神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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◆インターフェイス 3

Posted by 空耳ロバ on   2 comments   0 trackback

------------------ インターフェイス2 のつづき 3 ------- デス -----------------


仮釈放のない医療刑務所送致となった藤田君江に会う手立てを得るため、君江の担当弁護士から紹介状を受け取った私は、公判中、君江の精神鑑定を行い解離性障害と診断を下した精神科医佐々木尚美のクリニックを訪れた。

クリニックは駅から10分ほど歩いた閑静な住宅街の一角にあった。
ともすれば普通の一軒家かと通り過ぎてしまうほどクリニックの看板もないごく普通の家だ。
道に迷いながらたどり着いたのは約束時間の少し前だった。

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「ようこそ。井上由紀さんね、はじめまして。ここ、わかりづらかったでしょう?」

容貌はまさに日本人に見えるが、応対は外国人のような明るさとおおらかさを兼ね備えた少しオーバーなジェスチャーをする肝っ玉母さん風の精神科医佐々木尚美が門前で私の到着を笑顔で出迎えてくれた。

「すみません、少し道に迷ってしまって・・
こんなに寒い中、ずっと外で待っていてくださったんですか?」

「いえ、貴方が角を曲がったのが見えたからそれで出てきたのよ。
さあどうぞ、あがって。」

玄関を入り直ぐ右手のリビングに通された。
室内には応接セットの他に大き目のデスクが置かれただけのシンプルなものだった。

       013226_convert_20130106202256.jpg


「井上由紀さん、よく来てくれたわ、かけて。
改めて、私は佐々木尚美。尚美と呼んで。貴方のことは何て呼べばいいかしら?」

「あ・・はじめまして。えっと・・・じゃあ私も名前で。」

「オッケー!じゃあ由紀さん、まずは、コーヒー・紅茶・元気の出るハーブティ・ジュース・ミネラルウォーター、日本茶、何でもこの中から好きなものを選んで。おかわりは自由よ。ゆっくりしてね。」

「あ、はい。あの、今日、私はカウンセリングを受けに来たのではなくて・・」

「ええ、知ってるわ。藤田君江さんの件よね。
いつもカウンセラーはクライアントの話しだけを聴く、聞き役だけれど、今日はカウンセラーとクライアントとしてではなく、話しが出来るので気が楽だわ。
さぁ、何でも聞いて。
あっ・・でもカウンセラーには守秘義務があるから、裁判で明らかにしたことと、貴方の知っていること意外は話せなくってよ。それでもいい?」

「はい。」

「OK!じゃあ由紀さんが疑問に思っていることは?」

開口一番、私は藤田君江に会わせてほしいと言いたかったが、初対面で、しかも相手はベテラン精神科医のカウンセラーだ。
そんな相手に最初から難題を持ちかけたところで直ぐに良い返事をもらえるとは思えない。
こんなことを考えながら差障りのない質問から始めることにした。

「先ほどこの中から好きな飲み物を選ぶようにおっしゃって、私は今、お茶を
選んでいますが、これには何か心理学実験のようなものが含まれているのですか?」

突拍子もない私の質問に、ほんのわずか一瞬、顔を曇らせた尚美先生であったが、すぐに笑顔で答えた。

「あっはっはは・・そう来るとは思わなかったわぁ。私もまだまだね。
選ぶ飲み物に深い意味はないわ。
カウンセリングに見える人は、たいていは緊張して来るでしょう。
だからリラックスしてもらうために出しているだけで、何を選んだかは重要視していないのよ。
ああ、それと、ここでは敬語は使わなくていいわ。
じゃあ、今度は私から・・藤田君江さんになぜ、そんなに興味があるの?」

「私も時々、言われることありま・・あるから・・・
昨日〇〇にいたでしょ?とか、〇〇で見かけた。とか・・
私はそんな所には行ってないのに、いないのに・・・
でも、見たって・・
否定してもそれがいつの間にか本当の話しのように言われて・・
なんだか気味が悪い。
そしたら丁度この事件があって。
傍聴している間に、本当は君江ではなく、誰か別の人が犯人なんじゃないかって思うようになって・・
それに防犯カメラの映像も黒いコートの女というだけで、しかも後姿だけで、彼女を犯人だと断定するには厳しい証拠なのに、被害者らを恨んでいたと決め付けられて犯人にされてしまうなんて、私も一人暮らしだし、家にいればそれを証明してくれる人なんていない。
これがもし私だったらともうと他人事ではなくて。
それに、何故、国選弁護人なのかも疑問だし。」

