神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

スポンサーサイト

Posted by 空耳ロバ on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

◆インターフェイス4

Posted by 空耳ロバ on   1 comments   0 trackback

--------------------------- インターフェイス3のつづき 4 -------- デス---------

里親になることを決めた私はジュディを迎えに、精神科医でカウンセラーの佐々木尚美のクリニックを再び訪れた。

「ハァイ!由紀さん、待ってたわ。入って。
ふふっ、ほぉらジュディもお待ちかねだったようだわ。
ジュディはね人間の言葉がわかるらしいの。
由紀さんから電話を貰った時から迎えに来てくれるのがわかっていたみたいで、今日は朝からソワソワ落ち着かなくて。」

玄関に入ると待ってましたとばかりにジュディは私の足に擦り寄ってきた。
咽喉を鳴らしながら歩く足の間を行ったり来たりしながら歓迎してくれた。

「こんにちは。ジュディ、迎えに来たわよ、今日からよろしくね。
貴方の他にもう一人いるけど、女の子同士仲良くしてね。」

「あら、ジュディは男の子よ。」

「え?男の子でしたか・・名前からてっきり女の子かと。」

「ああ、そうよね。名前だけ聞くと女の子み・・・
あっ・・座って待ってて。」

「先生、どうされたんですか?」

尚美先生は不意に何かを思い立ったようにその場を離れた。
ジュディを話し相手に10分ほど経った頃、顔色の優れない様子で戻ってきた先生は、他に約束があったことを忘れていたのでこれから急遽出かけなければならないと私に告げた。
「ごめんなさい、いやあねぇ、最近どうも物忘れが激しくって・・
由紀さんのことは間違いなく、来週の面会の時に君江さんには話しておくから。本当にゴメンナサイ。」

「いえ、今日はジュディをお迎えに伺っただけですから、直ぐに失礼しようと思っていましたから、そんなにお気になさらないでください。ではまた。」

「ええ、今度、ゆっくり。由紀さんとは今後もお付き合いさせていただきたいわ。」


ジュディを我が家の子に迎え、当初心配していた先住のメメとの相性も良く、飼い主の心配は単なる取り越し苦労だったかと安心し3日が過ぎた。

リリリーン♪リリリーン♪
電話が鳴った。


「由紀さん、喜んで!
君江さんが貴方に是非、会いたいって言っているの。明後日の面会、一緒にどうかしら?ご予定は?」
電話の向こうで尚美先生の弾んだ声が響いている。

「え?もう?いいんですか?先生が面会して話をしてからじゃ?」

「実はね、君江さんに興味を持っている由紀さんだから言わなかったんだけど・・・」

先生の話しによれば、病気になったジュディの飼い主とは藤田君江のことであった。
ジュディは自分で飼い主を選ぶとても気位の高い気難しい猫であり、それを知っている君江はジュディが選んだ里親に是非、会いたいと言ってきたというのであった。
私は二つ返事で了承し、明後日の君江との面会の日を待った。


面会の日、君江と会うことをジュディに報告し先生との待ち合わせをした医療刑務所正門前に向かった。
それほど高くはない塀に囲まれた医療刑務所周辺には、少し離れたところにマンションや学校も立ち並び、ドラマで見るような刑務所の周辺とはやはり趣が違う。
正門から見る限りは、大きな国立病院か大学のキャンバスのようにも見える。

「ふふふ・・・由紀さん、早かったのね。」
正門に顔をつけて中の様子を窺う私の背後から尚美先生が笑いながら声をかけた。

「あっ、こんにちは。今日はありがとうございます。」

「とんでもない、こちらこそ。
里親さんに会いたがっている君江にわざわざ時間作っていただいて。
それでね、面会前に約束して欲しいことがあるの。
一つ目は、由紀さんが君江さんに興味を持っていて会いたがっていたと言うことは内緒。二つ目は、病気の話しなど、とにかく事件に関することには君江さんから切り出すまでは一切触れないでね。そして三つ目は・・・・・」

