訶不思議なツアーに参加した私は、飛行機とも宇宙船ともつかない奇妙な形の乗り物に乗車し、瞬く間に大脳辺縁系に到着した。

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(ここが大脳かぁー)
(複雑に配線されてる精密機械みたい)

機内の大画面には外の映像が写し出されている。
その映像から、機体はやや不安定な固めのゼリーの中で平衡を保っているように見える。


皆様、お疲れ様でした。
当機は大脳辺縁系に無事、到着いたしました。
この後、機内にてお食事のご用意がございます。
観光開始時間まで、ご昼食をお召し上がりいただき、ごゆっくりおくつろぎくださいませ。

機内アナウンスが流れるとほぼ同時に、乗務員、添乗員から豪華な昼食が配られた。


一人の女性が添乗員に声をかけた。

「私、これ食べれないんで、別の昼食を出してもらえませんか」

『 当機内食はアレルギー体質の方でも、どなたにもご満足いただけるお食事となっておりますので、別メニューのご用意がございまん。
お召し上がりになれない物は残して頂いて構いませんので。』

「ツアーに参加させといてそれはないんじゃないの?」

『なにぶん、参加費用は無料でございますので・・申し訳ございません』

「じゃあ、帰るわ!!あー早く帰りたい」


ツアー客は、その女性と添乗員のやり取りを横目に配られた昼食を口にし始めた。

(美味しい!)
(うん、旨い)

ややトーンダウンした機内の雰囲気も、味がよかったおかげで和やかになった。


(私、昔は結構、いい家の出なんですよ)
年を取ると、たいていの人は出がよくなってしまう。

(この前、超有名な高級レストランに行ったんだけど、来てる客、み~んな,たいしたことないの。
その中で珍しくまあまあの洋服着てるなぁと思って見たら、芸能人の〇〇だった。)

(主人は〇〇に勤めてて、部長職に就いておりまして)

(へー優しいんですね)
(単なる恐妻家なんじゃん)
(何言ってるの!僕は女性に優しいんじゃない)
(専業主婦のくせに仕事から帰ってきた旦那に風呂掃除させて・・
そういうの、恐妻家って言うんじゃないの?)

(うちの孫が今中学一年生で、先日、英検二級に合格して)
(いやぁ、そうですか。うちの子も中学一年で二級合格しましたよ)

(家は何をやってるの?)

(何処に住んでるの)


機内食に舌鼓を打ちながら、初めて会う者同士がありきたりの身の上話などで盛り上がっている。


『皆様、宴もたけなわではございますが、ご昼食がお済みになりましたら、そろそろ観光へと参りますがよろしいでしょうか?』

「はーい」
昼食の時間ですっかり打ち解けたツアー客らは元気よく返事をした。


『それでは、これから機内を降りまして、まずは最初の目的地、海馬へと向かいます。
海馬を見学した後は海馬のすぐお隣、「扁桃体」へと移動します。

ここで皆様に注意事項がございます。

エレベーターの外へ一歩出ますと、そこは脳内でございます。
食べ物を口にしたり、携帯電話での通話、海馬や扁桃体を走ったり、振動を与えたり、触れたりなさいませんようお願いいたします。
さぁ、それでは参りましょう』


『順に出口エレベーターへお進みください。』

(ちょっと、ごめんなさい)
(いてッ!おい、ベビーカー押す時気をつけろよ!)
(あら、失礼!!)

 ♪ブブー♪

エレベーターの重量制限超過警告音が鳴った。

(一台待って乗ればええやろ!)
(こういう時は、他の人は後から乗ってくれないと)ベビーカーを押す女性が言った。
(混雑している時はベビーカー畳めよ!)
(そうだよ、皆、順番に乗っているんだ!自分だけ特別だなんて思うなよ!)
(ふん!私は勝ち組よ!他の人が降りたらいかが!)

♪ブブーブー♪ ♪ブブーブー♪
重量制限超過警告音は鳴ったままだ。

『はい、はい、どうなさいました。皆様、順番にお乗りでございます。
まことに恐縮ですが、一台後のエレベーターへお乗りいただけますでしょうか』
添乗員は後から入ってきたベビーカーの女性に言った。

(ふん!)女性は不愉快そうに一台後のエレベーターを待つことにした。


エレベーターの中は足元まで全てがスケルトンとなっていて外の景色が見える構造になっている。

(へぇーすげー!)
(これが大脳?なんだかスカスカだな)
(ほぉーこれは珍しい物を見せてもらった。帰ったら自慢が出来るわい)
(あの塊って、欠陥が詰まっているのかな?)

『皆様、これより徒歩での観光となります。
脳内は大変壊れやすいところでございます。

「海馬」は外からのショック(外傷性)や、睡眠不足、ストレスなどで簡単に壊れてしまいますので、
写真撮影やフラッシュをたいたり、お手を触れたり、振動を与えるなど、
ストレスをかける行為は絶対になさらない用にお願いいたします。
こちらが壊れますと、今言ったこと、したことを覚えていないと言った重篤な記憶障害や学習障害を起こしますので、、、』

添乗員の話をさえぎるように若い男が口を挟んだ。

(わかった!わかた!)
(さっきも聞いたよ。触れなければいいんだような!早く行こう!)
ツアー客の中から笑いが起こった。

『では皆様、くれぐれも海馬内ではお静かにお願いいたします。』
添乗員誘導の下、私達は海馬へと向かった。


(以外に小さいんだな)
(こんなに細くて小さいのに有能な機能なんだ)

(ぼく!走り回っては駄目よ)
(うちの子が何か?・・・
太郎、あのお兄ちゃんも睨んでいるから静かにしなさい)
(親が注意しないからだろ)

『さぁさぁさあ、え~つづきまして、海馬のお隣、
好き嫌いや快・不快の感情を海馬に伝える“本能”を掌る場所「扁桃体」の見学に移ります。

例えば、人の顔を区別したり臭いを嗅いで好みを分けると言うのも扁桃体が好みを判別しているわけですね。
ここでの注意事項も海馬と同じです。
この扁桃体が傷つくと、孤立や社会生活がうまくいかなくなると言われています。
くれぐれも、撮影やフラッシュ、または、触ったり、走ったり、騒いだりするなど、
ストレス負荷につながる行為はなさいませんよう、ご注意ください。では、参りましょう』



(へぇー、ここで人の顔判別するんだ)
『さようでございます。異性を好きになったりするのもこの扁桃体の成す業にございます』

(こんなに小さいのぉー!!)
『はい、小さい部位ではございますが、本能で判別した情報を海馬へ送りますので、ここの機能が壊れますと海馬の働きも鈍くなってしまいます』

(やわらかーい)
(触っちゃだめ!)

(あっ!おじさん、触ったら駄目って添乗員さんが言ってたじゃん!)
(触ってないよ、後ろから押されてちょっとぶつかっただけだよ。)
(何言ってんだよ、おっさん!押してないだろ!)


