神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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◆ 因果応報 Ⅰ~途切れた糸 ~ ◆

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さて、今日は何色のボールを取ろうか・・・

中央で線で引いたかのように白と黒に二分されたカラーボールを見つけた。
取り出してみると、二色に別れた白黒ボールに続いて3つのカラーボールが付いてきた。
木箱の中に隙間のないほど入れられたビニール製のカラーボールは、この数日続いた暑さのせいで溶けてくっ付いてしまったようだ。
離そうとするが、どうにも離れない。
ん~・・・どうやってはずそうか。
離れない4つのカラーボールを見つめていると、ぼんやりと・・・・


電話のベルが鳴った。

「かおる久しぶり!元気ぃ?わ・た・し!京チャンよ~ぉ!!」
妙にテンションの高いその声は、高校時代の知人、京子からであった。

一年半ぶりの連絡に戸惑い、怪訝そうにかおるは答えた。
『あぁ京子?どうしたの?』

「ねぇ冬休みって何してる?サークルか何か入ってる?かおるってスキーするよね?
あのね、私、××大学のサークルに入ってて、12月14日から2泊3日でスキーの合宿があって、誰が行ってもいい合宿で、かおる一緒につきあってよーーーー」
京子は早口でまくしたてた。

一浪し大学へ進学したかおるはまだ大学一年であったが、推薦で短大へ進学した京子にとっては、就職も決まり、学生最後の冬休みとあって、どうしても参加したいようだ。

かおるは予定らしい予定はなかったものの、高校時代のある事が引っかかり、京子からの誘いに即答はしなかった。


かおるの入学した高校は、中学から上がる生徒が半数、外部の受験組みの入学者が半数の中学が付属の私立高校だった。
京子もかおるも外部からの受験入学者だった。

高校に入学して間もない4月下旬、学力テストが行われた。

受験で入学した外部生と付属から上がった内部生とでは学力の差は歴然としていた。

「私、見たんだ。カンニングしてたんだよ~ずるいよね」京子がかおるに言った。
どうやら内部生の一部がカンニングをしていたようだ。
「へーそうなんだ」かおるは答えた。
「先生に言おうよ」京子が言った。
「ん~ほっとけばいいじゃん」かおるはカンニングなど、どうでもよかった。
寧ろ、自分もすればよかったとすら思っていた。
放課後の出来事だった。

翌々日、かおるは少し遅れて登校した。
「おはよう!」教室に入りいつものとおり声をかけた。

ふふふ・・・ふっふぅ・・・ふふふ・・・
クラスメイトがかおるを見ながら妙な笑いを浮かべた。

かおるにはその笑みの意味がわからなかった。
が、
その日から、かおるに対するクラス中からの無視・いじめが始まった。

かおるは原因がわからないまま苛められ・嫌がらせを受けた。

誰にも言えず「行って来まーす!!!」元気に家は出るものの、
週に1回の休みが2回、3回となり、かおるは学校を休みがちになった。

「学校、辞めたい」担任に言ったこともあった。
理由を尋ねられた時、
「校則が厳しくて嫌だ」と答え、いじめを受けている事実を伝えられなかった。

そんな中でも京子はかおるに優しくしてくれていた。
かおるはありがたいと思った。

何とか二学期も終わり、三学期に入った。
あと少しすればクラス替えだ。かおるの唯一の支えだった。
だが、その頃には京子の他にも数人が話しかけてくれるようになっていた。
その中の一人、スギがかおるに言った。

「あのね、、、最初の頃、みんな、かおると話さなかったでしょ・・
あれね・・・
4月の学力テストの時、カンニング事件あったじゃない。
カンニングを言いつけたのはかおるだってことになって。
それで、カンニングしてた内部生が皆でかおるを無視しようって言い出して。
でも、先生に言いつけたのってかおるじゃないよね。かおる、その日休んでたもんね。だんだん、皆、それがわかって来て。」

カンニングがあった話をしていたのは事実だ。
だが、その翌日、かおるは風邪で学校を休んでいた、言う暇などあるはずもない。
1日休んだ翌日からいじめが始まったのだ。

京子だ。

かおるが休んだ日に、京子が先生に言いつけたのだ。
それを、その日休んでいたかおるのせいにし、かおるが苛められるのを黙って見ていたのだ。
京子がかおるに優しく接していたのも、どうやら、自分が言ったことをかおるに知られ、かおるが皆に言いふらしはしないかと心配だったからのようだ。

