神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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◆ 脳内ツアー 2 ◆

Posted by 空耳ロバ on

「脳内ツアー」という摩訶不思議なツアーに参加した私は、飛行機とも宇宙船ともつかない奇妙な形の乗り物に乗車し、瞬く間に大脳辺縁系に到着した。

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(ここが大脳かぁー)
(複雑に配線されてる精密機械みたい)

機内の大画面には外の映像が写し出されている。
その映像から、機体はやや不安定な固めのゼリーの中で平衡を保っているように見える。


皆様、お疲れ様でした。
当機は大脳辺縁系に無事、到着いたしました。
この後、機内にてお食事のご用意がございます。
観光開始時間まで、ご昼食をお召し上がりいただき、ごゆっくりおくつろぎくださいませ。

機内アナウンスが流れるとほぼ同時に、乗務員、添乗員から豪華な昼食が配られた。


一人の女性が添乗員に声をかけた。

「私、これ食べれないんで、別の昼食を出してもらえませんか」

『 当機内食はアレルギー体質の方でも、どなたにもご満足いただけるお食事となっておりますので、別メニューのご用意がございまん。
お召し上がりになれない物は残して頂いて構いませんので。』

「ツアーに参加させといてそれはないんじゃないの?」

『なにぶん、参加費用は無料でございますので・・申し訳ございません』

「じゃあ、帰るわ!!あー早く帰りたい」


ツアー客は、その女性と添乗員のやり取りを横目に配られた昼食を口にし始めた。

(美味しい!)
(うん、旨い)

ややトーンダウンした機内の雰囲気も、味がよかったおかげで和やかになった。


(私、昔は結構、いい家の出なんですよ)
年を取ると、たいていの人は出がよくなってしまう。

(この前、超有名な高級レストランに行ったんだけど、来てる客、み~んな,たいしたことないの。
その中で珍しくまあまあの洋服着てるなぁと思って見たら、芸能人の〇〇だった。)

(主人は〇〇に勤めてて、部長職に就いておりまして)

(へー優しいんですね)
(単なる恐妻家なんじゃん)
(何言ってるの!僕は女性に優しいんじゃない)
(専業主婦のくせに仕事から帰ってきた旦那に風呂掃除させて・・
そういうの、恐妻家って言うんじゃないの?)

(うちの孫が今中学一年生で、先日、英検二級に合格して)
(いやぁ、そうですか。うちの子も中学一年で二級合格しましたよ)

(家は何をやってるの?)

(何処に住んでるの)


機内食に舌鼓を打ちながら、初めて会う者同士がありきたりの身の上話などで盛り上がっている。


『皆様、宴もたけなわではございますが、ご昼食がお済みになりましたら、そろそろ観光へと参りますがよろしいでしょうか?』

「はーい」
昼食の時間ですっかり打ち解けたツアー客らは元気よく返事をした。


『それでは、これから機内を降りまして、まずは最初の目的地、海馬へと向かいます。
海馬を見学した後は海馬のすぐお隣、「扁桃体」へと移動します。

ここで皆様に注意事項がございます。

エレベーターの外へ一歩出ますと、そこは脳内でございます。
食べ物を口にしたり、携帯電話での通話、海馬や扁桃体を走ったり、振動を与えたり、触れたりなさいませんようお願いいたします。
さぁ、それでは参りましょう』


『順に出口エレベーターへお進みください。』

(ちょっと、ごめんなさい)
(いてッ!おい、ベビーカー押す時気をつけろよ!)
(あら、失礼!!)

 ♪ブブー♪

エレベーターの重量制限超過警告音が鳴った。

(一台待って乗ればええやろ!)
(こういう時は、他の人は後から乗ってくれないと)ベビーカーを押す女性が言った。
(混雑している時はベビーカー畳めよ!)
(そうだよ、皆、順番に乗っているんだ!自分だけ特別だなんて思うなよ!)
(ふん!私は勝ち組よ!他の人が降りたらいかが!)

♪ブブーブー♪ ♪ブブーブー♪
重量制限超過警告音は鳴ったままだ。

『はい、はい、どうなさいました。皆様、順番にお乗りでございます。
まことに恐縮ですが、一台後のエレベーターへお乗りいただけますでしょうか』
添乗員は後から入ってきたベビーカーの女性に言った。

(ふん!)女性は不愉快そうに一台後のエレベーターを待つことにした。


エレベーターの中は足元まで全てがスケルトンとなっていて外の景色が見える構造になっている。

(へぇーすげー!)
(これが大脳?なんだかスカスカだな)
(ほぉーこれは珍しい物を見せてもらった。帰ったら自慢が出来るわい)
(あの塊って、欠陥が詰まっているのかな?)

『皆様、これより徒歩での観光となります。
脳内は大変壊れやすいところでございます。

「海馬」は外からのショック(外傷性)や、睡眠不足、ストレスなどで簡単に壊れてしまいますので、
写真撮影やフラッシュをたいたり、お手を触れたり、振動を与えるなど、
ストレスをかける行為は絶対になさらない用にお願いいたします。
こちらが壊れますと、今言ったこと、したことを覚えていないと言った重篤な記憶障害や学習障害を起こしますので、、、』

添乗員の話をさえぎるように若い男が口を挟んだ。

(わかった!わかた!)
(さっきも聞いたよ。触れなければいいんだような!早く行こう!)
ツアー客の中から笑いが起こった。

『では皆様、くれぐれも海馬内ではお静かにお願いいたします。』
添乗員誘導の下、私達は海馬へと向かった。


(以外に小さいんだな)
(こんなに細くて小さいのに有能な機能なんだ)

(ぼく!走り回っては駄目よ)
(うちの子が何か?・・・
太郎、あのお兄ちゃんも睨んでいるから静かにしなさい)
(親が注意しないからだろ)

『さぁさぁさあ、え~つづきまして、海馬のお隣、
好き嫌いや快・不快の感情を海馬に伝える“本能”を掌る場所「扁桃体」の見学に移ります。

例えば、人の顔を区別したり臭いを嗅いで好みを分けると言うのも扁桃体が好みを判別しているわけですね。
ここでの注意事項も海馬と同じです。
この扁桃体が傷つくと、孤立や社会生活がうまくいかなくなると言われています。
くれぐれも、撮影やフラッシュ、または、触ったり、走ったり、騒いだりするなど、
ストレス負荷につながる行為はなさいませんよう、ご注意ください。では、参りましょう』



(へぇー、ここで人の顔判別するんだ)
『さようでございます。異性を好きになったりするのもこの扁桃体の成す業にございます』

(こんなに小さいのぉー!!)
『はい、小さい部位ではございますが、本能で判別した情報を海馬へ送りますので、ここの機能が壊れますと海馬の働きも鈍くなってしまいます』

(やわらかーい)
(触っちゃだめ!)

(あっ!おじさん、触ったら駄目って添乗員さんが言ってたじゃん!)
(触ってないよ、後ろから押されてちょっとぶつかっただけだよ。)
(何言ってんだよ、おっさん!押してないだろ!)


『はいはい、皆様、ツアーも終盤となりましたので、一つにこやかにお願いしたいと思います。
海馬、扁桃体の観光はいかがでしたでしょうか・・

皆様、ここまで注意事項は守ってくださっていますよね?
大丈夫ですよね?
では、最後の目的地「視床下部」に参りましょう』・・・ふっ・・

ここまで言うと、添乗員はなぜか不気味な笑みを浮かべた。


------------つ--づ--き--は---あ--と--で-----次回最終話------デス-

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