『はいはい、皆様、ツアーも終盤となりましたので、一つにこやかにお願いしたいと思います。
海馬、扁桃体の観光はいかがでしたでしょうか・・

皆様、ここまで注意事項は守ってくださっていますよね?
大丈夫ですよね?
では、最後の目的地「視床下部」に参りましょう』・・・ふっ・・

ここまで言うと、添乗員はなぜか不気味な笑みを浮かべた。


------------つ--づ--き--は---あ--と--で-----次回最終話------デス-

◆ 脳内ツアー3最終話◆

Posted by 空耳ロバ on

私は添乗員が浮かべた不気味な笑みが妙に気にかかってはいたものの、ここは脳内だ。
そう簡単に途中でツアーを降りることは出来ない。

「大脳辺縁系」から「海馬」→「扁桃体」の観光を終え、この旅行最後の目的地へと向かった。


『 それではこれより最後の目的地、自律神経など中枢神経の最高機関「視床下部」へ参ります。
こちらは、睡眠、摂食、飲水などの本能行動や、怒りや不安などの情動行動の中枢となります。

観光の注意事項はこれまでと同じでございます。

こちらが壊れますと、自律神経のバランスを崩したり、怒り・不安のコントロールが出来なくなったり、睡眠不足や摂食障害を起こしますので、入室後も注意事項を厳守頂き、ご見学ください。』

視床下部は、細い海馬や小さく狭苦しい扁桃体に比べると広々としていた。

(うわぁー広い)
『こちらは最高中枢機関でございますので、大脳辺縁系の中でも一番奥に位置する空間でございます。
こちらが壊れますと、体内時計に狂いが生じたり、曳いては扁桃体に影響し、海馬にも狂いが生じて参ります。』

(ジイさん、何してんだよ!)
(冥途の土産じゃよ。ちょっとくらいの撮影はかまわんだろ)

♪トゥル♪トゥル♪
(もしもし、今、旅行中なんだ)
(携帯は駄目なんじゃなかった?)
(・・もしもし?うん、大丈夫。うん、そうだよね)
(いい加減やめてください!)
(うッせーな!仕事の電話なんだよ!)

その時、
チカチカチカ・・・

灯りが点いたり消えたりし始めたかと思うと、視床下部は大きく歪み始めた。

(きゃー!!!!)
(ちょっとーーーーー!)
(携帯なんか使うからだ!)
(フラッシュ撮影なんかするからだよー)
(添乗員、なんとかしてくれ!)

灯りが消えた・・・

(あ・・でもなんか・・キレイ・・・)

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(大丈夫なのか・・)


『皆様、お疲れ様でございました。
以上を持ちまして脳内ツアーは終了となります。
お出口は此方でございます。
出られましたところでツアー参加の記念品をお渡しいたしますので、是非、お受け取りくださいませ。』

添乗員はそう言いながら、視床下部の出口ドアを開けた。

(なんだ・・脅かすなよ)
(あーよかった)

出口へ繋がる広く明るい開放感のあるその通路をツアー客らは滑るように下って行く。
私もその後に続いた。
記念にと名前を記す者もいた。

「お疲れ様でした」

出口では乗務員が一人一人、丁寧に記念品の箱を渡している。

『大変お疲れ様でした。脳内ツアーはいかがでしたでしょうか?』

(結構、スカスカだった)
(見る場所によって、ギュウギュウだったり、そうでもなかったり)
(わしの見たところは思っていたよりもシワが少なかったな・・)
(壁が剥がれかかっている所もあったけど、いい経験したよ)
(えーそんなとこあったの?私見逃しちゃった)
(また、ゆっくり行ってみたい)

『ありがとうございます。
皆様、それぞれのお感じ方でよろしゅうございました。
同じということは絶対にございませんので、ご安心くださいませ。
なぜなら・・・
今、行った脳内はご自分の頭の中ですから・・・』

(えー!!!!)
(早く言えよ!)
(そうよ、最初からわかっていたら)


『私は、最初に注意事項を申し上げたはずです。

早く言えば・・・最初からわかっていたら・・・どうされたのですか?

ご自分の子供が走り回っていたら注意をなさいましたか?
携帯電話の使用をなさいませんでしたか?
ごみを捨てたり、撮影や落書きをなさいませんでしたか?
騒いだり、触ったり、記念に削って持ち帰ったりはなさいませんでしたか?

最初からご自分の脳内だと知っていたら、
注意事項を守ったとおっしゃるのでしょうか。』

淡々とした、だが厳しさが伝わる口調は、怒鳴られるよりも迫力がある。


ツアー客の一人が言った。
(脅しだろ・・)

(そうだよね)
(そうよね。そんな馬鹿なこと・・)
(ははは・・嘘だよね)

添乗員は微笑を浮べながら
『さぁ・・・
今の話が嘘か真かは、ここでお手元の記念品をお開けくださいませ。』


乗務員から受け取った記念品の箱を開けてみるとそこに入っていたものは・・・・

鏡・・?

手のひらサイズほどの鏡だ。
その鏡にはツアーの記念になるようなものは何処にも記されていない。

『皆様、左手に鏡をお持ちになり、よ~く、その鏡を覗いてください。』


             鏡

(何にも見えないよ)
{自分の顔しか写っていないけど・・)
(うん、自分の顔以外、何も見えないな・・)

『 皆様、ツアーにご参加いただく際に並んでお待ちいただきました時のことを思い出してくださいませ。

「自慢屋」「上から物言う偉そうな」「自分勝手」「パワーハラスメント」
「思いやりのない」「わがまま」
皆様、そのような境界線上の方々が最低だとおっしゃってご参加くださいました。
参加条件は、その境界線上の方が一人でもいらっしゃることでした。
よ~くご覧くださいませ。
映っておいででしょう・・・境界線上の方が。』

(自分・・?ってこと?)
(ムカつく!)
(ケンカ売ってんのか!)

『失礼をいたしました。
お気に召さなければ此方に回収BOXがございますので、そちらにお入れ頂き、お帰りくださいませ。
またのご参加をお待ちしております。』

(誰が参加するもんか!)
(なんなんだよ!)
(不愉快だわ!)
(まったく失敬な!)
(二度と来ないよ!)