かおるの中で、京子が「大切な友人」から『単なる同級生』に変わった瞬間だった。

三学期の学力テストの際、かおるは生まれて初めてカンニングをした。
いじめはなくなった。
「停学」という代償と引き換えに・・・

停学処分となったかおるは推薦ではなく、大学受験となった。

カンニング言いつけ事件の一件の全てを知ることとなったかおるだが、卒業をするまで京子には知らないふりをとおした。
そして京子もまた黙っていた。
高校卒業と同時に、京子は、「単なる同級生」から『単なる知人』へと変わった。


その後、順風満帆にも見えた京子は、結婚した相手に父親の経営する貿易会社の資金を横領され、夫は行方不明、経営していた貿易会社は倒産し、自宅ビルも全て競売になり人手に渡った。
京子が今、どうしているかは知る由もない。

陥れ、卑怯なことをした自らの行いは、時を経て、形を変えても必ず自分に返ってくることをよーく覚えておくがいい。
そう。。。まじないなどしなくても。

4つ繋がったカラーボールには、ぼんやりとその文字が浮かんでいる。
繋がったカラーボールの一つが外れ「報」の字が転がった。
転がるボールの行方を目で追うが、追いかけ、手繰り寄せ、木箱に戻すことはしない。
糸は付いていないのだから・・・・・






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◆ 因果応報 Ⅱ~不透明な関係(1)~

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「報」の字の外れた4つのカラーボールは、まだ3つ繋がったままだ。
まるで頑丈な瞬間接着剤で張り合わせたように強固に繋がっている。

「やんなっちゃうなぁーなんだこれ! このまま捨てちゃおうかな」

『ダメじゃ』

「????あれッ?神様。いつからここに?」

『そんなことはいい。さて、ボールはどうする?外せるか?』

「外れないよ~!神様でしょ、外してよ」

『ははは・・・神様も専門分野があってな。このくらいならわしにも・・どれ!』



世の中には、まったくもって理解不能な関係がある。
自分の尺度で計ることは出来ないが、この関係も、きっと・おそらく・ なのだろう。

木村はアパートや貸家も持っている、県内でも有名な老舗店の一人息子。
父親が大手商社に勤務するエリート商社マンの一人息子で大学生時代から頻繁にファッション雑誌の読者モデルに起用されるモテ男、車好きの崎山。
そしてもう一人、飯田は老人ホームも手がける大病院の長男、いわゆる後継者だ。

この3人の付き合いは中学校時代から数え、かれこれ40年近くにもなるだろうか。

木村は歯科医となり、歯科医院を開業している。
崎山は学生時代から好きだった車の仕事に就いた。
そして、飯田は医者となり、実家の病院と老人ホームを継いだ後もさらに拡大し、プライベートでは十数台の高級外車を所有するなど、一番の出世頭となった。

成長し、それぞれの道を歩んでいる現在も相変わらず仲の良い友人同士だ。

「なぁ、会社が休みの土日のどちらか1日でもいいから、雇っててくれないかなぁ、仕事くれよ~」
「奥さんに握られてて金なくってさぁ~。今日もおごってくれるよなぁ飯田理事長」
サラリーマンの崎山は、すっかり飯田の腰巾着となり、糸切り歯のすぐ脇にあるはずの小臼歯2本が連続して抜けたままになっている情けない笑顔でご機嫌を取っている。
一人娘のヴァイオリンの稽古にお金がかかる上、会社では肩叩き寸前らしい。

(ふっ・・金がない?そんなこと・・ その歯抜けの顔を見れば自分で言わなくても一目瞭然だよ。
『金ない・車ない・つまんない』はおまえか・・あっ、車はあるか。車屋か・・)

「崎山が、会う度に仕事くれって言うんだけど、あいつに与えるポジションがないんだよなぁ~」飯田が木村にこぼす。

(さすが、やり手の経営者。旧友にもシビアだ・・) 

