神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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◆インターフェイス5

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--------------------------- インターフェイス4のつづき 5 -------- デス---------



君江との面会を果たしたことで、私はなぜ、見ず知らずの君江にこんなにも惹かれたのか、
その理由が判った。
それは、君江も私と同様におそらくこれまで封印していたであろう三つの窓を持っていたからだ。
きっと、以前、何処かで会ったような気がしたのもそのせいなのだろうと、まだその時は思っていたのだった。

君江と直接会い、話をしたことで私は封印を自ら解いてしまった。 
そして閉じていた君江が持つ三つの窓の一つを何の気なにし開けてしまった。

君江の三つの窓のうち一つが開いた。

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君江との面会を終えた帰り道、犯人はやはり君江ではないとある種確信めいたものを感じていた。
と同時に、気がかりな点もまた増えていた。

まずは尚美先生だ。
ジュディを迎えに行った時、尚美先生は「あっ・・」と、何か思い立ったように部屋から出て行ったかと思うと戻ってきた時には顔色も優れず、“約束を思い出したので直ぐに外出する”と言った。
そのため私は、あの日、ジュディの健康状態を聞くために尚美先生が時々ジュディを預けているという、先生の家のはす向かいにある動物病院に立ち寄るつもりでいることを伝える間もなく、早々に切り上げたのだが、
動物病院のガラス越しに見える、先生宅の玄関から先生が外出した様子は見られなかった。
そして、今日・・・
君江との面会を終えた帰り道、先生はずっと無言で何か考え事をしているようだった。
面会中もどこか君江のご機嫌を伺っているように写った。
初めて会った時の、堂々とハツラツとした明るい尚美先生とは明らかに違った。
お・か・し・い・・・・

君江はどうだろうか・・尚美先生を信頼しているのであろうか?
違う・・
“失せろ!善人面しやがって”確かに聞こえたあの声は君江の心の声だ。
君江は尚美先生のことを信頼などしていない。
善人面しやがってとはどういう意味で言ったのだろう。
先生から必要な物欲しい物はと聞かれ、君江の心が答え、私が言いかけてやめた
“金色の・・・・“・・・パンプス
金色のパンプスなど医療刑務所にいる君江が履いて歩くことなど出来ようはずもなく、必要な物であるはずはない。
金色のパンプスとは何を指すのだろう。
真犯人の手がかりか?

そもそも、君江に度重なるパワーハラスメントを繰り返した横暴で説教好きなパワハラ上司の高木は身長180cm体重100kgの巨漢だ。
たとえ気を抜いて歩いていたとしても、華奢な君江が簡単に突き飛ばせる相手ではない。
突き飛ばせば弾みで逆に跳ね返されてしまうほどの相手だ。
君江が犯人というには無理がある。

では陰口を言っていた同僚の宇山はどうだ?
ヒステリーで精神不安定な宇山は太めではあるが女性だから突き飛ばす程度のことはか細い君江にも可能だろう。
だが君江は、外見こそは華奢でか弱く見えるものの、実際は感情の起伏が激しい自信家だ。
そしてその顔は、決して人前では見せず押し殺す術も身につけている、1本筋の通った芯のしっかりとした面を持つ利口な女性だ。
どちらかと言えば、格上の自分が自分よりも格下のこのような類の人間を相手にするのは時間の無駄と思う自尊心の強いタイプだ。
それに彼女は相手を念じ失脚させるぐらいのことは簡単に出来るほど類稀な“念通力”という武器を持ち合わせている。
突き飛ばすなどの労力を使う前に念を使うだろう・・
だが、これは証明できない。