「わかりました。約束します。」

私は先生と3つの約束をし、君江と初めて直接会話の出来る機会に、緊張と期待感を持ち、医療刑務所の門をくぐった。

医療刑務所内には、受刑者の治療の一環として取り入れているのであろう、園芸のためのビニールハウスが設けられ、花壇には手入れの行き届いた草花も綺麗に植えられ、その他にも陶芸の釜などの設備も施され、職業訓練も行われているようだった。

看守の案内で面談室に入ると既に君江は別の看守と共に私達の到着を待っていた。
折れてしまいそうなほど細い君江の身体は法廷で見るよりもはるかに小さく見えた。
挨拶を交わした後、看守は面談室から出て行った。

「こんにちは、君江さん、調子はどう?ここでの暮らしで何か困っっていることはない?この方は・・」

“この方は”と私を紹介する先生の言葉をさえぎり、君江は座っていた椅子から立ち上がり私の方を向くと、一気に話し始めた。
『はじめまして。藤田君江です。この度はジュディの里親になっていただきありがとうございました。あの子は人間の言葉も状況も理解できるとでも頭の良い子です、それだけに不憫でなりませんでした。貴方のような方が里親になってくださって私もジュディもとても喜んでいます。一つ、お願いがあります。
ジュディが望んでいるのは私と共に暮らすことであって、里親と一生暮らすことではないので、私がここを出たらジュディを私に返していただくわけにはいかないでしょうか?どうかよろしくお願いします。』

君江は息継ぎもせずここまで言うと頭をペコリと下げ、再び椅子に腰を下ろし正面を向いた。

丁寧な言葉遣いではあるが強弱のトーンを付けず表情一つ変えることなく、同じ口調で早口に話す君江に、やや、戸惑いと威圧感を覚えながらも、私は頭の中で適当な答えを探していた。

「それは・・・
君江さんが退院した時にジュディに決めてもらうということでいかがでしょうか?」

「ああ、そうね、それはいい案だわ。
ねぇ君江さん、 それとも君江さんが何か他に案があれば・・どう?」

直ぐに良い返事をしなかった私に見せた君江の硬い表情を見逃さなかった尚美先生が、場を取り繕うために言った言葉であったが、私には先生が君江のご機嫌を取っているように見えてならなかった。

少し重たい空気が狭い面談室に漂い始めた。

「今日は天気がいいので、窓を少し開けましょうか?」

私は面談室の窓を開けようと窓際まで行くと、此方をじっと見つめている「眼」が窓ガラスに映った。

         029689_convert_20130108201037.jpg

  ???そんな馬鹿な・・・

再びガラスを見ると何も映ってはいない。

             023268_convert_20130108200724.jpg

どうやらこのところの寝不足がたたっているようだ。

私は、少しではなく、窓の開く最大のところまで開放した。

              2_convert_20130108203323.jpg

爽やかな空気が室内の隅々まで流れ込んできた。

君江が微笑んだ。

「気持ちいいわねぇ。ねぇ君江さん、少し外を散歩しましょうか?気持ちいいわよ。」

所内の散歩の時間も外へ出ようとはせず、何にも興味を示さず、投薬治療にも特段の効果が現れない君江の効果的な治療方法の糸口を探しだそうとした先生が君江を散歩に誘ったのだった。

『先生、私最近、少し太ったみたいなの・・・』

「そう?私にはそうは見えないけど。
君江さんが気になるのなら、それは運動不足のせいかもしれないわ。
少し散歩でもしたらきっと、すぐにまた痩せるわよ。」

『肌も荒れてきてしまって・・・散歩で他の人が私を見たらどう思うかしら?
年齢よりも更けて見られてしまうんじゃないかしら・・外へ出るならお化粧がしたいわ。』

「大丈夫よ。貴方の年齢は誰も知らないわ。
それに貴方は今のままで十分に綺麗よ。」

(嘘をつけ!
そんなこと思ってもいないくせに、口から出まかせ言いやがって!)