「お前、崎山から車30台買ってやったんだろ!
それで崎山は売り上げ1位になって社内表彰まで受けてるのに何のお礼もないじゃないか。
もういい加減、崎山におごるのよせよ!利用されてるんだよ。俺たち同級生なんだぞ」
木村は飯田に友人としてもっともらしく忠告した。
またその一方で飯田の知人に会えば
「飯田のことは医師としては信用してないんだ。あいつはまともな診断が出来ないんだよ、オペ出来ないし」などと吹聴していた。

(妬みだな・木村・・・飯田はそもそも精神科医だ。オペなど必要ない。
 自分だってインプラントの手術、出来ないくせに。
 まぁ、中学時代から仲が良かったのは崎山と木村で、転校生の飯田は途中参加のオマケだったもんな。
ところが今では、崎山は街の歯科医院の木村よりも、出世した飯田に重きを置いて、見向きもしない。
 何かと理由をつけては飯田のご機嫌を伺い、2人で連るんでいるのだからな。
 そりゃあ、いつも中心にいたい崎山にとってみれば面白くないわな。)

おだてられ、利用されていることは飯田もわかっていた。
それでも、あの崎山が、恥も外聞もプライドも捨て、自分を頼ってくれることは嬉しかった。
仲間内の飲み会の席などでは、気の置けない仲の良い旧友として知人に紹介した。
だが、ビジネスや大きな額の金が動くときは別だ。

金無し、人脈無しの崎山に用はない。


株取引を趣味としていた木村に、飯田から、未公開株購入の話を持ち込まれた。
聞けば、とある医療機器を扱う会社が、新機器を発明し間もなく発表する、発表後には株価は相当高騰するから限定した人にしか声をかけていない、自分は開発者に名前が入っているから買うことが出来ない。200万で購入しても絶対に損はしない、必ず儲かる株だ。と言うものだった。

「本当に儲かるの?」

(あーあー、また木村のスケベ心が出たよ。)

「絶対だよ!お前だから教えてるんだよ。必ず儲かる、損はしない!信用しろ!!」

(飯田、やけに必死だな。木村、きな臭いぞ、この話・・乗らない方がいいぞ~、やめておけ~)

木村の家はかつては多数の不動産を所有し、県内でも有名な老舗の和菓子屋だったが、父親が心筋梗塞となり多額の借金を残したまま急死した。
そのため所有していた不動産の殆どを売却し、かろうじて残った店舗件自宅も未だ借金の担保に入ったままだ。
今の木村にとって趣味に投資する200万は大きい。
 しかし、常にブランド品に身を包み、高級外車を乗り回し、周囲には羽振りのよいことを言い、セレブと思われ・・・思わせている見栄っ張りの木村は、200万がキツイとは普段でも言いにくい。
その相手が飯田ではことさらだ。

(買うよ、買うよ、きっと買っちゃうよ。馬鹿だねぇー。断ればいいのに)

案の定、木村は飯田に薦められた未公開株を購入した。

(あー・・あ・・、買っちゃったぁ・・見栄っ張りだねぇ・・・直ぐに紙切れになるぞ。)

その年の9月15日、
世界中が激震した、負債総額、約64兆円という史上最大の倒産劇となった『リーマン・ショック』が起きた。
未公開株を購入してから僅か3ヵ月後のことだった。

-------次--回--へ-----------つ--------------づ--------------く-------------デス
                 す ぐ 書 き マ ス

◆ 因果応報 Ⅱ~不透明な関係(2)~

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-------  因果応報Ⅱ 不透明な関係(1)のつづき(2)デス  ----------

飯田の薦めで未公開株を購入した木村だったが、リーマンショックの影響で持ち株の殆どが紙くずと化し、飯田からの連絡は途絶えたまま数ヶ月が過ぎていた。


「まったく、僕はあいつに今までどれだけ騙されてるかわからないよ。
 まぁ、300万くらいだからいいんだけどさー」
(300?200万だろ。また話を大きくしているな)

