神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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◆インターフェイス7

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----------- インターフェイス6 のつづき 7 ------間開けてしまいすみませんでした


君江の2つ目の窓を閉め忘れたことなど頭の片隅にもなかった私は直ぐに友人の弁護士近藤に連絡を入れた。

「君江さん、再審請求の意思だから、次回面会の時に一緒に行こう。」

「ああ、それはよかった。
今ちょうど、裁判資料に目を通していたところなんだ。これから会える?」

「大丈夫よ。
・ ・・・・・・・・
ええ、じゃ15時に事務所で。」


前回の面会の時もそうだったが、君江と会った後は、何故か非常に疲れるのだ。生気を吸い取られているような不思議な感覚と上から押さえつけられている様な感覚が相俟って身体中が倦怠感に襲われる。

医療刑務所のある駅から近藤の事務所まではJRを使えばそれほどの時間はかからないが、私鉄で行けば始発駅だ。
少し時間はかかるが、乗り換えをする駅は終点だ。
座って昼寝が出来る。
私鉄を使おう・・・

地下に入る私鉄の駅へ向かうと駅構内には既に発車時刻待ちの電車が停車していた。
昼間という時間帯のせいだろう、人もまばらな車内は思ったとおり好きな場所に座れた。

発車を知らせる音楽がホームに流れ、地下構内をゆっくりと動き出した。

走る電車の中、私は今回の面会でも聞き逃した金色のパンプスと「私じゃない。」と言った時の君江の瞳に映った青い炎、君江の精神的障害について考えていた。

金色のパンプスは真犯人につながる手がかりなのか?

君江自身もきっと気付かない無意識のうちに映し出しているのだろう、瞳の奥の青い炎は何を意味しているのだ?

君江は解離性障害と診断を受け、その他にも摂食障害、不安障害、虚偽性障害、妄想性パーソナリティ障害などの病気があることも承知していた。
しかし、身体醜形障害については聞かされていないようだった。
きっと、現在の君江にとって一番重い病は、触れられたくない部分であり、病名を告げれば間違いなく逆上するためなのだろう、尚美先生も君江本人には言わず、私もあえて口にすることはなかった身体醜形障害なのであろう。
瞳の青い炎と関連があるのだろうか・・・

ペランと紙のように薄く折れそうなほど細い君江だが、太ることを気にしている。
所内の散歩すら人目を気にし、化粧がしたいと言い外へ出ることを拒んでいた。
医療刑務所とは言え、刑務所であることに変わりはない。
受刑者の君江が化粧などできるはずもないのだ。
おそらく化粧をしないで外へ出ることは彼女の中では罪悪なのだろう。
ならば、ジャージ姿にスッピンで近所を歩く私など罪悪の塊どころか極悪人だ。
やはり君江は少しおかしいのか?
それとも私がおかしいのか?

車内の窓からは迷惑なほど眩しく陽射しが注ぎ込み、外の風景を直視することができないほどだ。
向かいの席に移動するのも面倒だ。
私はその強い陽射しを避けるように目を閉じた。
強い日差しは目を閉じる瞼にも明るさを通している。
やはり移動しようか・・・
と、その時、明るさを通していた瞼が暗さを捉えた。
きっと建物に遮られたのだろう。
うっすらと閉じていた眼を開けた。

「あっ・・・」
     
目を開いた正面の窓ガラスに、初めて君江の窓を開けた時と同じ“眼”が映っている。

(君江さん?)

