神様がくれた休日~真話か偽話か空耳か~

フィクションともノンフィクションともつかない一人話を 時には まじない交え思いつくままツラツラと・・

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Posted by 空耳ロバ on

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◆まやかし7

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--------------------- まやかし6の つづき 7 ------------デス-------------



修道女に言われた言葉が気にかかっていた僕は、翌朝、出勤前に昨夜の教会へ向かった。
昨夜、降り出した雪は積もることなく止み、その変わりにピリッと冷たい空気が顔をさした。

教会辺りに着く頃には、眩しいほどの朝陽が昇り、門に付いた露をキラキラと照らしている。

     flower-back0731_convert_20121118154106.jpg


「確かにこの辺りだったと思ったんだけどな・・・」

昨夜は霧がかかっていて周囲をよく確認することはできなかったが、修道女に教えてもらった1本道を帰ってきたのだ。
今朝はその道を逆に歩いて来たのだから迷うことはない。
途中、あのアパートもあった。


ブボォボォボォボォー
オートバイに乗った新聞配達員が来た。

「すみませーん、この辺りに教会があると思うんですが。」

「この辺りに教会? 聞かないなぁ・・そこは墓地だよ。」

「墓地って・・」

「墓地ってのは墓のことだよ、墓。あんた知らないのかい。」
ブボォボォボォボォー・・そうい言い残し新聞配達員は走り去った。

墓地って・・・門構えは昨夜の教会と似ているが・・・

僕は昨夜の教会と似ている門構えの中に一歩足を踏み入れた。
草や花が多い茂った中に幾つかの墓石が見える。

シャッシャッシャッシャ・・

?・・・音の先にはほうきを片手に墓地の掃除をしている老女がいた。

「あ、あの、すみません、この辺りに教会があると思うんですがご存じないですか?」

「えぇっ?」
老女は耳が遠いようだ。
僕は老女の近くまで進み再び尋ねた。
すると、老女は言った。
「教会?私は長年この墓地の墓守をしていますがこの辺りに教会はございませんよ。」

「そんな・・・」僕は老女が掃除をしている墓の墓標に眼を落とした。

“キタシラカワ チズコ”

千鶴子?
だが、千鶴子の姓は“田中”だ。姓が違う同じ名前の人か。。。
「あの、このお墓は・・?」

「北白河家先祖代々のお墓でございますよ。ご立派でございましょう。」

「ええ、本当に・・・お忙しいところすみませんでした、、、」

「あら、それ・・高橋さん、ちょっと・・」
老女は帰ろうとした僕を呼び止めた。

「えっ?」

「そのアタッシュケースのネームカード。貴方、北白河グループ傘下のプリントン会社の方?」

「あ、はい、そうです。」

「じゃあ千鶴子お嬢様のこともご存知でしょう?」

「千鶴子?田中千鶴子さんのことですか?」

「ああ、そうでした。
千鶴子お嬢様は、ご自分が大株主だと言うことがわからないように会社では“田中”と名乗っておいでのようでした。
私は千鶴子お嬢様がお小さい頃からお育て申し上げたバアヤでございます。
では今日は千鶴子お嬢様のご命日のお参りでここに?」

命日?そうか、今日は千鶴子の命日だった。
「あ・・・ええ、、、まあ。。
千鶴子さんとは結婚を前提にお付き合いさせていただいていた恋人です。
お墓探すのに苦労しました・・」

「まあ、それはそれは・・さぁどうぞ、お参りをなさってくださいませ。」

(あんた、調子がいいね!!さっきまで知らなかったじゃないか!!!)

「??・・・・」

(結婚を前提にだって?冗談じゃない!
命日も覚えていないあんたが何言ってるんだよ!
千鶴子お嬢様はあんたのようなバックグラウンド頼りの中身のない男が一番お嫌いなんだよ!!
こんな薄っぺらなあんたを千鶴子お嬢様が選ぶわけがないだろ!
ステイタス好きもほどほどにしな!!!)