「さすが、木村先生、セレブは言うことが違いますね~。僕だったらもう首くくりもんですよぉ」
「うちなんて患者増やすの必死で、そんな余裕とてもとても・・鰻すら2,3年食べてないよ」
「木村先生のところ、凄いですよね。お子さんはインターナショナルスクールに入れてるし」
「凄いなぁ~。どうしたらそんなに患者が増えて儲かるのか、羨ましいですよ。
 うちなんて1時間に一人の患者ですよ。場所ですかね・・」
『あはは・・場所は関係ないよ。
 患者増やすのはそれなりに努力しないと。うちは地道な努力をしているからね・・
 鰻くらいで情けないこと言うなよ、食べさせてあげようか・・しみずは行き付けの鰻屋だよ』
「えー!あんな高級店、行ったことないですよ」
「金持ちは違うよな」
「ほら、木村先生はセレブだから。行く鰻屋まで違うんだよ」
『ははははは・・じゃあ近い内に連れていってあげるよ』
旧友の崎山からはもはや見向きもされなかったが、歯科医師会の会合ではいつも輪の中心にいる木村だった。

(今やコンビニより数の多い歯科医院。どこも大変だろう。木村、いいのかそんな大口叩いて。)

その実、木村は借金だらけだった。
医院の事業運転資金・自宅・高級外車や身に着けている数々のブランド品、子供の学費に至るまで
その多くを金融機関からの借り入れ金で賄い、担保に入ったままの実家の借金もチビチビと返済を続ける苦しい生活を送っていた。
「どうしてくれるんだ!大損したじゃないか」
数ヶ月あまり連絡をよこさない飯田に木村は文句の一つも言ってやりたいが、200万の金でガタガタ言っているとも思われたくない、そんな思いが先に立ち、イラつきながらも連絡を取れずにいた。


「悪い!俺も開発には4000万も投資したのに参ったよ!
 リーマンさへなければ必ず上がったんだよ。この埋め合わせは必ずするから。
 ところで、木村、相談があるんだけど」
久しぶりに飯田から連絡が入った。

「なんだよ!200万も損させやがって、200万返・・・」
4000万か、額が違うな。ここで言ったら、200万の金にも困っていると思われる。
木村は咽喉元まで出かかった言葉を飲み込み、平然を装った。

「あぁ、しょうがないよ。リーマンは予測できなかったもんな。
 ところで、相談って何だよ?」
「実は、うちの老人ホームの件でお前に頼みがあって。ちょっと急いでいるんだ。
 今度は損はないから会って話したいんだ」
木村は、相談を急いでいると言う飯田と翌日会うことになった。

「実は、今、老人ホームで歯科医に訪問診療してもらってるんだけど、
酷いんだ。作った入れ歯は合わないし、雑だし、入所者からも苦情が多くて。
次の理事会で解任してお前に任せたいんだ。
訪問診療に必要な機械は全てこっちで用意するから、使いやすいのを買って請求してくれればいいよ。
顧問料は月50万出す、その他に診療報酬も全てお前にやる。
訪問診療用の診療室は、お前の実家の店舗を診療室に改装してくれるなら、その資金も5000万までなら出すよ
どうだ?悪い話じゃないだろ」

法律で、訪問診療は診療所から半径16キロ圏内と決められている。
木村と飯田が所有する老人ホームは60キロ離れている。
だが、木村の実家と老人ホームは16キロ圏内だ。
今の診療室は賃貸だ。
だが、実家の店舗を診療室として改装すれば家賃も出ないし、自分が年をとった時にゆっくりと診療もできる。

木村にとっては確かに悪い話ではないが、それでは飯田の利益が何もない。
なぜだ?不審に思った木村は尋ねた。
「顧問料は月50万、その上診療報酬も全額くれる、訪問診療用の機械も買ってくれる。だったら、お前に何のメリットもないのに、おかしいじゃないか」

「もともと病院や老人ホームは利益を目的としちゃいけないから、儲けなんかいいんだよ。
実際診ればわかるよ。酷いもんだよ。
親父の息のかかった歯科医だから、適当にやっても首にならないと思ってるんだ。
このままじゃ入所者が可哀想だし、評判が悪くなる。それどころか、既に落ち始めてる。
だから腕の良いお前に力を貸してもらって巻き返したいんだ。頼む!週1回でもいいから来てくれよ。
俺は親父を超えたいんだよ。」

飯田は父親が一代で築き上げた病院と老人ホームの単に,父親の跡を継いだお気楽経営者と思われたくないらしい。
男ならばそう思って当然だ。
「腕の良い/お前の力/親父を超えたい」いぶかしんでいた木村の琴線に触れた。