ここは私鉄の車内だ。
わかってはいたが、自分の座っている席の背後を振り返った。
当然、誰もいようはずはない。車窓には振り返った自分の顔が写るのみだ。
再び正面を向いた。
正面のガラスに写った“眼”はまだ私を見ている。

私もその眼を凝視した。
?・・・???・・・
     329_convert_20130106202507.jpg

瞳の奥にはあの時の青色の炎ではなく、赤い炎が燃えている。

「あーダメだダメだ!これ以上はダメだ!切り替えなくては。」
そうなのだ。
私の興味は君江ではない。
君江の被った冤罪に興味があるのであり、君江の人格や病気に興味があるわけではない。
これ以上君江に呑まれてはダメだ。
尚美先生は私と君江が面会できるようになるまでの役目だったと君江は言った。
ダメだ、これ以上君江のペースにはまってはダ メ ・・あっ!・・・


私は何かすっきりとしない、誰かに見られているような重たい気分のまま近藤の事務所を訪ねた。

「こんにちは・・あっ、失礼しま・・あ れ?・・・あれ?・・・
・ ・・・・あの・・・コ・ン・ちゃん?」

「あれぇー?わかった?」

事務所のドアを開けると、ベージュのコートの襟を立て、こげ茶色のパンツに赤いパンプスを履いた男性?がドアを背にして立っていた。
私は先客の打ち合わせがまだ終わっていないのかと一瞬、入出を躊躇したが、よく見ると後ろ姿ではあるものの、近藤が女装をしていることにすぐに気付いた。

「どうしたのよ、その格好。 コンちゃん男色だけじゃなく女装趣味もあったの?」

「うふっ♪やあねぇ・・由紀ったら。趣味じゃなくってよ♪
お・し・ご・と! 後ろ姿で女に見えたぁ?」

「ああ・・実験してたの。一瞬ね。でもコンちゃんだって直ぐにわかったわよ。」

「なんだよ~がっかりだなぁ・・」

「最初は、まず頭部に眼が行き、その後は足下。
パンツだから女性なのか男性なのかは、やっぱり足下の靴で判断するわ。
パンプスで女性かなとは思うけど、私はコンちゃんのことよく知ってるから、よくよく見ればコンちゃんだとわかるわ。」

「ん~・・そうかぁ・・じゃあこのコートの襟は?このコートどんな形だった?」
近藤は、手に持つ、先ほどまで着ていたベージュのコートを指差した。

「コートの襟の形なんてわからないわ。後姿だもの。」

「だよなあ・・
まあ、座って。
あの後、色々調べたんだけどさ~・・・
由紀の言うとおり、この事件おかしな点がいくつもあるよ。
まず、被害者の二人、高木と宇山、評判悪いねぇ。
そもそもこの部署に問題があるのか、とにかく人の出入りが激しいよ。
それと2件とも目撃者で同じ会社の女性社員の高野まゆみ、これがかなりの曲者だ。」

その後、コンちゃんは調書にある目撃証言の矛盾点について話し始めた。


「高野まゆみの2件の目撃証言によれば、後姿からでも君江であると直ぐにわかったと証言した。
毎日同じ課で仕事をしているのだから間違いないとまで言っている。
百歩譲ってここまではいいとしよう。
だが、おかしなことに、高野まゆみが見たのは君江の後姿なのに“テーラーカラーのコート”だと言う。
今、由紀も言ったように後ろ姿から襟の形は確認できないはずだ。
にもかかわらず、テーラーカラーと言った。
なぜか・・
それは君江が黒のテーラーカラーのコートを持っていることを知っているからだ。
そして黒いコートは証拠品として押収された。
あとは金色のパンプス。
これは残念ながら防犯映像では確認できないし、目撃証言でも黒のパンプスと無難な線で収めているよ。
だけど、この高野まゆみは相当の搾取だよ。」

「ふーん・・でも私の聞いた範囲では、この高野まゆみさんって人、けっこう評判よかったけど・・」

「と、思うだろ?
違うんだよ。それが・・

表向きは人当たりもよく、新人が入れば優しく教え、表面上は周りへの気遣いも怠らない。
自分がやりたくない仕事は全て新人に押し付け、あたかも自分がやったように振舞う。
怖い先輩達のことは褒めておだてて自分に火の粉がかからないようにする。
まあ、世渡り上手ってとこだね。
ところが、
借りた物は返さない、お使いを頼まれ買い物に行っても請求するまでおつりを返さない。
請求すれば忘れていたふりをしてやっと返す。