ああ、もどかしい・・

私の心は今会って来たばかりの君江に直ぐにでも会い話を聴きたいという思いにかられていた。

何か手がかりになるものはないのだろうか・・・


カチャ・カチャン、カチャ・カチャン

考えあぐねる私の前をそんな事はお構いなしと言った様子で、快速急行の通過待ちをする停車中の電車の中、手際よく中吊り広告を交換する音が響いた。

音のする方向を何気なく見ると交換されたばかりの中吊り広告が目に入った。
女性誌の広告だ。
誰と誰がくっついたの離れたのだのと、私にとってはどうでもいい事だ。
くだらない・・などと思いながらも見出しを目で追っていると、ある記事に目が留まった。

「正しい歩き方・・ああ、この先生、ついこの間テレビに出ていたっけ。
黒のレギンスにパンプ・・・ス・・あっ!!!もしかしたら・・そうか!!」

頭の中で一つの推測が閃いた。

ゴットン・・・
「次は城南台、城南台へ停車いたします。どなた様も・・」


私は急いで自宅へ帰り玄関ドアの鍵を開けていると、電話のベルが鳴っているのが聞こえた。
「ただいま、メメちゃん、ジュディ!」
ジュディは鳴っている電話に向かい、ウーとうなり、威嚇をしている。
「大丈夫よジュディ、電話が鳴っているのよ。」
ウー・・・

「はい、もしもし・・」

電話は医療刑務所から駅までの道程をただ無言で歩き、改札で「じゃ、また」と言って別れたばかりの尚美先生からだった。

「今日はごめんなさいね、帰り道、考え事していたものだから。
それでね、早速なんだけど、君江さんと会ってどうだった?
彼女がまだ犯人じゃないと思っている?」

「ええ、思っ・・」
(答えるな!答えてはダメだ!)あの声がした。君江の心の声だ。

「ええ、そう思っていたのですが、少し判らなくなりました。
もしかすると君江さんは嘘を言っているのかもしれません。それと・・」
君江は解離性障害などと言う病気ではないと言いかけて、やめた。

精神科医の尚美先生にとって、君江が犯人かどうかは重要な事ではないはずだ。
今別れたばかりの先生がわざわざ連絡をよこし、尋ねるほどのことではない。
ますますおかしい・・・

ある人物に連絡を取りたかったため〝キャッチが入った〟と言って急いで電話を切ろうとした私に先生は、
今回の面会で私が同行できたのは、治療方針が定まらず、かといって、刑務所送致は難しい君江の治療の一環として特別に優遇されたものであったため、これからは治療を最優先に考え、君江とは会わないで欲しいと言った。

君江は私を面会登録した。
私が希望を出せばいつでも面会できる立場になった。
それなのに会うなとはどういうことだ?

君江との面会前に先生が私に出した約束は3つだ。
2つは守った。
残りの一つはまだ手を付けていない。

ますますおかしい・・何かある・・・

会うなと言った尚美先生の言葉は、仮説でしかすぎなかった私の憶測を真実へと近づける後押しとなった。
この隠された真実を証明するには協力者が必要だった。
私は早速、学生時代の友人で弁護士の近藤に連絡を入れた。

「おお、由紀、元気だった?」

何不自由なく育った近藤は、学生時代からその裕福な暮らしぶりは板についていた。
弁護士となった後も、未だにキャバクラ通いに専念し、弁護士らしい仕事はあまりしていない。
彼の場合は、仕事が来ないというよりは、仕事を選んでいると言った方が正しい。
どんなに金を積んだところで、やりたい仕事でなければ決して受けない。
逆にやりたい仕事であれば利益などまったく考えずに受任する。
金に困っていない近藤ならではのやり方だ。
もっとも、金持ちにはいささか扱いづらい弁護士だが、私のようにお金のない人間からすればありがたく、頼りになる弁護士だ。