ツアー客は口々に捨て台詞を残し、回収BOXに鏡を捨てている。
帰るその姿は無表情でどことなく危なげな感じだ。

私も置いて帰っちゃおうかな・・・
「こらこら!持ち帰らんと大変なことになるぞ!」

「あら、神様、いつの間に」

「わしが声をかけなければお前にも見えんからな・・ずっと一緒におったぞ。
とにかく記念品の鏡は持ち帰ることじゃ。ほな、またあとでな。」

私は神様の言ったとおり、少しムカツク記念品を持ち帰った。



♪プルップル♪

「フール、今回も首尾よくいったようだな。。。」

『はい、最高監事。・・ですが・・・3名ほど、鏡を持ち帰ってしまいました。』

「ああ、そのようだな。残りは497枚というわけか。」

『申し訳ございません。』

「気にするな、持ち帰りが10枚超えなければ赤字にはならんからな。」

『次回ツアーの際は持ち帰りゼロを目指します。』

「最高顧問、無料のツアーなのに、なぜ、赤字にならないのですか?」

「ソード、まだ君は此処に来て日が浅かったね。
唯じゃないさ。費用はもらっているよ。
最初に言ったとおり参加費用は「心」だからな・・・
もっとも、注意事項を守られたり、心を写す鏡を持ち帰られては赤字になってしまうが。
さあ、自分勝手な輩がいるうちはまだまだ稼げるぞ、稼ぐぞ、フール」

『はい、最高顧問。』
「ソードもお手伝いいたします。最高顧問。」

あっははは・・・はははは・・ホホホ・・・


ふ~ん。そういう事だったのか・・

「なっ、持ち帰ってよかったじゃろ。」

「あっ神様。うんよかった」

「人の振り見て我がふり直せじゃよ・・・あれは心の鏡じゃからな。」


私は木箱から持ち出したマーブル模様のカラーボールと持ち帰った鏡を手に家に帰った。
書斎の電話が鳴っている。

「はい、もしもし 」

『 先ほどは当ツアーにご参加いただきありがとうございました。
次回の脳内ツアーのご案内でございます。』

書斎の机に置いた鏡にマーブル模様のカラーボールが映っていた。



-----------------お-----し-----ま-----い------デ--ス-----------


◆寝言→脳内ツアー移行型一人話

Posted by 空耳ロバ on

午前中の講義を終えた私は図書室へ立ち寄り調べ物に専念していた。

そう言えば・・・
今日は午後から打ち合わせが入っていたことを忘れていた。
慌てて、電車に飛び乗り、先方に到着したのは打ち合わせ時間ギリギリであった。
会議室ヘ向かう廊下を急ぎ足で歩いていると顔見知りの女性社員が声をかけてきた。

「おおはようございます。今日は打ち合わせですか?
この間の件、まだ迷っていて・・お時間のある時にまた相談に乗ってください。」

彼女は仕事と結婚のどちらを選択すべきか迷っているのだ。

私は言った。
『ええ・・それはいいけど・・
でも、私みたいになっては駄目よ。じゃ、あとで。』

『私みたいになってはダメ。』なんと説得力のある言葉だ!
我ながら快心の一言だ!今日は調子がよさそうだ。

元気よく会議室のドアを開けた。

『おはようございます。よろしくお願いします!』


午後一から始った打ち合わせが終わったのは午後の16時をまわっていた。

「お~ぢぃがれさまでしたぁ~」

普段から昼食を取らないスタンスはナレーター時代からこの10年以上変わっていない。
昼食を摂れば完全に消化するまでの間、相応の時間がかかり、午後のステージに影響がでるからだ(ナレーション中にゲップ  失礼! が出たら困るから)。
その生活をあまりに長く続けたためか、昼食は食べないのが当たり前、食べれば午後から頭も身体も働かないと脳内にインプットされてしまったのだ。
だが、
昨夜の22時以降から、翌午後16時迄何も口にしないのでは、さずがに私のお腹も「何か固形物、入れてよー」と叫んでいる。

こんなに中途半端な時間では、行きつけのレストランはディナータイムに向けて準備中であろう。
お腹の胃袋には悪いが、空き室状態をもう少し我慢してもらうことにし、自宅最寄駅まで帰り、近くのファミレスへ立ち寄った。

「禁煙席、喫煙席どちらになさいますか?」

辺りを見回し、迷わず
『喫煙席で・・』

煙草は当の昔に辞めている。
が、
最近は禁煙席が混雑し、喫煙席の方が空いているため、分煙の場合は喫煙席を選ぶことにしている。

思ったとおり空いている。

椅子席の前のテーブルを挟み、腰高窓を背にソファ席が並んでいる。
ソファ側に座ると通路が正面になるため、私は敢えて窓に向かった椅子席に座った。

少しすると女子大生風の2人連れが入ってきた。
私の座る席から一つ空けたテーブルに椅子席には髪の長い、マキシ丈ワンピースに生足のミュール姿の女性。
ソファ席には、ポチャポチャっとした色白でスッピンのショートヘア、はちきれんばかりの生足にショートパンツ姿のハツラツとした女性が腰をおろした。

ほどなく料理が運ばれてきた。
私は、長く待機をさせていた空き室の胃袋へせっせと食べ物を運んだ。
空き室もほぼ埋ってくると余裕も出てくる。

先ほどの女子大生風の2人がおしゃべりに花を咲かせている。

『直美、男にふられてばっかりだから、私、言ったんだ、グズグズ言ってる間にはもっと自分を磨きなって。』

「うん、うん」
椅子席に座った髪の長い女性は、ソファ席に座ったショートヘアの女性の話に、ただ「うん、うん」と相槌を打ち聞いている。

『そしたらさー直美はどうやって磨いたらいいかわかんないとか言ってるからぁ、
あんた、本、読みなって言ったのよ。
本読めば、知性とかさぁーそう言ったものでてくるじゃん。だから、本読んで中身を磨けって言ったんだ。』

「うん、うん。そうだよね。」椅子席の女性は相変わらず聞き役に徹している。

私は、そんな会話を耳にしながらそれとなく彼女らに目を向けた。

ギョッ!
私は自分の目を疑った。

本を読み知性を出せ、中身を磨けなどとお友達に言っているソファ席に座る太った生足のショートパンツ女性は、両足のスニーカーを脱ぎ、方膝を立て煙草を持つ手を膝の上に載せ、開いている手をソファに置き体重をかけている。
そして、もう一方の足は、身体が柔らかいのだろう、広げた足の膝を90度程に曲げ、これまた自分の体重を乗せているというあられもない格好で座っている・・
足元には、少なく見ても3ヶ月は洗っていないであろう、煮しめのようなスニーカーが間隔をあけて脱ぎ捨てられている。

なんということだ。

確かにドレスコードが指定されているレストランではないけれど、
確かに空いてはいるけれど、此処は家ではない。
くつろぎ過ぎである。
中身を磨かなくてはいけないのは、本を読み知性を身につけなければならないのは、まさにこの女性だ。
マナー本の一冊でも読むことを勧めたい。

気分が悪くなった私は、そそくさと会計を済ませ、買い物をして帰宅した。

書斎に入り、いつものようにパソコンの前に座った。

あのような場所であのような座り方・・・
なんて恥知らずなとんでもない女だ!なんて下品な女だ!嘆かわしい!
あんな女になったらおしまいだ!

パソコンを前にふと、気がついた。
・・・・あら?
私も同じような格好?・・・あらやだ・・
「私みたいになっては駄目よ」我ながら納得だ。

人のことはわかるものよね。。。。

化粧落としてお風呂に入ってこようっと・・
鏡を手にした。

あっ・・・この鏡・・・・

脳内ツアーの参加記念に貰った鏡だ。いつの間に木箱から出てきたんだ?