以前、こんなことがあったそうだ。

この会社でチャリティーバザーが開かれた。
その時に着用する予定になっていたレギンスを高野まゆみともう一人、佐藤という女性社員が忘れてしまった。
予備を持ってきていた同僚が2人にレギンスを貸した。
それは、脇に特徴のあるステッチが施された1足4000円くらいのものだったそうだ。
レギンスにしては高価だよな。
佐藤さんは洗濯をして直ぐに返した。
高野真由美はその後3ヶ月を過ぎても一向に返却する様子がない。
同僚が催促すると「支給品で頂いた物だと思ってました。じゃ今度持ってきます。」と言ったがその後も忘れた振りを続け、返却されなかった。
高野は私服でもレギンスをよく履いていたが、同僚の貸したレギンスだけは絶対に履いてこなかった。
ある日、同僚が休みの日に会社に立ち寄ると高野はそのレギンスを履いていた。
貸した同僚が休みの日には履いて来ていたんだよ、確信犯だ。

それにもっと酷いのが、
新人が入ると、部内で集めている金がなくなる、もしくは足りなくなり、備品もなくなる。
細かい文具などを購入するために課では常に千円札や小銭で1万円分用意してある。
その雑費も高野は「私が今日、仕事に入る前に数えたら5000円足りなかったんですが・・」
「今朝、数えたら2000円足りなかったんですが・・」と、雑費が頻繁に不足するようになる。
新人が入る時に限ってだ。
当然、周りは新人が何かドジをやっていると思う。
けれど、高野が仕事に入る前に雑費や部費を数えていることなど、1度も見たことはない。
そのうち新人が辞める。
すると、金や備品がなくなるといったことも、なくなる。
ああ、やっぱりあの新人だったのか・・と周りの人は思う。
また新しく人が入ってくる。
しばらくすると、また金がなくなる。

こんな高野まゆみの行動に気付いたのは、レギンスを返してくれないと同僚から愚痴をこぼされていた君江だ。

君江は上司の高木と相談し、雑費や部費の全てを高木のデスク内で保管することにした。
高木は口が軽く、コロコロと意見を変えては周囲を翻弄させ、指摘を受ければ部下を守るどころか部下に責任を押し付け、機嫌が悪いと周囲に失当(八つ当たり)を繰り返すパワハラ上司として評判が悪い。
君江が高木を嫌っていたのは事実だが、そんな上司を嫌っていたのは君江だけではないはずだ。
それに君江はともかく、高木は君江を信頼していた。

ここで出てくるのが第二の被害者宇山美保子だ。

宇山は女子社員の中ではお局様的存在だった。
例えば飲み会を開く時、皆は焼肉がいいと言う。
通常多数決で決まる店も宇山が「私、焼肉が嫌い、臭いだけでも嫌」と言えば、店を変更した。
「私、煙草の煙が嫌い」と言えば飲み会も禁煙になった。
それは、ひとたび宇山の機嫌を損ねると大変だからだ。
1週間くらい不機嫌な日が続き、周囲に当り散らし雰囲気を悪くさせる。
皆はそれを嫌い、宇山の言うとおりにしていた。

当然、宇山は嫌われていたが、表面上は仕事をスムーズにこなすため、周りは宇山を立てていた。
そんなお局様宇山の転機が訪れたのは君江が入社する数ヶ月前のことだ。

宇山は社内の教育制度を利用し、資格を取得するための学校へ通うことになった。
本来は38歳未満のパートとしていたが、どうしてもとの宇山の希望を聞き入れ、社員からパートタイム勤務に変更すること、業務に支障を出さないこと、欠勤をしないことを条件に学校へ通わせた。
やはり二足のわらじは履くものじゃない。

当日、欠勤はするわ、体調を崩したと早退はするわ、挙句に、パートタイムとして勤務して週3日のうち隔週で週2日にして欲しいと言い出し、業務にも支障が出てきた。
そこで、高木は人員の補充をするため、宇山が取得しようとしていた資格を既に所有している君江をアドバイザーとして採用した。
君江はとにかく優秀だったらしい。
一度聞いたことは忘れない記憶力の持ち主で、細やかな気配りでクライアント受けもよく、わずか半年で顧客を倍以上にした。