確かに聞こえた。
誰だ?
目の前の老女はニコニコとしているだけだ。
では今の声は誰だ?

急に怖くなった僕は会社に遅刻するからまた後でゆっくりお参りをさせてもらいたいと言い残し、逃げるようにして墓地を後にした。

なんだ?何だ?何なんだ?一体どうなっているんだ?
千鶴子が北白河グループの令嬢?
千鶴子がプリントン会社の大株主だった?
昨夜の出来事といい、教会といい、なんなんだ?兵藤達は何事もなかったのか?
早く会社に行って、兵藤と久留美さんに聞いてみよう。
あー早く会社に着きたい。
僕は、走る電車の中ではやる気持ちを抑えていた。

「この人痴漢です!プリントン会社の高橋!誰か捕まえて!」

『ええ?僕?違います、やってません!!僕を誰だと思っているんだ!!』


(ほうらね、、ネームカード入れておくと危険でしょ、
こんなに大衆の前で名指しをされた貴方は、たとえそれが間違いであったとしても、
この場しか見ていない人は“プリントン会社の高橋が痴漢した”と思い、それが世間に拡まってしまうものよ・・
名前を覚えられて悪事に使われることもあるから危険だと千鶴子お嬢様に言われていたこと、忘れていたでしょう・・・・)

駅員に囲まれ抑えられた時、先ほどの老女の声がかすかに聞こえた。



兵藤さんが会社に住む野良猫の「ヒョウ」なら今日はあの植え込みにいるはずだわ。
私は少し上等なネコの缶詰を買い、早めに出勤した。

「のらちゃん、のらちゃん・・・」あら?いない・・

「のらちゃん、ヒョウくん、ヒョウ・・兵藤さん。」

『んなぁ~・・んなあぁ~』
植え込みで毛繕いをする野良猫の「ヒョウ」の姿があった。
    
      016360_convert_20121118153947.jpg

           ・・・い た・・・

「1ヶ月も姿を見せなくて。心配したわよ。はい、ご飯・・・ヒョウ・・ドウさん。」

『うあーん・・』

ヒョウはやはり兵藤さんだった。

会社に入ると兵藤さんの席は勿論あいている。
定時になっても出勤しない兵藤さんを部長が探し、本社に電話をしている。

「・・・・」

電話を切った部長は怪訝そうに言った。

「本社からの応援要員はまだ未定で送り込んでないって言うんだ。
きっと、グループ会社の派遣社員じゃないかって・・
あれ?そう言えば高橋君、まだ来ていないみたいだね。今まで気がつかなかったよ。
まあそのうち来るだろう。
しかし、兵藤君がいないのは痛いなぁ・・・誰か連絡先知ってる人いない?」

女子社員の一人が答えた。
「ええ、誰も知らないみたいで・・あ、、そう言えば多賀子さんもまだ出勤していません。」

「多賀子さんもまだか・・全然気がつかなかったなぁ~。
いやあ、兵藤君がいないのは痛手だなぁ、、どうしたのかなぁ兵藤君は・・」

「いやぁ~参りましたよ部長、朝から電車の中でひどい目・・」

「兵藤君・・・ああ、高橋君か、、遅れたのね、いいよ。
そんなことより兵藤君知らない?まだ来ないんだよ。何か聞いてない?
どうしたのかなぁ・・心配だなぁ・・・・引き出しに何か入ってないか?」

この日多賀子は体調不良を理由に会社を休んだ。

もしもこの日休まなければ、社内でおだてられチヤホヤとされている高橋が、大手企業の一人息子という理由のみであり、実は期待もされていない、戦力にも入っていない人材だということが多賀子にも判ったことであろう。
そして、これに気がついてさえいれば、多賀子もあんなことにはならなかっただろう。

私は兵藤さんがこのデスクを使う日は二度と訪れないことを知っていた。
部長は引き出しを開けた。
勿論、中には何一つ残されていなかった。
                clipart_objects_083_convert_20121118154443.gif



--------------- しつこいくらい またもやつづく -------デス---間もなく終結------


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