鏡を覗くと、あの添乗員が満面の笑みを浮べ私に言った。

『お待ちしておりました。脳内ツアーへ、ようこそ!!!』


------------------ 次 回 へ つ づ く --------デス--------------


お付き合いいただきありがとうございました。次回へつづきます。

週の前半、何もなかった方は後半に素敵なことがありますように・・・
良いことがありました皆様も後半はもっと素敵なことがありますように・・・

何事もないのも一番の幸せ
明日も良い日でありますように・・・・


◆まじない→脳内ツアー移行型一人話

Posted by 空耳ロバ on

手のひらサイズのこの鏡・・・

脳内ツアー第一回の参加記念に持ち帰り、思い出木箱にしまったはずの鏡がいつの間にか木箱から飛び出し、書斎机の上に置かれていた。
その鏡を覗くと、あの時の添乗員が「お待ちしておりました。脳内ツアーへようこそ」などと、満面の笑みで誘っているのだ。

『もう参加はしないよ。』
私は鏡を伏せた。

「いいえ、貴方様は必ず、またおいでになります。
それは、この鏡をお持ちになっていることが貴方様の負担になるからです。
いらっしゃる日をお待ちしております。近いうちに・・・・ 」

うるさい!鏡のくせにしゃべるな!
鏡を割ってしまいたいところであったが、神様に言われ持ち帰ったものだ。
そう簡単に割ってしまうわけにはいかない。

再び木箱に閉まった。
今度は箱の一番底に・・・


座ると肩ほどの高さの衝立を挟み、若い男女が座っている。
時間帯のせいか、小さな声で話さなければ、会話のつぶさまで聞き取れてしまうほど、かなりの空席が目立つ。
ここは、定期健診後に私が必ず立ち寄る路地裏の喫茶店だ。

定期健診といっても身体の話ではない。
髪の毛のことだ。
世間一般で言うなら、美容院というものだ。

新聞を拡げ、鏡を取り出して切ったばかりの髪型を詳細にチェックしたいところではあるが、この場でそのようなことをすれば、昨日のファミレスソファ席の粗野女と同格になってしまう。
そして、鏡を取り出したたところで、もし、またあの鏡が出てきてあの添乗員に登場されたのではたまったものではない。

拡げた新聞に目を通しながら・・・ンッ?字がボヤケテよく見えない、、、

ここで眼鏡を取り出せば数少ない周りの人から「老眼」だと思われる。
だからと言って、「今日はコンタクトを入れていないので」と知らない人に言い訳をする必要もない。
顔を上げた。
店員と目が合った。
・・・・・やっぱりやめておこう。。。
バッグの中で一度掴んだ眼鏡ケースの手を離した。

たいして読むことも出来ない新聞の小さな文字を漠然と眺めているだけの状態となった私は非常に手持ち無沙汰であった。
喫茶店を出ようにも、注文したアイスティーはまだたっぷり残っている。
とりあえず見た目は女性に見えるはずだ。一気に飲み乾して出るには勇気がいる。


あー!まさか浮気されると思わなかった」
殆ど人のいない喫茶店の中、彼女の声はひときわ大きく聞こえる。

それに対し答えることをせず、うんうんとうなずく男。

声の大きな女はぽっちゃりとした体系に目のくりくりとした、年のころは25,6歳であろう。
その前に座る男。
胸板の薄い痩せ型の・・年は20歳、いや、22,3歳といったところであろうか。

座った肩程の高さの仕切りごしに会話が聞こえてくる。

会話の内容から、女は彼が浮気をした悩みをその男友達に聞いてもらっているようだ。

どうやら女は浮気封じのまじないをしなかったらしい。

*恋人の浮気を止めるまじない
まず、壁かけ鏡程度の大きさの鏡と肉やかスーパーで鳥の大腿骨を用意する。(鳥の種類は問わない)
大腿部の骨全体が(生でなくてよい)鏡に映るよう、鏡の中心に床と平行に吊るす。
途中で骨が落ちたりしないように紐でシッカリと縛ること。
これで恋人の浮気壁は止まるでしょう。。。
だからと言って、貴方の元へ戻るかどうかは・・どうでしょう・・・このまじないはまた今度に・・
(実践していないので効果はわかりません)



女はテーブルに肘を立て、両手のひらを広げ自分の顔をその上に乗せ、上目遣いで男を見上げている。
(歯が痛いんだな。。かわいそうに。。)

「今日は楽しかったな・・また、会える?」

『いいっすよ。』

「また遊べる?」

黙って首を縦にうなずく男・・・

違った・・歯が痛いわけではなさそうだ。
女は悩みを聞いてもらっている胸板の薄いその男に、頬杖をつき上目遣いでラブビームを送っていたのだ。
浮気をした彼は、もう、お払い箱らしい。
だが、女のラブビームは男には届いていないようで、会話が続かないと見える。

これは、なびかない異性を振り向かせるまじないでもしない限りは無理そうだな・・
しても無理かもしれないな・・・

*なびかない異性を振り向かせるまじない
純白の紙を用意し、その紙に「 Toogras 」という文字を記す。
その紙を日の出の太陽にかざし、雑縁を払い、想いを寄せる異性のみを脳裏に浮ばせ念じる。
貴方の想いは相手へ伝わり、相手からも行為を寄せられるようになる・・・らしいデス。
文字はつづけて書いてはならない。
必ず一文字づつ書くこと。
アイルランド西部に古くから伝わるまじない。(効果のほどは不明)


「また、会える?」

『ああ、ええ・・』目を合わせずにうなづきながら答える男

「また遊べる?」

会話が途切れるたびに間を置いては、先ほどから何度も同じ言葉を口にする女。

男は時計に何度も目を落とすが、女は気にもせず、また言った。

「また、遊べる?」

『なんか、腹減ってきたんで・・』男はとうとう、返事をはぐらかした。

「ここで食べれば。」

『エッ・ここで?』

「うん、なんか適当にあるよ。」そういいながらメニューを差し出す女。

差し出されたメニューを見ようともしない男。

「食べれば・・いいよ、気にしなくて・」

『ああ。。ま、いいっすよ。』

(はっきりしない男に、空気の読めない面倒くさい女だねぇ。)
ここまで来ると、浮気をされたと言う話の真意も測りかねるものだ。

女の大きな声が店内を駆け巡る。
店員がチラチラと女に目をやるが、女はおかまいなしだ。

・・・・ 沈  黙 ・・・・

「あーまさか浮気されるとは思わなかった。ねぇ、また、遊べる?」
「今度いつ、会える?いつがいい?」


「いらっしゃいませ~」
店内の重たい空気を一蹴する声が響いた。
・・・と同時に男は言った。

『俺、もうバイトの時間なんで。』
男は脱出に成功した。

女は言った。
「あっ、私も。そろそろ主人が帰って来ちゃう。」

・・・二人の出て行った後のテーブルの上には、あの鏡が残されていた。



『どうだ、フール、今回も盛況に行きそうか?』

「はい、最高顧問、そろそろ出発の準備も整う頃にございます。」

「ふふふふふ・・・今回も脳内ツアー参加のお客様、楽しみですね、最高顧問。」

『鏡を持ち帰った3人も参加してくれるだろうね・・』

「はい、お任せを・・最高顧問。」

『頼んだぞ、フール』あっはははは・・・

ハハハ・・ほほほほほ・・


----------------- 次回へつづきます。根気がないもので。またあとで -----------------


迷子の子、里親待ちの動物達が一日も早く幸せを掴みますように・・

皆様によいこと、素敵なことがたくさんありますように・・(私にも少しありますように)