実際、私は、君江の傷害事件に国選弁護人が付いたことにも疑問を抱いていた。
君江は50歳代前半で独身でずっと仕事を続けていたのだ。
弁護費用が用意できないはずはなく、事件の内容も国選弁護人がつくほどの凶悪事件ではない。
この程度の事件では私選の弁護人を付けるのが普通だ。
それなのに何故、国選弁護人がついたのか?
だから刑も3年の長期になってしまったのではないか?
そう思わずにはいられなかった。

ひとしきりの沈黙が続いた後、尚美先生は感慨深げに一言「・・・そう・・・」
とだけ言い、再び沈黙が部屋の空気を包んだ。

沈黙が少し苦痛になってきた私は何か話題を変えないと・・と言葉を捜していた。

すぅ~・・・・

一筋の冷たい風が重たい空気を動かした。

「あら?」

猫がまとわり付いてきた。
どうやら少し隙間の開いていたビングのドアを開けて入ってきたようだ。

私の足に頭や体をこすり付けて甘える猫の様子を、少し驚いたように見ながら尚美先生が言った。

「・・???珍しい、普段はこんなことしないのに・・」

「あっ・・きっと、これです。」
私はバッグの中から猫の大好物“またたびパウダー”を取り出して見せた。
買ってきたばかりの未開封のパウダーだが、やはり猫だ。
嗅覚がすぐれているのだろう。

「またたびパウダー?まだ開いてないのに猫にはわかるのかしら?
由紀さん、猫、飼っていらっしゃるの?」

「ええ。でもこれはここの猫ちゃんにお土産です。」

「?ジュディが・・猫がいることご存知だったの?」
尚美先生はまたしても驚いた様子で尋ねた。

「ジュディちゃんって言うんですね。
いえ、でも、予約の電話を入れさせていただいた時に猫の鳴き声が聞こえたので、きっといるんだろうと・・で、いたら差し上げようと思って買ってきたんです。
はい、ジュディちゃん、いい匂いでしょう・・」

《グルグル・・ゴロゴロゴロ・・》

「あらあら、嬉しくて雷さんねぇ・・」

「ジュディは誰にもなつかないのに・・・
この子はね、飼い主さんが病気で飼えなくなって、たらい回しにされた挙句、いよいよ引き取り手がなくなって。
それでここへ回ってきたの。
私はアレルギーがあってずっと一緒にはいられないから、一時預かりで里親さん待ちなのよ。
何人か手を上げてくれた里親さんもいたんだけど、引掻いたり噛付いたり、この子がダメでね少し凶暴で・・
来週まで預かって、見つからなければ保護センターが引き取ることになってはいるけど・・・どうなるか。可哀想だけどね・・・」

「ああ、アレルギー・・それで時々くしゃみを・・・
ジュディ、いい子でいないと優しいパパさんやママさんのところに行かれないよ。」

《ンー・・・クゥナーン・・》

「あら、鳴いた。この子が鳴くなんてますます珍しいわ。
・・・へぇ~」
尚美先生は私とジュディを交互に見ながら“珍しいわ、へぇ~”と感心しきりに繰り返した。

「えっと・・ところで、なんだったかしら?
あそうそう、君江さんよね。
自分を犯人じゃないと信じている人がいてくれるって言うだけで彼女も喜ぶと思うけど、ん~・・・
会わせてあげるだけの要件が揃っていないわねぇ。
ただ彼女に興味がある、話を聴きたいって言うだけじゃ、彼女も興味本位だと受け取って気を悪くするだろうし。
なにしろ彼女はとってもセンシティブだから・・・
この前も彼女に興味を持った人が訪ねてきたけれど、」

「えっ?そうなんですか?その方は?君江さんと似てましたか?」

「ああ、全然。似ているも何も男性よ。大方、週刊誌か何かの記者じゃないかしらね。
もっとも、彼は彼女に会うことが目的ではなく、病気のことやら、本当に興味本位だったから・・・
そう言えば、由紀さんは彼女の病気について尋ねないけど、病気のことご存知よね?」