・・・・・・・?????・・・・・・・・

「さっ、行きましょ・・気分転換にもなるわ。」

(やだね!私は外なんて行きたくないんだ。早く失せろ!善人面しやがって!)

・・・?????・・・

確かに聞こえた。
私は開いている窓の外を振り返って見た。
誰もいない。
先生には今の声が聞こえていないようだ。
だが、今、確かに聞こえた。
誰だ?

君江と眼が合った。
君江は黙って私に微笑んだ。

「あ、あの・・今日、此方に伺う前に撮ったジュディの写真があるんですが、ご覧になりますか?」
動揺を悟られまいと、とっさにジュディの写真を取り出し、君江に見せた。

『あ~ジュディ・・・安心して寝ているのね、よかった。』

「ええ、すみません、ジュディちゃん、動きが早くて寝ているところしか写真撮れなくて。」

『そう・・まあ、ジュディはメメちゃんと遊ぶのが楽しくて仕方ないのね。』

????
私は君江に、まだ他に猫のいることを知らせていない。
そしてその猫がメメちゃんという名だということは尚美先生すら知らないはずだ。

薄気味が悪く、一刻も早くこの場から去りたい気持ちになった私は先生に言った。

「あ・・あの、よければ写真、差し上げます。
すみません、先生、ジュディもまだ慣れない私の部屋で待っているのは心細いでしょうし、今日はこの辺りで失礼して後日またということではいかがでしょうか?」

「そうお?君江さん、何か欲しいものや必要なものはある?」

『いえ、ジュディの写真をいただけたことで十分です。』

「金色の・・」

「?えっ?金色のって?なに?由紀さん・・」

「へっ?・・あっ、いえ、何でもありません。」やだぁ・・私ったら・・・

『由紀さん、またいらしていただけますか?』

「ええ、もちろんです。」

『よかったぁ・・嫌われたかと思いました。』

「いえ、そんな・・また、必ず。」


私は今まで自分でもよくわからなかった「藤田君江」という人物に強く引かれた理由がようやく判った。
それは私が長い間封印し続けていた“あるもの”だった。
そして、今日、藤田君江と会い、話をしたことで彼女の閉ざしていた窓をも開いてしまったのだ。

先生は何かを感じたのかもしれない。
いや、もしかすると、まったく別のことを考えていただけなのかもしれない。
だが、
医療刑務所を出てから先生と私は無言で歩いた。

徒歩10分程度の駅までの道程がやけに長く感じた。


-------------------------- 今回もまた つづく ---------------デス---------------


やだやだ、まとまらず更新遅くなってしまいました。
それでもまだづづく・・です。すみません。
その上、お手数までおかけいたしますが、下記にWポチいただけると
また頑張ります。よろしくおねがいいたします。
いつもお付き合いありがとうございます。
    ↓       ↓

人気ブログランキングへ

今日は少し暖かく感じた東京地方、皆様の地域はいかがでしたでしょうか?
この暖かさも今日1日。
明日からまた寒くなりそうです。
体調など崩されませんよう、是非、暖かく、そして加湿をしておやすみください。
明日もよい日でありますように・・
何事もありませんように・・よいことだけがありますように・・

ではまた~ぁ

Comment

アリー says..."続きが気になります"
空耳ロバさん、こんにちは。

続きがとっても気になります。

あ、急かしている訳じゃないですよ(^^;)

登場人物が全員、美人に思えるのは私だけでしょうか?

F嬢(読んでいない方に悪いので、この表記にしますね)の心の闇が楽しみです。
今日もぽちっとな。
2013.01.09 18:12 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://soramimiroba.blog.fc2.com/tb.php/117-a9fc4f4b
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。