◆脳内ツアー続編1

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またあの鏡だ・・・

昨日の喫茶店で見かけた男女が立ち去った後のテーブルに残されていた、脳内ツアー参加記念品の鏡が気にかかっていた私は、自宅へ着くや否や思い出木箱を覗いた。
鏡はあった。
じゃ、あの二人もあの時の脳内ツアーに参加を?
翌日になり、再び、木箱を開け鏡を確認した。
やはり鏡は木箱の中に収まっている。
だが、昨日までは確かにガラス鏡面だった鏡が、いつの間にやら青銅に銀メッキを施した鏡に変わっていた。(現在のガラスタイプになったのは明治以降)
恐る恐る、その少し曇った反射面を覗いてみた。
脳内ツアーへ誘うあの添乗員の声は聞こえない。
そのかわりに・・・・
そこには思いもよらぬ美しい光景が拡がっていた。

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『さあ、皆様どうぞどうぞ。。。
本ツアーの参加費用はご自身のお心のみでございます。
無料でございますので、さあどうぞ、ゆっくりと中へお進みください。
さあさあどうぞ・・』
添乗員の男は愛想よくツアー参加者の列に声をかけながら、中へと誘導している。


『本日は、当ツアーにご参加いただき、まことにありがうございます。
今回は前回とは少し内容を変更いたしまして、皆様を軽いトレッキングの旅へご招待いたします。
何もご心配には及びません。
私共で必要な物は全てご用意してございます。
体力?いえいえ、それもご心配はございません。お任せくださいませ。
それでは今から注意事項に併せて幾つか申し上げますので、物忘れの激しい方はメモをおとり頂きましても構いません。

1.道を歩いていると塀がありました。その塀の高さはどのくらい?

2.山を登っていると川が流れています。川幅はどのくらい?

3.貴方はよく足を組む方ですか?

4.缶コーヒー、または、缶ジュース、持ち歩けるくらいのペット水やお茶はよく飲みますか?
よく飲む、またはわりと飲むと答えた方、それはなぜですか?

5.テニスボール、鏡、ホッチキス、目覚まし時計、マイナスドライバー、消しゴム、貯金箱が目の前にあります。
貴方がこの中の一つだけ、貰えるとしたら何を選びますか?

6.貴方は素足、または生足で外出することが多いですか?

以上でございます。
それでは皆様、途中、滝などを見学しながら参りますので、お足下の悪い箇所、または雨などの心配もございますので傘と靴、お飲み物をお一人様ずつお受け取り頂き、途中、植物を摘んだり、ゴミ等をお捨てになりませんよう、お足下にお気をつけになりまして、さあ、参りましょう。』

ツアー客は、係員から傘と真新しい靴、そして飲み物を受け取り、添乗員の後に続き、輝きを増した林の中へと次々に吸い込まれていった。


----------------次回へつづく---デス--- 1~6の答えはお話の最後に -------------

皆様に素敵な週末となりますように・・・

◆脳内ツアー続編2

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-------------------脳内ツアー続編1の続き 2 デス ---------------------


ツアー会社から支給された靴に履き替え、傘、飲み物を手に添乗員の後を歩いていた。

「このキラキラしている物・・これはなんですか?」

『はい、此方は一見イルミネーションのようにもご覧になれますが、何と申しましょうか・・
人の身体に喩えて申しますと“胃の粘膜”のようなものでございまして、
此方ではこの粘膜で大部分を保護しておりますので、皆様、お手を触れませんようお願いいたします。』

「そんなに大切なところをこんなに大勢でズカズカ歩いても大丈夫なの?」

『お客様、大変良いことを仰って下さいました。
はい、
普段は粘膜で保護されておりますが、此方はストレスに大変弱い部分でございます。
万が一にも傷ついたり剥がれたりしますと、再生するまでには半年から1年もかかってしまう繊細な部分でございます。
ですから、皆様、どうぞ、静かに、ゆっくりとお歩き頂きます様お願いを申し上げます。』

「へぇー。増やす方法ってないの?」

『 さようでございますねぇ・・
ご自分の人差し指の爪の生え際部分を押すといった、増やすというよりは分泌を活発にするといった簡単な方法がございます。
お時間のありますときには是非、お試しくださいませ。

さぁ、それでは、此方を通過いたしましてからは、あの岩山の左手、大きな木が二本立っているすぐ脇のロッジがご覧いただけます。
あのロッジをを目指して進んでまいります。
ここからは自由行動となりますので、皆様、注意事項をお守りいただき楽しく元気よく参りましょう。』

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ツアー客らは思い思いのコースに別れ、岩山の中腹を目指し歩いて行った。

「わぁーこの壁高ッ!」
「登れるかな・・・」
「ロープウェイがあるみたい。」

「見た目よりもなだからな道ですねぇ。」
「ああ、これなら私らにも楽に歩けるね。」

「随分と分厚いゴツゴツとしたとこだね。こんなとこ登るの?」
「でも、足場はいいみたいだよ。」

あるコースではハイキングのように和やかに、
そしてあるコースでは体力強化トレーニング並みのコースに、
また、あるコースではロッククライミングさながらの険しいコースにと、目指す場所は同じでも選んだコースにより随分と差があるようだ。

ポツン、ポツンと雨が落ちてきた。
雨は次第に土砂降りになり、とうとう、傘も役に立たないほどの横殴りの雨へと変わった。

雨に向かい傘をさしながらの歩行はさすがに困難である。

「うわぁ、なんだよこの雨!」

途中、傘が破れて、使い物にならなくなってしまった傘も多くあった。

その雨は10分程で止み、何事もなかったかのように平穏な空に戻った。

そうなると傘が邪魔になってくる。
降っているときはありがたい傘も、一たび晴れてしまうとまともな傘でさえ邪魔になるものだ。
骨が折れてしまった傘、ビニールが破れてしまった傘、骨組みだけが残ってしまった傘、その傘が無料の支給品となれば尚更である。

(置いてくなー!!きっとそれは自分の胃の中だぞー!!!)
鏡を覗きながら叫ぶが、私の声は鏡の中の人たちには届かない。

岩場の影、道端に壊れた傘のみならず、まだ使える傘までも置いて行ってしまった。

(あーあ、置いてっちゃったぁ・・知らないよ・・)

しばらく歩いていると川の流れる音が近くなってきた。
ロッジはもうすぐだ。

「やっと着きましたね。」
「あぁ、私らには丁度よいハイキングコースだったね。」
「ええ、いいお散歩が出来ました。」
流れる川を難なく一跨ぎで渡る人、

「こんな広い川、どうやって渡るんだよ。」
「あの岩山の頂上付近迄行って、回って降りてこようよ」
一度、頂上まで上り、回り道をして降りてくる人

「流れも速いし、川幅もあるからどこかに橋があるはずだね。橋を探そう」

「川の中心にある、あの岩に飛び移って向こう岸に行けば近いね。」
川を渡す橋を探す人、岩に飛び移り対岸へ渡る人、
最初に選択したコースによりコースが異なっていたため、川を渡ればすぐそこにロッジはあるものの、それぞれのコースを辿るしかなかった。