「コンちゃん、久しぶり。実はね、お金はないんだけれど頼みたいことがあって電話したの。」

「あははは・・金なんかいいよ、で、どんなこと?」


私はこれまでの君江の事件の全容を話し、君江が類稀な霊力の持ち主であると言うことも伝えた。
その上で君江と面会後に私の立てたある仮説について話をした。

「結論から言えば、犯人は男ね。」

「男?」

「ええ。それも女装が趣味の男よ。」

「あはははは・・女装が趣味の男かぁ・・それはいいや!
その仮説、面白い!聞かせて。理由は?」

コンちゃんは私の立てた仮説に興味を示してくれた。
気をよくした私は、今のところ推測でしかない仮説の根拠について事細かく説明をした。


それは、思い込み・・・思い込みは時に大きな間違いを引き起こす。
警察、検察、目撃情報、これら全ての思い込みによる誤認逮捕が真犯人を逃す結果となったのだ。
例えば、
君江の担当弁護士に紹介され尚美先生に初めて会いに行った時、尚美先生は私が君江に会いたがっていると言う情報を事前に知っていた。
はなから君江に関する質問だけと予想し、会わせてほしいと頼み込まれるであろうと思い込んでいた尚美先生は、私が最初にした「選んだ飲み物になにか心理学実験のようなものが含まれているのか」という質問に驚いた。
そして猫のジュディ・・
私はジュディという名を聞き、てっきり女の子だと思い込み、男の子だという考えは頭の片隅にも無かった。
ジュディを迎えに行った日、私は初めて男の子だと聞き、自分の思い込みに気付いた。
その時に尚美先生もまた“思い込み”という盲点に気付いたのだ。
なのに、それを黙っている。
理由までは判らない。だが、隠していることは事実だ。

この事件は主に目撃情報と防犯カメラの映像が君江逮捕の決め手となった。
しかし、この目撃情報も防犯カメラの映像も君江を犯人と断定する証拠とするにはかなり厳しいものだ。
いずれも後ろ姿だけなのだ。
君江はロングヘアーだ。
だが、ロングヘアーの女性がコートを着ると、髪の毛は当然コートの中に隠れる。
たいていはそのコートの中に入った髪の毛を両掌で首筋から外へ出すが、出さずにそのままコートの襟を立てる時もある。
コートの中に髪の毛が納まったまま襟を立てていれば後姿だけでは女性なのか男性なのか判らないことだってある。
なぜ、後姿だけで女性だと判断したのか・・
それはパンプスを履いていた。
金色のパンプスだ。
その足下で女性だと判断したに過ぎず、ヒステリーの宇山はともかく、巨漢のパワハラ上司の高木に怪我を負わせるほどの強い力で突き飛ばすには男性の力でなければ無理だ。
だから犯人は女装が趣味の金色のパンプスを履いた男。

こんな具合で私は女装趣味の男性犯人説を近藤に話して聞かせ、君江の再審請求に力を貸して欲しいと頼んだ。


「それでね、ごめん・・頼んでおきながら申し訳ないんだけれど、まとまった着手金も用意できないの。
それでも引き受けてくれるの?」

「当ったり前じゃないか~!
こんなに面白い事件みすみす他には渡せないよ。
再審請求で無罪判決になれば僕の名前もあがるってもんだ。
この事件、やってみる価値はあるさ。」

ある意味、変わり者の弁護士近藤は「面白い」と言って、金にならない私の依頼を引き受けてくれることになった。


やっと明るい兆しが見えてきた頃、君江の三つの窓のうち、二つ目の窓を開ける日が近づいていた。


------------------------- そして今日もまた つづく -----------------------

UP2日開けてしまったので、今日は少し長めです。
・・なんて、本当は切りいいところが見つからなかっただけでやんす。
お忙しいお時間、長々と申し訳ありませんでした。
でもまだ続きます。
ついで・・と申しましては何なんでございますが、下記にWポチ頂けると嬉しいです。
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三連休、2日間は暖かいそうです。
皆様、素敵な連休をお過ごしください。
私は・・布団でも干してこの小説もどきの続きでも書いて過ごします^^
明日もUPは20時以降になるかと・・・・・

後ほど、ご訪問伺わせていただきまーす。

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