(さすが、精神科医だ。木村をくすぐるのも上手だな、飯田)

リーマンショックの影響で受けた損害を取り戻したい木村にとって、飯田からの申し入れは渡りに船だった。

訪問診療用の機械は唯で手に入り、毎月50万は必ず入ってくるわ、訪問診療の診療報酬も全額懐に入るわ、こんなに出来すぎた話はない。
そして何よりの魅力は、この歯科医院の他にも診療所を作り、老人ホームの顧問医もやっていると歯科医師仲間に自慢ができることだった。
自らの虚栄心が勝った木村は、つい先ほどまで持っていた飯田に対する懸念は消えていた。
だが、即答しては飯田に「暇」だと思われる、ここはじらさなければ。
「考えておくよ」

(そうだな、木村は「暇」だと思われるのが最も嫌いで「忙しい人」と言われるのが最もの褒め言葉だもんな)

「へぇー凄いなぁ。老人ホームの訪問もやってるんですか~」
「忙しいわけですね、凄いなぁ~、やり手ですね」
「このご時世に新しく支店開業ですか!いやぁセレブは違うなぁ」

普段から噂話好きで口の軽い自慢屋の木村が黙っていられるはずはない。
訪問診療の話を持ち込まれた2日後には既に吹聴していた。

老人ホーム訪問診療の話から既に4ヶ月が経過していたが、一向に話は進まない。
飯田から来るはずの催促の連絡も来ない。

「訪問診療、いつから始めるんですか?」
「新しい診療所、もう作り始めてるんですか?」
「ユニット、どこのメーカーのにしたんですか?」

(木村にはいい薬だな)

飯田に担がれたのかもしれない・・
吹聴し、引っ込みがつかなくなっていた木村は焦っていた。
飯田に連絡を入れると
「訪問診療いつから来てくれるんだよ。機械、早く買えよ。金額は気にするな。お前が使い易い機械を選んでいいよ。請求書回してくれていいからな。請求先はうちの医療法人宛にしてくれよ」
木村は安堵した。

(相変わらず単純だな、木村。この話に乗るな、乗ったら知らないぞ~)

木村の欲しい訪問診療用の機械は700万程するが、飯田が払ってくれるのだから安心だ。
ついでにポータブルのレントゲンも購入して併せて請求書を回すことにしよう。
注文し、飯田の病院へ請求書を回した。

自宅の改装はまだ始まっていなかったが
「改装工事は訪問診療と平行して始めたい」と言われていた木村は、吹聴してしまった訪問診療を一日でも早く始めたかった。
何か言われたら改装工事中だと言えばいいや。なんとかなるだろう!

(なるわけないだろ!!!ばか者!欲に目がくらんだな、木村)


------長くなると飽きるので----ま・た・あ・と・で----すぐ書きます-----

◆ 因果応報 Ⅱ~不透明な関係・終盤戦~

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-------  因果応報Ⅱ 不透明な関係(1)(2)のつづき(終盤戦)デス  ----------


念願の訪問診療を始め1ヶ月が過ぎた頃、飯田から顧問料30万が振り込まれた。
「30万ってなんだよ、50万って話だったじゃないか」
「うん、そうなんだけど、色々物入りで。今月は30万にまけといてくれよ~」
「しょうがないなー。来月は払えよ」

その翌月、30万が振り込まれた。
「また30万か、50だろ、20足りないぞ。それに診療報酬もまだだぞ」
「いやぁ、本当に申し訳ない。来月分に足して振り込むから。
そうだ、そろそろ木村の実家の改装話も進めなくちゃなぁ」
旨く話を誤魔化された感のあった木村だが、資金繰りが苦しいのは自分だけじゃないんだとホッとする気持ちもあった。
「しょうがないなー。来月も30だったら、もう行かないからな!診療報酬、早く振り込めよ」
「わかった、わかった。事務長に言っておくよ。
ただ、まだお前の実家の改装まだだろ。
診療報酬としてだと監査が入るとまずいから、改装が始まってから振り込むよ」

(しょうがないのは木村、お前だよ。この欲ボケが・・)