『皆様、大変お疲れ様でございました。さぁ中へお入りくださいませ。』
ロッジの入り口では調子の良い添乗員が愛想よく出迎えている。

「意外と狭いのね。」
「ホントだ。見掛け倒しだな。」
「あら、見た目よりも広いわ。」
「もっと狭いかと思ったけれど、意外に広く感じるな。」

ロッジの広さも人それぞれ感じ方が違うようだ。

『皆様、お疲れ様でございました。
トレッキングはいかがでございましたか。お楽しみいただけましたでしょうか。』

「結局、何の意味があったの?」

『はい、本ツアーの目的は・・・これからゆっくりとお話申し上げます。』ふッふッふ・・・


(あっ、出た!またあの不気味な笑いだ。今行ったのは自分の胃の中だぞー)

『さあ・・・それはどうでございましょう、、、鏡を覗いているそこのお方・・・』

(えっ!見えるの?わたしが・・・?)


ふっふっふっ・・・ヒッヒッヒ・・・


-------------長くなってきたので、またあとで-------つづく-----です--------

◆脳内ツアー続編3

Posted by 空耳ロバ on

------------------- 脳内ツアー続編2のつづき 3 ----デス--------------------

一回目の脳内ツアーで懲りていた私は、二回目の脳内ツアーの模様を一回目のツアーの参加記念の時に貰った鏡をとおしてツアーの様子を窺っていた。
だが、なぜかあの添乗員は私が覗いていることを知っていた。
そして、添乗員は、一回目のツアー終了間際に見せたあの時と同じ不気味な笑みを再び浮かべていたのだ。


ロッジへ着いたツアー客らは、温かい飲み物や茶菓子等を口にし、くつろいでいるように見える。

『皆様、お疲れ様でした。
この部屋の雰囲気はいかがでございますか?
おくつろぎいただいておりますでしょうか?』

「狭いよな。。。」
「うん、もう少し広い方がいいわね。」
「そうお?そうでもないと思うけど・・」
「丁度いいけどな。」
「いーや!狭すぎ!」

『狭まうございますか?あー・・それはいたし方ございませんねぇ。
この部屋はご自身のお心の広さを現しておりますので・・・』

「失礼な奴だな・・」

『えーそれではこれより、本ツアーの目的をお話申し上げますので、皆様にはゆっくりとお茶を召し上がり頂きながら、お聞きくださいませ。』

ツアー参加客は一斉に添乗員へ目を向けた。

『早速ではございますが、まず先に出発前にお渡しいたしました傘を回収させていただきますのでご協力をよろしくお願いいたします。』
その声と同時に係員が傘の回収に回った。

『・・・はて?
皆様は500名おいでです。お渡しした傘も500本でございました。
300本ほど不足がございますが、まさか、置いてきてしまったわけではございませんよね?』

「あの暴風雨で使い物にならなくなったから岩陰の邪魔にならない所に置いてきちゃったよ。」
「私は木の枝に・・」
「うん、だってその後、晴れちゃったしね。」

『あ~それは困りました。。
只今、観光をして参りましたのは皆様の胃袋の中でございました。
あー・・・大変なことになりますね。。。』

「えーッ!!!!!」

傘を置いてきてしまった面々は口々に取りに戻ると言い出した。

『皆様のと申しましても、ご自身の胃袋ではありません、今、お隣に座られている方の胃袋の中でございます。』

あ~よかった・・・

「冗談じゃないわ!私はちゃんと持って帰ってきたのに・・
ちょっと、あんた!どうしてくれるのよ。取りに戻りなさいよ!」


『まあまあ、落ち着いてくださいませ。

傘を捨てて来た皆様は、自分の胃袋でないと知り、あーよかった・・とお思いになられましたでしょう。
そして、持ち帰ってこられた方は、とても迷惑な話であるとお考えになられたことでしょう。

置いてきた骨の折れた傘、捨てた傘が、風に煽られ、歩く方にぶつかる事もございます。
また、
持ち帰られた濡れた傘の滴が隣の方の服に着き、服を濡らしてしまうこともございます。

置いてきた方も、それが原因で怪我をされた方がいることも、
傘で他の方の服を濡らしてしまった方も、当の本人は気付きません。
そうなんです。
気付かぬうちに他人に迷惑をかけてしまっていることがあるのです。』

「そんなことはどうでもいいよ。で、どっちなんだよ、誰の胃袋だったんだよ!」

『イーヒッヒッヒッヒッヒ・・』
添乗員の気味の悪い笑い声がロッジ全体に轟いた。

あまりの不気味さにツアー客は皆、黙りこくってしまった。


『では、つづきまして最初に申し上げました問いは皆様は覚えておいででしょうか。

林の中を進み、岩山へ向かう皆様の行く手を阻んだ壁がございましたねぇ。
その壁の高さはいかほどでしたでしょうか?
自分の力で上れる壁でしたでしょうか?それとも何かに頼らなければ越えられない壁でしたでしょうか?
はてまた、軽く跨ぐだけで超えられましたでしょうか?
目の前に立ちはだかった壁の高さ、それは最初の問い、1の答え。

ご自身のプライドの高さでございます。
自分ではコントロールできないほどの高いプライド、よじ登るほどの高さまでにプライドを引き上げてしまったりはなさいませんでしたでしょうか?
皆様大丈夫でしたでしょうか?


その後に川を渡っていただきました。
その川は皆様、ご苦労はございませんでしたでしょうか?
問い2の答えがその川幅にございました。
それは果てぬ夢・・でございます。

川幅が広ければ広いほど、実現の目途も立たぬうちから将来を空想し、夢だけが膨らませていることを現してございます。』

「あははは・・じゃあ、よかった。一跨ぎの小川みたいなものだったな・・」

『ようございました。それは三途の川にございます。』

「失礼なことを言うな!なんだ!」

「大変ご無礼をいたしました。
あー皆様・・・
大半の方が押しを組んでおいでですね。
足を組むのは骨盤が歪んでいる証拠でございます。
骨盤が歪み、足を組んでいないと姿勢が保てなくなっているというわけです。
これが問い3の答えでございます。

つづきまして問い4の答え。
これは異性に対する考え方を現します。
缶コーヒーは大好き、飲んだら捨てられるから。。。などと、
まさか、皆様、思っておいでではないでしょうね・・
もともと飲まない。そう言った方は飛ばしていただきまして結構です。
よく飲まれる方は、お好きだということでございますねぇ。。エへへへへへへ・・・

そして問い5・・
貰えるとしたら何を選びますかと言った内容でありましたが、皆様、覚えておいででしょうか?
その種類は何種類ありましたでしょうか?
そして4番目の品物は何だったでしょうか?

皆様、答えられましたでしょうか?

