神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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◆ 因果応報 Ⅱ~不透明な関係(1)~

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「報」の字の外れた4つのカラーボールは、まだ3つ繋がったままだ。
まるで頑丈な瞬間接着剤で張り合わせたように強固に繋がっている。

「やんなっちゃうなぁーなんだこれ! このまま捨てちゃおうかな」

『ダメじゃ』

「????あれッ?神様。いつからここに?」

『そんなことはいい。さて、ボールはどうする?外せるか?』

「外れないよ~!神様でしょ、外してよ」

『ははは・・・神様も専門分野があってな。このくらいならわしにも・・どれ!』



世の中には、まったくもって理解不能な関係がある。
自分の尺度で計ることは出来ないが、この関係も、きっと・おそらく・ なのだろう。

木村はアパートや貸家も持っている、県内でも有名な老舗店の一人息子。
父親が大手商社に勤務するエリート商社マンの一人息子で大学生時代から頻繁にファッション雑誌の読者モデルに起用されるモテ男、車好きの崎山。
そしてもう一人、飯田は老人ホームも手がける大病院の長男、いわゆる後継者だ。

この3人の付き合いは中学校時代から数え、かれこれ40年近くにもなるだろうか。

木村は歯科医となり、歯科医院を開業している。
崎山は学生時代から好きだった車の仕事に就いた。
そして、飯田は医者となり、実家の病院と老人ホームを継いだ後もさらに拡大し、プライベートでは十数台の高級外車を所有するなど、一番の出世頭となった。

成長し、それぞれの道を歩んでいる現在も相変わらず仲の良い友人同士だ。

「なぁ、会社が休みの土日のどちらか1日でもいいから、雇っててくれないかなぁ、仕事くれよ~」
「奥さんに握られてて金なくってさぁ~。今日もおごってくれるよなぁ飯田理事長」
サラリーマンの崎山は、すっかり飯田の腰巾着となり、糸切り歯のすぐ脇にあるはずの小臼歯2本が連続して抜けたままになっている情けない笑顔でご機嫌を取っている。
一人娘のヴァイオリンの稽古にお金がかかる上、会社では肩叩き寸前らしい。

(ふっ・・金がない?そんなこと・・ その歯抜けの顔を見れば自分で言わなくても一目瞭然だよ。
『金ない・車ない・つまんない』はおまえか・・あっ、車はあるか。車屋か・・)

「崎山が、会う度に仕事くれって言うんだけど、あいつに与えるポジションがないんだよなぁ~」飯田が木村にこぼす。

(さすが、やり手の経営者。旧友にもシビアだ・・) 

「お前、崎山から車30台買ってやったんだろ!
それで崎山は売り上げ1位になって社内表彰まで受けてるのに何のお礼もないじゃないか。
もういい加減、崎山におごるのよせよ!利用されてるんだよ。俺たち同級生なんだぞ」
木村は飯田に友人としてもっともらしく忠告した。
またその一方で飯田の知人に会えば
「飯田のことは医師としては信用してないんだ。あいつはまともな診断が出来ないんだよ、オペ出来ないし」などと吹聴していた。

(妬みだな・木村・・・飯田はそもそも精神科医だ。オペなど必要ない。
 自分だってインプラントの手術、出来ないくせに。
 まぁ、中学時代から仲が良かったのは崎山と木村で、転校生の飯田は途中参加のオマケだったもんな。
ところが今では、崎山は街の歯科医院の木村よりも、出世した飯田に重きを置いて、見向きもしない。
 何かと理由をつけては飯田のご機嫌を伺い、2人で連るんでいるのだからな。
 そりゃあ、いつも中心にいたい崎山にとってみれば面白くないわな。)

おだてられ、利用されていることは飯田もわかっていた。
それでも、あの崎山が、恥も外聞もプライドも捨て、自分を頼ってくれることは嬉しかった。
仲間内の飲み会の席などでは、気の置けない仲の良い旧友として知人に紹介した。
だが、ビジネスや大きな額の金が動くときは別だ。

金無し、人脈無しの崎山に用はない。


株取引を趣味としていた木村に、飯田から、未公開株購入の話を持ち込まれた。
聞けば、とある医療機器を扱う会社が、新機器を発明し間もなく発表する、発表後には株価は相当高騰するから限定した人にしか声をかけていない、自分は開発者に名前が入っているから買うことが出来ない。200万で購入しても絶対に損はしない、必ず儲かる株だ。と言うものだった。

「本当に儲かるの?」

(あーあー、また木村のスケベ心が出たよ。)

「絶対だよ!お前だから教えてるんだよ。必ず儲かる、損はしない!信用しろ!!」

(飯田、やけに必死だな。木村、きな臭いぞ、この話・・乗らない方がいいぞ~、やめておけ~)

木村の家はかつては多数の不動産を所有し、県内でも有名な老舗の和菓子屋だったが、父親が心筋梗塞となり多額の借金を残したまま急死した。
そのため所有していた不動産の殆どを売却し、かろうじて残った店舗件自宅も未だ借金の担保に入ったままだ。
今の木村にとって趣味に投資する200万は大きい。
 しかし、常にブランド品に身を包み、高級外車を乗り回し、周囲には羽振りのよいことを言い、セレブと思われ・・・思わせている見栄っ張りの木村は、200万がキツイとは普段でも言いにくい。
その相手が飯田ではことさらだ。

(買うよ、買うよ、きっと買っちゃうよ。馬鹿だねぇー。断ればいいのに)

案の定、木村は飯田に薦められた未公開株を購入した。

(あー・・あ・・、買っちゃったぁ・・見栄っ張りだねぇ・・・直ぐに紙切れになるぞ。)

その年の9月15日、
世界中が激震した、負債総額、約64兆円という史上最大の倒産劇となった『リーマン・ショック』が起きた。
未公開株を購入してから僅か3ヵ月後のことだった。

-------次--回--へ-----------つ--------------づ--------------く-------------デス
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