実家の改装話も進まず、診療報酬も振り込まれないまま3回目の顧問料支払日がきた。

顧問料はまた30万だ。
「いい加減にしろよ、先月の足りない分併せて70だろ、もう行かないぞ。いいんだな」
「いいよ。もう来なくて。
僕は週1回と言ったのに、2週に1回しか来なかったじゃないか。
本当なら半分の25万でいいのに、友達だから30万払ってやったんだ」
そう言うと飯田は一方的に電話を切った。

「まっ、気の弱いアイツのことだ。俺がいなければ訪問診療だって困るんだから、そのうち連絡してくるだろう」
木村は2週に1回しか行かなかった事など反省しない。

数週間後、案の定、飯田の携帯から着信が入った。

「飯田、お前なぁ」

「弁護士の塚本です。そちら様にお貸しした医療法人飯田名義の訪問診療用機器とポータブルレントゲンのご返却期限が過ぎておりますので、後ほど、専門業者が引き取りに伺います、引渡しをお願いいたします」
そう言い残し電話は切れた。

「なんだ、あいつ!!マジ頭きた!覚えてろよ!」

(ふっ・・・木村、お前も同じ事を言ったな・・・)

何度となく飯田に連絡を入れるが応答がない。
怒りの収まらない木村は今度は事務長宛に電話を入れた。
「はい、お電話変わりました。事務長の崎山です。」

その頃、飯田は空港にいた。
「ただいま。兄さん、久しぶり」
「お帰り。病院の歯科室、昨日、完成したよ。
帰国するまでの繋ぎの歯科医は首にしたから直ぐにでも診療、頼むよ」

(やられたな、木村・・お前は本当に反省しない奴だな。まだ気が付かないのか、
未公開株購入話の時から始まってたんだよ、あの時の仕返しが・・・)


「金ない・車ない・つまんなぁーい」
あっははははは・・・・

また崎山と木村が大声で飯田をからかっている。

大学のサークルに入ってから何十回、何百回聞いただろうか・・・
飯田が一言何かを言うたび「金ない・車ない・つまんなぁーい」と友人を馬鹿にするその言葉に、聞いてる方もうんざりだ。
初めて会う女子の前でも馬鹿にするものだから、飯田が好意を寄せていた女子からも軽んじられる始末だ。
その上「そんなに笑うと八重歯が飛んじゃうよ~」「吸血鬼になって徘徊かぁ」
本人が気にしている、身体的なことまで引き合いに出してバカにしていた。

飯田が珍しく声を荒げた。

「マジあったま来た!お前ら覚えてろよ!!!」

(・・・・な、、、木村。忘れていただろ・・)


5年後、崎山、木村、飯田の3人は何事もなかったかのように連るんでいる。
崎山は飯田の腰巾着として、木村は飯田から紹介を受けた企業の顧問医として。
それぞれの思惑を絡ませ、連るんでいる。
一見すれば羨ましいほど仲の良い旧友同士だ。
まったくもって、理解不能な関係だ。
この3人を今、繋げているものは、きっと、おそらく、利害なのだろう。
いじめた側はいじめた事すら忘れているかもしれない。
だが、屈辱を受けた側は決して忘れてはいない。
次は崎山の番かもしれない・・・


繋がったままのボールを見つめていた。
「応」の文字が外れた。
見る見るうちに「応」の文字はぼやけ、カラーボール全体が濁った。

「あれっ?変なの。神様、ボール濁っちゃったよ」

「ははは・・・濁ったのではないぞ。不透明になっただけじゃ」

「不透明・色?そんな色あったんだ。神様??あらもういなくなっちゃった」

私は「応」の字の消えた不透明色のボールをひっそりと箱に収めた。









◆ 因果応報 Ⅲ~満月の願い~

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4つ繋がったボールの「応」と「報」は外れたが、まだ「因」と「果」がくっついたままだ。

なんだか漢字から見てもやっかいそうだなぁ。
あっ!アゲハ蝶・・
今日も天然巨大オーブンの中にいるような暑さだ。
大きな木の下で涼を取る私の前にヒラヒラ・・ユラユラ・・
まるで挨拶をしてくれているようだ。


薄暗い部屋の中で丸くなり布団を被っているその体は、時折、小刻みに震えている。
被った布団の中から、
手が出ては引っ込み、引っ込んではまた手が出る。
そして、その手が再び出る時には、丸めたティシュが飛んでくる。
こんな状態は、既に2週間も続いている。