あー皆様・・・、お若い方もおいでですのに、、残念。
ご愁傷様にございます。
脳内老化が既に始っておいでです。
海馬を鍛え記憶力を磨いてくださいませ。

本を読み知性を、中身を磨けなどと人様に説教をしている場合ではございませんねぇ。
その前にご自身の海馬を磨きませんと・・
ねえ、そこで立膝をなさっているお嬢さん。』

「はっ?わたし?失礼ね!この靴が脱げないのよ!」

(あー!!!!寝言話→脳内ツアー移行型で、ファミレスのソファで靴脱いで、生足で立膝して煙草吸ってた行儀の悪いあの女・・参加してたんだぁ)


『あーその靴は・・・足癖の悪い方は脱ぐのが困難かと・・・』

「ちょっと!どういうこと!」

『はははは・・・大変にご無礼を申しました。
それでは、最期の問い6ですが・・・
こちらは特に女性の皆様、要注意でございます。
生足、素足は足が太くなります。
血流を悪くし、むくみにつながり、足はどんどん太くなります。
また、
足裏は特に老廃物が溜まりやすく、菌が繁殖しやすいところでございます。
気付けば、どこかで水虫に感染しているかもしれません、貴方様のその御御足・・

さあさあ、それではここで皆様にツアー参加記念品をお渡しいたしますので是非、お受け取りくださいませ。
前回、ご参加いただきましたお客様は、既にお持ちかと存じますが、少しよい品となりましたのでよろしければ交換とさせていただきますが。。。』

(前回の鏡を持っていたのは、一人は、まじない→脳内ツアー移行型で、上目遣いの空気の読めない面倒な女だったはず。
でも、胸板の薄い連れの男がいないなぁ・・
じゃあ、もう一人はこの中の誰なんだろう・・)

「あー私はいいや!持ってるから。それより早くこの靴脱がせてよ。」

(もう一人はこの行儀の悪い女か・・)

「あれぇ・・・さっきまで錆びてなかったのに。」
上目遣いの女が言った。

「あれ?私のもだ、替えて。」
行儀の悪い女が言った。

『かしこまりました。ささ、此方に前回の鏡をお入れくださいませ。新しい鏡はこちらでございます。』


記念品の鏡を手にしたツアー客の一人が叫んだ。

「おーい!ちょっと来てくれぇー」
「何これー!!」

鏡を手にしたツアー客らは口々に叫んだ。

添乗員は鏡を覗き様子を窺う私に、ニヤリとした。


-------------- またまたつづくです。。長くなってしまいすみません。。。-----------

◆脳内ツアー続編4

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----------------- 脳内ツアー続編3のつづき 4 -------デス---------------


「おかしいわよ、この鏡」
「何なんだよこれ」
ツアー参加記念品の鏡を受け取ったツアー客らは次々に叫んでいる。

その様子をパソコンを通して覗いているソードが言った。
「大丈夫でしょうか、最高顧問。」
『ああ。フールには何か考えがあるんだろう。
前回の鏡も取り戻せたことだし・・このまましばらく見ていよう。』

どうやら、ツアー会社の最高顧問とその従業員のソードはこの様子をモニターで見ているらしい。


『はいはい、皆様、いかがなさいましたか?』

「変な化け物が鏡の中から覗いてるんだよ、気味悪いよ。」
「私の鏡は何も映らないわ。」
「ちょっと、この太った女、誰なのよ!私こんなに太ってないわよ!」

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『いえいえ、皆様、ご自身が映っておいででございます。
悪魔?
ああ、それは貴方様の心が悪魔のよう・・だと言うことでございますね。

何も映ってない?
それは、何も考えずに生きておいでになる証でございますね。

太っていない?
いえいえ、貴方様は十分に・・
よくご覧くださいませ。鏡に映った右手。
札束を握っておいででしょう・・欲太りでございます。』


「私はちゃんと映ってるわ。よかった。」
「だけど、自分の顔は口だけ残してのっぺらぼうだよ・・」
「あのぉー私のカガミィ・・空き缶が一杯転がってるんですけどぉ・・」
「これ、俺じゃないよ。」

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『イヤでございますねぇ皆様・・
皆様、ご自分を勘違いなさっておいでになる。
映っているのは貴方様にございますよ。

鏡には映っても、ご自分の顔は口だけ残して顔がのっぺらぼう・・
それは、おしゃべりで口が上手く、したたかに生きておいでなのですねぇ・・

空き缶だらけ?
あぁ・・貴方様は彼に浮気をされたと言ってはまた別の男性をお誘いになっておいででしたね。
おモテになっているつもりでも実はそうではない。
単に缶コーヒーや缶ジュースがお好きなだけで相手にされていなかったことを解っておいでになっていないようでございました。
でも、ご安心ください。1つだけ倒れていない缶がございますでしょう・・
ご主人でございます。ようございました。

メタボ腹のこの男性?
ぐうたら、怠け者でございますねぇ。。貴方様の本当のお姿なのですよ・・』

あーあ、鏡にバイキンが一杯映っておいでになりますねぇ・・
汚いスニーカーに生足でファミレスのソファに両足を上げ、立膝をついてお座りになっていらした足癖のお悪い貴方様・・
残念ではございますが、貴方様のお心はバイキンに制覇されつつございますねぇ。
お気の毒なことでございます。お見舞い申し上げます。』

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「じゃあ、私の場合は?」

『これはまた・・・
随分と小さく映っておいででございますね。。お心の狭い方はこのように小さく映ってしまわれます。』

「ふん、くだらない!
じゃあ俺の映っている鏡は真っ黒だ。どうせ腹黒いとでも言うんだろ!ネタバレなんだよ!」

『いえいえ、腹黒いなどと。。めっそうもございません。
それは・・・お先真っ暗ということでございます。」
              

「いいかげんにしろ!さっきから黙って聞いてれば!失礼じゃないか!」
「そうよ!客に向かって何なのよ!!」

『客?おかしなことを仰いますね。。。
本ツアーは無料でございます。
参加費用はご自身のお心のみと申し上げたはずですが・・・』

初老の男性が言った。
「いいじゃないか、面白い。この鏡、頂いて帰るよ」

『ありがとうございます。
それでは皆様、鏡がお気に召さない方はお出口脇の回収BOXへお入れくださいませ。』

ツアー参加者は次々に捨て台詞と共に回収BOXへ鏡を投げ込んだ。


『ありがとうございました。またのご参加をお待ち申しております。』

「誰が参加するかよ!バカヤロー。」!!!ボコッ!!!
若い男が添乗員を殴った。
「痛ッ!・・・やりやがったな、この野郎!」!!!キック!!