面白くないのは宇山だ。

自分が抜ければクライアントも減り、業務も滞り困るであろうと思っていたが実際はその逆だ。
その上、高木の信頼を一身に受けていると勝手に思い込んでいた宇山は、君江の入社によって立場が危うくなった。
もともと少し精神不安定な面のある宇山は、高木の上司命令にも逆らうようになり、些細なことで逆上しては周囲を困らせていた。
そんな宇山に業を煮やした高木は宇山を戦力チームから外し降格させた。
やりたい放題、言いたい放題だった宇山の女王の座は、君江の入社によって崩壊したってわけだ。」

「でも、宇山はもう辞めたんでしょ?君江さんもいない。
だったら今、一番得をしてるのは、ずる賢い高野じゃない。」

「そうなんだよ。なっ、高野は曲者の搾取だろ。」

「・・でも、高野は目撃者でしょ?高野の目撃証言を崩さないと無実は証明できないわ。」

「僕は高野が君江を陥れるために虚偽証言をしていると思ってる。
これは高野に直接聞くしかないな。
それともう一つ、おかしいのはこの事件を担当した弁護士の田中先生。
何で控訴しなかったんだろう。そもそも一審で負けたのが信じられない。」

「国選だから身が入らなかったでしょ。
もう関りたくないって言ってたもの。」

「うん、聞いたけど、田中先生は普段はそんな人じゃないんだよ。
弁護士になる前は刑事事件専門の裁判官だった人だ。
体調を崩して裁判官を退官して弁護士になった人だからこの程度の事件はお手の物だよ。」

「へぇそうだったの。
刑事事件の裁判官は大変だって言うものね。」

「うん、下手したら人一人の人生を狂わせてしまう、かなりの重圧だよ。
だから凶悪事件となると判決文を書く2週間くらい前からピリピリしていて殆ど眠れないらしいからね。
それで体調崩す裁判官も沢山いるよ。」

「そう・・・田中先生、刑事専門の元裁判官だったのかぁ。
そうね、それならなおさらこの程度の事件を一審で負けるほうがおかしいわね・・・」

「そうのとおり!この程度の事件で裁判期間が長いのも変だし、精神鑑定を必要とするほどの事件でもないのに精神科医が出てきたり・・
おかしな事だらけだよ。」

「精神科医の尚美先生は田中先生の愛人なんでしょ? 」

「ええ?そうなの?」

「うん、だからこの事件を早く片付けようと精神科医と弁護士が結託して精神障害があるって診断したって。君江が・・・」

「君江がそんなことを・・・
君江はやっぱり頭がおかしいんじゃないの?田中先生は真面目生一本の人だ。
仮にそうだとしても、田中先生は独身だから愛人にはならないよ。
目撃証言にしても、君江の愛人説にしても人の口って言うのは恐ろしいものだね。」

「本当にね。口は災いの元とはよく言ったものだわ。」

(そう。今頃わかった?さあ、早く私をここから出してちょうだい。私じゃないんだから。)

「?なに?由紀?何か言った?」

「いいえ、何も・・何か聞こえたの?・・あっ!!!・・コンちゃん?」
  
        330_convert_20130106202553.jpg
     
 コンちゃんの瞳に、君江の瞳と同じ青い炎が写っていた。


------- 更新 間、開いたくせに つ づ く -----ごめんなさい------------

特に理由もなく、間をあけてしまいました、ごめんささい。
単に気分が乗らずサボっていました。
また明後日UPします。

呆れず今日もお付き合いくださる皆様の広い心に感謝です。
そして下記Wポチにも毎度、感謝です。
ありがとうございます。

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東京地方、慣れない大雪に足がパンパンです。
皆様、路面凍結には十分ご注意なさってください。
雪かきで足腰の筋肉痛にもご注意ください。
ではまた明後日に・・・
素敵な夜をおむかえください。

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