「はい。
解離性障害、身体醜形障害、不安障害、摂食障害などのご病気だと。
私の知人にもいました。
ものすごく綺麗好きで、朝から晩まで掃除と洗濯ばかりして、外はバイキンだらけだからとお風呂に入った後は、どんなことがあっても外出しない、158cm38㎏とすごく細いのに、ちょっとでも太ることが嫌で脂肪溶解注射を受けに行って美容整形外科医に断わられた人、これって病気でしょ?
他にもいました。
自分が女王様でないと気が済まず、気に入った男性が仕事上で他の女性を少しでも褒めれば異常なほどの嫉妬をして、物を投げたり大騒ぎをしていた人、これも病気ですよね。
私は病気のことではなく、彼女自身に興味があるんです。
何かこう、ひきつけられるものがあるというか・・・」

「由紀さんの気持ちはよくわかったわ。
いずれにしても、用件が揃わないと医療刑務所に入っている彼女に会わせてあげるのは難しいわねぇ。
ご覧のとおり、クリニックは私一人でアシスタントもいないわ。
今更、アシスタントだと言って面会に連れて行ってあげることも出来ないし・・
何かないかしら・・・
いいわ、2週間後の面会の時に、由紀さんのことは話しておくわ。
それで由紀さんを面会登録してもらえるかどうか彼女に決めてもらいましょ。
ごめんなさい直ぐにお役に立てなくて・・・」

「いえ、とんでもありません。よろしくお願いいたします。
またご連絡させていただいてもいいですか?」

「ええ、由紀さんのような人ならいつでも大歓迎よ。」

尚美先生に会えたからといって直ぐに君江と面会できるとは思っていなかった私は、それ程ガッカリともせず、寧ろ、一歩前進したような、クリニックを訪ねる前よりも晴れやかな気分になっていた。

「今日はお時間を割いていただき、ありがとうございました。」
玄関先で挨拶を交わす私の下へ、今しがた窓辺で外を眺めていたジュディが飛んできた。

《ニャー・・・ニャー》

「あらあら、ジュディはすっかり由紀さんがお気に入りになってしまったようね。」

「ジュディ、ごめんね、もう帰るのよ。またね・・」

また・・と安易に言ってしまったが、凶暴なジュディに“また”なんてあるのだろうか。
来週一杯までに相性の良い里親が見つからなければその後はどうなってしまうのだろうか・・・

先生のクリニックを訪れてから一週間が過ぎた。
ジュディの一時預かりは明日までだ。
ただひたすら飼い主を待っているかのように窓の外をじっと眺めているジュディの後姿が目に焼き付いていた。

          007665_convert_20130106204459.jpg

里親は見つかっただろうか・・・
私は尚美先生に連絡を入れた。

「先日はありがとうございました。

いえ、今日は君江さんのことではなく、ジュディのことで・・・

ええ・・・

それでジュディは・・・」




---------------------------- 今夜もまた つ づ く --------------------------

やはり長くなりそうです。
読むのに飽きたら右リンク うさぎの水晶玉でもクリックしてみてください。
そして、長々と、どこへ行くかもわからないこのくだらない話し・・
な・の・に!
今夜も図々しくてすみません、、、、、
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明日から1週間、皆々様、どちら様も元気に明るく過ごしましょう。
平穏無事な一週間になりますように・・・
もう少し暖かくなりますように・・
東京地方、夕方午後5時位から庭の地面がシャリシャリ霜柱予備軍が朝の極寒準備中。
キンキンに冷えてます。
皆様、路面凍結には十分注意なさってくださいまし!

また明日・・・・

Comment

アビmama says..."明けましておめでとうございます!"
空耳ロバさん 明けましておめでとうございます
御挨拶が遅くなってしまってごめんなさいね~

空耳ロバさん家のみんなが幸せな毎日でありますように・・・
今年も宜しくお願い致しますv^^
2013.01.07 21:27 | URL | #0ej1hy.w [edit]
空耳ロバ says..."Re: アビmama さま"
アビmama さま、あけましておめでとうございます
             ↑
      なんて、私も今頃、、、、、

アビィちゃん、ご家族様が今年一年皆元気で楽しく過ごせますように・・
きゃー!!!
大変!!!
今年も既に残り360日を切ってまった・・・
今年もよろしくお願いいたします。

2013.01.08 22:12 | URL | #- [edit]

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