「いてッ!!・・・」

殴られ、蹴られたはずの添乗員はニコニコと笑顔だ。
『あはははは・・
私をいくら殴ったところで、駄目でございます。
ご自分のやったことは全て、ご自分に返っていくのでございます。
今夜は、湿布等、お貼りになった方がよろしいかと存じます。おだいじになさいませ・・・』

ツアー参加者の大半が出て行った後の部屋には先ほど、鏡を持って帰ると言っていた初老の男性の他、まだ数名が座ったままだ。

(どうしたんだろう・・・)

『あららら、どうなさいました?ご気分でも?』

「いや・・」
「違うのよ。変なのよ。バッグが重たくて持ち上がらないの」
「わしは身体が重たくて動けんのだよ。さっきまではなんともなかったのだが・・」

『ああ、わかりました。
それは鏡のせいでございます。
この鏡は心の重荷まで背負ってしまうのでございます。
鏡を置いてお帰りになりますときっと、軽くなるはずでございます。』

残っていた数名の男女は、鏡を置いて帰ることにした。


『全員、鏡を置いていったな。これで前回の499名分と今回の500名分を併せて999の“心”を頂戴したというわけだな。
ははははは・・・やるじゃないか、フール。』

「ありがとうございます。最高顧問、今回は上手く参りました。」

「そうね、前回の鏡も回収できたし。凄いわ、フール。」

『残るはあと一人か・・手強いな・・』

「ご心配には及びません、お任せを。最高顧問。」

『頼んだぞ、フール。』


ツアーを終えた帰り道、参加者の半数以上が体の不調を口にしている。
「な~んか、胃がもたれてるなぁ・・」
「私もお腹の調子が悪くて・・・」
「うん、胃が痛い・・」
「アイツ、変な物出しやがったな・」


『イーヒッヒッヒッヒッヒ・・・
傘を置いてきたのは隣の人の胃袋であるわけがないだろ・・自分の胃袋だよ!
今頃は折れた傘がささっているかもな・・・イーヒッヒッヒッヒッヒ・・・』
             
そして添乗員は向きを変え、私に言った。

『さぁ、後は・・鏡を覗いているそこの貴方様だけ・となりましたね。。
きっと、その鏡がご負担になる時が参りましょう。イーヒッヒッヒッヒッヒ・・・』

置物の黒猫の目が光っていた。

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--------------またもや、しつこく、つづく---デス------次回で続編最終話---------


◆脳内ツアー続編5最終話

Posted by 空耳ロバ on

-----------------------脳内ツアー続編4のつづき 5 最終話 ----------デス--------


鏡を持っていることがそのうちきっと負担になる・・・・
あの気味の悪いフールと言う添乗員にそう言われていた私は、確かにこのところ調子が悪かった。


『おはようございます。』
打ち合わせ先の会社のエレベーター内で知り合いに会った。

「あっどうも。おはようございます。」今日は打ち合わせかな?

『はい、5階の原さんと原稿の件で。』

「あ?ああそうですか、終わったら申し訳ないですが、ちょっと声かけてください。」

知り合いの会社員はやや首をかしげながらエレベーターを降りて行った。

打ち合わせが始りほどなくすると、担当者から飲み物は何にするかと聞かれたので“麦茶”と答えた。
すると担当者は、
「なんだ、そんなもの・・
クリームソーダーとか言ってくれたら喫茶店から一緒に出前頼めたのに、気の利かない・・」と言った。
私は慌てて「チョコレートパフェ」と言い直した。
担当者はにっこり笑って「ああ、そうですか、では下の喫茶店に出前を頼みましょう」と言い、チョコレートパフェが二つ届いた。

そうなのだ。
あの鏡の一件以来、私はこんな調子で相手の考えが読めるようになっていたのだ。
最初は面白かった。
相手の考えている事がわかるのだからこんなに便利なことはない、などと、相手の考えが読めることを楽しんでいた。

だが、今はそれが重荷となり私の背中にのしかかっている。
何かの予感がする時は決まって、頭頂部がジワジワとするのだ。
相談しようにもこのような目に見えない非現実的な世界を誰が信じるというのだ。
私は知人の占術師2人に相談することにした。

私が見えるようになったことを話すと心配してくれた彼女らは頻繁に連絡をくれるようになった。
ところが、実際はその逆だった。
私に色々なことを聞いてくるようになり、それが現実のものとなると果ては自分の予知が当たったのだと周囲に吹聴して歩いていた。

これは駄目だ・・・

彼女らからの連絡を避けるようになってから数ヶ月が過ぎた頃、思い切って彼に相談をすることした。
その頃、私には珍しく1年以上も続いている彼がいた。

他社との業務提携話が持ち上がっていた彼は、実際はそれどころではなかったが、快く相談に乗ってくれた。

『その企業、危ないよ。提携すると大損するかも・・』
彼は提携を見送った。
結果、大正解だった。

「人材募集に応募してきた子なんだけど・・」
「この子を雇うと、慣れてきた頃、大きなお金がなくなるわよ・・理由はわからない。」
その通りになった。
彼の会社に泥棒が入り、二度にわたり運営資金が盗まれた。
以降、彼も二人の占い師と同じになった。
鬱陶しくなった私は彼に別れを告げた。


『だいぶ鏡が重くなってきたようじゃな・・』

「あっ、神様・・久しぶり。忙しかったの?」

『ん、まぁ夏の盆が終わるとすぐに秋のお彼岸がくるからのぉ、その準備であちやこちやと出向いとたんじゃ。』

「そっか。。秋のお彼岸は9月19日から25日までだものね。
その後は9月30日の中秋の名月、十五夜が来るから忙しい日が続くのね。」

『そうじゃな・・それが終われば、来月は出雲で全国から神が集まる会合があるしな・・・
して、その鏡どうする?』

「もう、やだ!神様、どうしたらいい?
あっ、でも神様は来月からいないのか・・・神様、預かっておいてよ。」

『来月と言っても神無月は旧暦じゃから、出雲に行くのは下旬じゃがな・・
そうじゃな。。よし!その鏡、わしが預かっておくことにしよう。』
神様はそう言うと、鏡を白い布に包み消えた。

神様に鏡を託してからの私は、人の気持ちを読むこともなくなり、元の穏やかな生活に戻っていた。

今でもあの鏡はとある神社に祀られている・・・



《 後 記 》

「ああ、、、どういたしましょう、最高顧問。
申し訳ございません。
まさか、神に預けてしまうとは考え及びませんで・・」

『そうだな・・見通しが少し甘かったようだな。』

「はい、まことに・・もうあの鏡は私どもの手に戻ることはございません。
大失態でございます。申し訳ございません。」

『仕方がないな・・
失敗は誰にでもある。気にするな。
鏡が戻らなくても大丈夫だ。わしらにはこれがあるからな・・・』

闇の心の支配者である最高顧問はそう言いながら、木箱の蓋をあけた。


木箱の中には沢山のカラーボールが入っていた。

『ところで、フール。
黒猫のシロは朝から見当たらないが何処へ行った?』

「さぁ・・ネコは気まぐれでございますので、散歩にでも行ったのではないかと・・」

『ああそうだな。そのうち帰ってくるだろう。
・・で、次の作戦だがな・・』

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--------------------脳内ツアー続編・・ひとまず、おしまい・・・デス----------------

つまらない・くだらないと思いながらも、うっかり最後までお読みになってしまわれた皆様、
長いお時間を割いていただきありがとうございました。

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