楽しい時も、悲しい時も16年間共に歩んできた大切な家族、猫の「あか」が死んだのだ。

布団の中で、その大きな体を丸め脱力感とあかの骨壷を抱え、悲しみが引く「時」をジッと待ち、耐えている姿は見るに忍びないほどだ。

「そんに悲しまないで下さいませ。わたくしはここにおります」
あかは布団の傍に座り、飼い主の男に声をかけている。

男は布団から這い出し、ふらふらと立ち上がり台所へ向かった。
血の気のひいた青白い顔はまるで幽霊のようだ。
ゴクン、ゴクン・・・
よほどの水分を放出したのだろう、男はコップ3杯の水を腹に流し込んだ。
ひとしきり台所の椅子に腰を下ろし、茶トラにかぎ尻尾だった「あか」の写真を眺めていたが、再び、布団へ戻り、骨壷を抱え丸くなった。
水分を補給された体内は憔悴しきった男の体を眠りへと誘った。

「とら様、とら様、あかでございます。
わたくしは大切にされ、こんなに思われ、大変幸せものにございました。
ですから、どうか、どうか、そんなに悲しまないでくださいませ。
今宵は満月にございます。
とら様が、もしも、また、わたくしをお呼びくださるのでしたら、満月の今宵にムーンストーンを口に含ませ、わたくしが再び、とら様のお傍に参れますよう念じてくださいませ。
そうしていただければ、きっと、きっと、わたくしはとら様のお傍に参ります。」
ここで夢は終わった。

*満月と新月のまじない
新月の日にピンクの紙に願い事を書くと願いが叶うと言われている。(但し、書き方があるので注意!)
満月の夜に月の下でムーンストーンを口に含み願い事を言い、念じると叶うと言われている。(石を飲み込まないように注意!)
※いずれもボイドタイムには絶対に行わないこと!!


目が覚めたとらは、なぜか晴れやかな気分になっていた。
それは夢で「あか」が言ったとおり、今夜は満月だからだ。

早速、ムーンストーンを買いに外へ出た。

ムーンストーンを探し回っていると少々お腹が空いてきた。
それもそのはずだ。
「あか」が亡くなってからと言うもの、とらは2週間何も口にしていなかったのだ。
「あか」とよく行った猫カフェに立ち寄り、食事を取り、常連仲間と「あか」の思い出話をしているとらの顔には、やや赤みが差してきた。

「とら様、少しお元気になられましたね。あかはお役に立ち嬉しゅうございます。
そろそろ暗くなってまいりました。夜道は危なうございます、お供いたします」

くっきりと浮かんだ満月がとらの帰宅する足元を明るく照らしてくれていた。

「とら様を無事にお送りするまでがわたくしのお役目にございました。
では、ここで。
とら様、ありがとうございました」


「あか」の3回忌を迎えた年、茶トラにかぎ尻尾の痩せた仔猫が迷い込んできた。
「あか」が迷い込んできた時と同じ隙間から・・・

「おっ、あか・・待ってたよ」



張り付いて離れなかった「因」と「果」の白黒二色のボールが外れた。

「あれ?一つのボールが二色に別れてたんじゃなかったんだ。
繋がってたからそう見えたんだ。へぇー」

『因縁じゃよ。皆、意味があり巡ってくるのじゃよ。
善い行いは善いこととして返り、悪い行いをすれば悪いことが返って来る。
一死七生なんじゃ。
だから因果応報なんじゃよ。』

「一死七世?死んでもまた生まれ変わるってこと?」

『そうじゃ。だからそう悲しむこともないのじゃよ。
果たせなかった夢は次にまた生まれ変われるのじゃからな。
おぉ、おぉ・・蝶が飛んで来たな・・そうじゃな、もうそんな時期じゃな・・』

「お盆ってこと?蝶って亡くなった人の魂なの?あれっ、神様?・・どこ?・・」

「因」と「果」の文字は消え、ボールの中にはキラキラと色鮮やかな無数の細粒が輝いていた。
そして、その回りを蝶がふわふわと往ったり来たり・・・

『ほれ、落し物じゃぞ。一緒に入れておくんじゃろ。』
神様は、転がり、追うことをしなかった「報」の字のボールを木箱に入れた。




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